[名称] ATAフラッシュメモリーカード
[種類] フラッシュメモリー
[記録方法] PCMCIA2.01以降(68pin)
[サイズ] 54×85.6×5.0mm
[容量] 1MB?~1GB?程度
[登場年] 1993年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「ATAフラッシュメモリーカード」は、記憶素子としてフラッシュメモリーを使用したPCカード型メディア。従来からあったリニアフラッシュメモリーカードがメモリーアドレス空間にマッピングされていたのと異なり、ATAインターフェースを使用するI/Oカードとして実現されているのが特徴です。

ザックリといえば、リニアフラッシュメモリーカードは以前紹介した「SRAMカード」のフラッシュメモリー版、ATAフラッシュメモリーカードは、「PCカード Type III HDD」のフラッシュメモリー版といえるでしょう。

PCのストレージとしてはHDDが主流でしたが、HDDを搭載できないような小型PCではSRAMやフラッシュメモリーに頼ることになります。PCカードスロットで汎用的に使え、(当時としては)大容量モデルがラインナップされていたATAフラッシュメモリーカードは、初期のモバイルPC……HP200LXなどで重宝されました。

PCカードなので、当然ながら外見ではこれといった特徴はありません。厚みは5mmとなるType II。

エプソン販売が扱った「FLASH PACKER」は、サンディスクの輸入品。この製品を日本で初めて店頭販売するようになった経緯が非常に面白いので、別媒体となりますが、価格.comマガジンの「ミニPCの名機「HP-LX」をヒットさせた、新宿アドホック店の“元祖エバンジェリスト”」をぜひどうぞ。当時の興味深いお話が満載です。

背面を見ると、「輸入販売元 エプソン販売株式会社」「製造元 SanDisk」「原産国 アメリカ」と書かれているのが確認できました。

ATAなので、今時のPCでも使えるだろうことは予想つくのですが、実際に動作確認してみようとすると結構大変。コンパクトフラッシュ用のカードリーダーは多数あるのに、PCカード用となるとまず見つからないからです。

中古となりますが、比較的入手しやすいのがアイ・オー・データ機器の「USB2-PCADP」シリーズや「USB2-PCADPJ」。これはUSB2.0接続のPCカードアダプターで、ATAカードだけでなく、一部の通信カードにも対応しているというものです。

どちらかといえば、通信カードを利用できるようにするのがメイン用途ですけどね……。

「USB2-PCADP」をWindows 10のPCに接続してみたところ、とくにドライバーなどを用意することなく認識。よくあるカードリーダーと似た動作で、ATAフラッシュメモリーカードを挿すとドライブとして認識する、というものでした。

もちろんファイルの読み書きも可能。

どのくらいの速度が出るのか、5MB弱くらいのファイルを書き込んでみたところ、大体25秒かからないくらいでした。200KB/s前後くらいの速度が出るようです。

書き込みの様子をタスクマネージャーで確認したところ、ディスクにはフルに負荷がかかっている状態ですが、実際の転送は大きく波があり、間欠的に行われていることが確認できました。フラッシュメモリーへの書き込みが間に合わず、待ち時間が発生しているようです。

ちなみに、読み出しは約7秒ほどで、書き込みより高速。上のタスクマネージャーの画面でいえば、左端の部分です。

PCカード型のATAフラッシュメモリーカードはHDDよりも薄く、それなりの大容量化も可能な汎用ストレージという点では優れていましたが、容量単価であればHDDの方が低価格。そのため、一般的なノートPCで使われることはほとんどありませんでした。

また、後に登場したデジタルカメラでは、サイズの制限などからさらに小さなコンパクトフラッシュが採用されることが多く、ここでもATAフラッシュメモリーカードは使われないまま。結局、一部のモバイルPCや組み込み機器で使われるくらいでした。といっても、コンパクトフラッシュもATAフラッシュメモリーカードの一種なので、形を変えて生き残ったとも言えます。

連載:スイートメモリーズ

参考:

ミニPCの名機「HP-LX」をヒットさせた、新宿アドホック店の“元祖エバンジェリスト”, 連載PDA博物館, 価格.com マガジン
FLASH-PACKER, EPSON
PC Card Primer, PCMCIA, WayBack Machine
業界最大容量の448Mバイト コンパクトフラッシュと 大容量1Gバイト PC-ATAカードを製品化, 日立製作所