NANOGrav / T.Klein
NANOGrav / T.Klein

重力波とは、たとえばブラックホールや中性子星など非常に大きな質量を持つ物体どうしが衝突した際に生じる時空の歪みが波となって宇宙を伝わる現象です。2015年に初めて観測された重力波は、時空のさざ波とも説明されましたが、現象としては津波に近いものでした。そしてそのような大波があるからには、本当の”時空のさざ波”のような ごく弱まった重力の歪み現象があってもおかしくはありません。その”さざ波”は周波数が非常に低い、つまり波長が長く、歪める時空の度合いも数百ナノ秒程度のとにかく弱いものであるため、検出がはるかに困難です。

アレシボ天文台とグリーンバンク望遠鏡が連携して行って来たプロジェクトNANOGravでは、波長が数年から数十年という、波とは言えないほどの重力の揺らぎを検出することを目標とし、13年以上にわたって、天の川銀河全体に散らばる45個のパルサーの光を調べました。

パルサーは高速で回転する星であり、一定間隔でパルス状の光や電波、X線を放出する、いわば銀河の灯台です。そして、重力波はわずかながら光の波長を伸縮させるため、この現象を調べることでさざ波状の重力波を検出することが可能になります。つまりパルサーを銀河サイズの重力波検出器として用いるわけです。

そして、研究チームの筆頭著者であるジョセフ・サイモン氏は数十のパルサーについてひとつひとつ、少なくとも3年以上ずつ調べていった結果「データセットに強いシグナル」が見つかったと述べました。これはまだ重力波とは断定できないものの、重力波と言える可能性のある「強い信号」だとのこと。

チームは、この信号がさざ波の重力波によるものかどうかを確認するために、さらに多くのパルサーを眺め、重力波の影響がそれぞれのパルサーにどのように現れるかを調べ、どこに発生源があるかを突きとめたいとしています。

研究者らはこうした現象は銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールどうしの衝突から発生する可能性があるとしています。つまり2つの銀河が融合していく際に発生しているのではないかということ。そしてさらに宇宙の海全体が、時折起こるこのような重力波の波紋で揺れているのではないかと、NANOGravチームのひとりジュリー・カマーフォード氏は述べました。

source:Astrophysical Journal Letters
via:University of Colorado Boulder