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家電メーカーのバルミューダが発表した、バルミューダテクノロジーズ(BALMUDA Technologies)によるスマートフォン「BARUMUDA Phone」。製品発売前から賛否両論様々な意見が出ていますが、スマートフォンメーカー以外が作った製品への意見がここまで飛び交うのは異例のことかもしれません。

筆者はバルミューダ青山旗艦店開店前日の11月18日の内覧会に参加、17日の発表会の時とはうってかわって取材メディアの数も少なく、ゆったりとした空間の店内でBALMUDA Phoneをじっくり触ってみました。

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BALMUDA Phoneの開発の経緯は、製品発表会で寺尾社長から熱いメッセージが語られました。しかし発表会直後からそのメッセージに対して製品のクオリティーが追いついていないのではないか、という声も聞かれます。筆者はオンラインで発表会を視聴、また多くの記事も読んだうえで、18日に実際の自分の手でBALMUDA Phoneを触ってみました。

BALMUDA Phoneを手に取ってみると、4.9インチディスプレイの小型端末であり背面のカーブが心地よく手のひらにフィットします。「小さい端末はほかにもある」という声も聞かれますが、側面が角ばったiPhone 12 miniの感覚とは全く異なりますし、Rakuten Miniなどの小型軽量で存在感をあまり感じられない製品とも違うイメージです。BALMUDA Phoneをポケットから取り出すとき、心地よい感触を味わえます。

本体は樹脂製で、背面は最近のスマートフォンのようなガラス仕上げではありません。ホワイトモデルが気に入ったのでこちらをよく触ってみましたが、ざらつきある表面処理は滑り止めにもなっています。ただ背面のロゴが彫り込まれており、そこに汚れがたまってしまうかな……とも感じました。

寺尾社長は「使い込んでいくうちに味が出てくる」と発表会で話していましたが、「味」と「汚れ」の境界はかなり微妙であり、たとえば何か別のものと一緒に持ち運んだ時に白いボディーに色移りしてしまった時などは気になってしまうと思います。

ちなみに筆者は会社員時代、プラスチックの基礎研究開発を行っていました。実際に使い込んでいくうちにこの素材がどのような色変化・着色変化するのか気になります。

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BALMUDA Phoneに対してのネガティブな意見が聞かれるなかで、最も多いのがこの質感に関するものだと思われます。

10万円もするのにプラスチックのボディー、というのは確かに価格相応ではないかもしれません。筆者も使い続けていくうちに味が出る製品とするのなら、本革やビーガンレザー仕上げにしてほしかったと思います。しかし寺尾社長は自ら長年モノづくりに関わっており、BALMUDA Phoneを実際に使い込んでもらえばわかるはずだ、という自信を持たれているのでしょう。

そして筆者がBALMUDA Phoneの実機を手にして最も感じたのが「スマートフォンではない」という点でした。寺尾社長は最近のスマートフォンは画一的であることから個性的なスマートフォンとしてBALMUDA Phoneを作り上げたと言います。

しかしAndroidスマートフォンを使っている方々ならば、多種多様なスマートフォンが市場に出てきていることは熟知されているでしょう。少なくともGalaxy Zシリーズを使っている人は、この部分に大きな違和感を覚えたはずです(筆者もそうです)。

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ではBALMUDA Phoneは本当に個性のあるスマートフォンなのでしょうか? その答えは明確です。寺尾社長の求めるスマートフォンを形にしたものがBLUMUDA Phoneであり、それは今の時代の各メーカーが目指している方向性とは違うということです。

「スマートフォン」の定義はさておき、BALMUDA Phoneは明らかに今の時代のスマートフォンではありません。つまり十分個性のあるスマートフォンなのです。しかしその部分が大多数を占めるBALMUDA Phoneに対してのネガティブな意見を生み出しているのかもしれません。

例えば4.9インチの画面は動画を見るには小さいですし、SNSのタイムラインも多くは表示できません。スマートフォンをメディアプレーヤーとして使い、24時間オンラインでコミュニケーションを取り合うツールとして使うには力不足です。

ところがBALMUDA Phoneの独自アプリを使ってその考えは大きく変わりました。BALMUDA PhoneのWEBサイトにある独自アプリの紹介を見てみましょう。

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独自アプリはまさにBALMUDA Phoneそのものだと感じます。なぜならスケジュールが見やすく、時計やストップウォッチが使いやすいと感じたから。メモはサムネが表示されることで視覚的に認識しやすく、電卓は日本など東洋の「億千万」表示に変更することが可能です。

これらの機能はスマートフォンよりも高性能なデジタルステーショナリーに搭載されるような機能です。筆者がBALMUDA Phoneをスマートフォンではない、とすぐに感じたのはこの部分です。そう考えるとカメラが4800万画素で必要最小限、チップセットも普段使いに耐えうるSnapdragon 765というのも納得できます。

そもそもBALMUDA Phoneが目指しているのは高性能なスマートフォンではありません。Android OSを搭載したスマートフォンではあるものの、ユーザーにアピールしている機能はデジタルステーショナリーとも呼べるものであり、それと同時に寺尾社長がスマートフォンに求めているものでもあります。ユーザーの意見を取り入れて開発したものではなく、独自性に富んだ寺尾フォンなのです。

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複数台持ちにBALMUDA Phoneは必要?

ここまでお伝えしたようにBALMUDA Phoneは万人受けしないかもしれません。しかしだからといってBALMUDA Phoneは駄目だ……という否定的な意見は賛同しかねます。ここからはその具体的な理由についてお伝えします。

前述のように画面サイズは小さいですが、湾曲したデザインは握りやすさにつながっていると感じます。

ソフトウェアに関しても評価できます。筆者は長年Galaxyシリーズを使っており、サムスン製のカレンダーウィジェットを愛用しています。グーグル標準カレンダーより見やすく、年・月・週・日の切り替えが簡単で使いやすいです。BALMUDA PhoneのスケジューラーもGalaxyシリーズのカレンダーのように指先のピンチ操作でシームレスに表示変更できます。とはいえ前述のように4.9インチの画面は小さく、BALMUDA PhoneのスケジューラーをGalaxy Z Fold3 5Gで使ってみたいと思ってしまいます……。

カメラについては今でもファーウェイが最強・最良の選択肢だと今でも感じます。現在、筆者は2台のスマートフォンをメイン機として使っています。Galaxy Z Fold3 5Gはペンも使える大画面なデジタルツールであり、カメラ用としてファーウェイP50 Proを使っていますが、いずれ動画用にXperia PRO-Iも導入予定です。

ではこのような複数台持ちの筆者がBALMUDA Phoneをどう使うのかについて考えてみます。

やはりスケジューラーが見やすいと感じ、Galaxy Z Fold3 5Gで作業をしながら予定を確認したくなった時、ポケットからBALMUDA Phoneを取り出す、といった操作を実際に店舗でやってみたところ快適でした。また時計アプリも家電寄りな印象を受け、直観的に操作できるため、使いやすいと感じます。

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スマートウォッチの「受け」としての母艦であることも見逃せません。スマートウォッチは多くの人がスマートフォンの通知を受けたり支払いに使うなど、スマートフォンのアウトプットとして使う人が大半でしょう。

筆者は中国小天才のキッズウォッチ「Z7」をメイン機として使っています。Z7は本体の表と裏に800万画素と500万画素のデュアルカメラを搭載し、時計部分を立ち上げるとまるでウルトラ警備隊のビデオシーバーのような使い方ができます。

しかしZ7で撮影した写真をメインスマートフォンに保存する際、フォルダが選べないため端末側の写真と混在保存されるのが不満でした。ならばBALMUDA Phoneを受けとして使おうと考えたのです。

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また最近使い始めたリストバンド型の活動量計との連携も、とある機能を使うとスマートフォンのバッテリー消費量が多くなってしまいます。メインのスマートフォンが夜中の睡眠中に電池切れになるのは不安であり、このバンドとペアリングする用途にBALMUDA Phoneが使えます。

さらには香港在住の筆者が日本に来た時、おサイフケータイとして使っているGalaxy S20(ドコモ版)をお返しプログラムで買ってしまったため、2022年3月に返品しなくてはならず、FeliCa搭載スマートフォンが新しく必要となったのですが、BALMUDA Phoneは対応しています。

当初はこの3つの用途のためにシャオミのスマートフォンを買おうと考えました。価格も安く気軽に購入できます。でもシャオミの低価格なスマートフォンには心がときめくものがなく、「どうしても欲しい」というところまで気持ちは高ぶらなかったのです。

筆者は11月7日に日本に到着し、8日から17日まで待機期間中でした。もしシャオミのスマートフォンが欲しかったらその間にネットで買って入手していたでしょう。

それでは他にどのスマートフォンを買おうかと思った時に、BALMUDA Phoneを触ったところ「持ちやすいな」そして「このまま家に持ち帰ってもいいな」と感じたのです。ちなみに青山店を訪れたのは、10日待機明けの初日の午前。10日間もスマートフォン屋に行くこともできず、モノに飢えていただけになおさらBALMUDA Phoneがいいと感じてしまったのかもしれません。

そして最も重要なことですが、筆者はBALMUDA Phoneをメインスマートフォンとして使おうとは思っていません。たとえばちょっと買い物に行くときにBALMUDA Phoneだけをもって出かける、なんてことはあるでしょう。

しかし荷物の数が限られ1日中仕事しなくてはならない……なんてときは迷わずメインで使っているGalaxy Z Fold3 5Gを持ち出します。BALMUDA Phoneのデザインや思想を気に入ったのは、他に使っているスマートフォンと補完しあって使うことを前提としているからなのです。

最後に価格について。購入後30日間以内に返品できるそうです。クレジットカードで後から20回分割にすれば月々5000円で約2年で購入できます。高い・安いの判断は人それぞれの価値観ですが、5000円の20回払いなら大きな負担にはならないはず。

11月18日の内覧会の翌日に青山店へ再び行った筆者は、11月19日の開店直後に予約を完了。あとは26日に受け取るのを待つだけです。果たして期待通りの製品なのかどうかは、追ってレビューをお届けしたいと思います。

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