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10月7日発売の「BALMUDA The Brew」。価格は59,400円

バルミューダから10月7日に発売になる「BALMUDA The Brew」。製品化まで二度の挫折を経験しながらも、6年もの歳月をかけて発売にこぎつけたという渾身の力作のコーヒーメーカーだ。

ポイントとなるのは、"Clear Brewing Method(クリア ブリューイング メソッド)″と名付けられた、特許出願中の独自の抽出方法。BALMUDA The Brewは、「REGULAR」「STRONG」「ICED」の3つのモードを搭載しているが、いずれもコーヒーの力強い香りや味わいを感じさせながらも、雑味やえぐみが感じられないスッキリとしたクリアな後味が特長だ。その秘密がこの独自のドリップ方法にある。

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操作部は天面に。電源ボタンとスタート/停止ボタンの他は、モードと杯数を選ぶボタンのみと、直観的でシンプルな構成

本製品を担当した開発メンバーがさまざまな実証と実験を重ねてたどり着いたのは、コーヒー豆から溶出する成分というのは時間の経過に伴い異なるというセオリー。中でもコーヒーの雑味やえぐみの元となる成分は、ドリップの後半から出るそうだ。そこで思いついたのが、ドリップの早い段階でコーヒーの旨味を抽出し、最後に濃度を調整するという方法。コーヒーの"お湯割り"とも言える方法だが、本製品はこの抽出方法を機械で実現することを目指した、これまでのコーヒーメーカーとはひと味違ったマシンなのだ。

具体的な操作方法としては、REGULARモードの場合、まずはドリッパーにフィルターを敷いて、挽いたコーヒー豆をセットして電源をオンにする。次に、モードとカップ数(杯数)を選んで、スタートボタンを押す。

すると、100℃のスチームの湯気がマシンから立ち上る。コーヒー専門店のバリスタの作法と同様に、まずはコーヒーを冷めにくくするために、まずはサーバーを温めるところから始まる。

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コーヒー豆を蒸らしたり、サーバーを温める工程では、スチームが立ち込める

次に蒸らしの工程へ。ドリッパーの上のノズルから少量のお湯がドリッパーのコーヒー粉の上に降り注ぐ。お湯の温度は93℃で、コーヒー粉を全体的に蒸らす。

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ドリップ用のノズルの5つの穴からは、雨が滴るように少量ずつのお湯が注がれる

その後の抽出工程では、0.2ml単位で複数回にわたってお湯が降り注がれ、コーヒー液を抽出していく。ここでもお湯の温度がポイント。最初は92〜91℃、91〜90℃、89〜82℃と段階的に徐々に温度を下げていく。はじめは高温のお湯でさわやかな酸味酸味とキレのある苦みを、その後はじっくりとほどよい甘みを、最後は低めの温度のお湯でコクのある苦みとていねいにコーヒーの味と香りを抽出していく。REGULARモードでは、最後に抽出したコーヒー液に86℃のお湯を継ぎ足すことで濃度を整えてクリアな味に仕上げる。

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「REGULAR」モードで淹れたコーヒー。最後にお湯で割って濃度を調整するが、決して薄いわけではない。コーヒーの香りや味わいはしっかりと感じさせられるが、軽い口当たりで飲みやすい

他の2つのモードは、基本的な抽出方法は共通しているが、最後にお湯の継ぎ足しを行わないことと、制御が微妙に異っている。STRONGモードでは、お湯を滴下する間隔を短くすることで豆の成分をより凝縮して抽出。加水を行わない"ストレート"の状態で飲むため、クリアな後味は同じだが、REGULARに比べるとコクが感じられ、パンチの効いた濃厚なコーヒー感が楽しめる。

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「STRONG」で淹れたコーヒー。同じコーヒー豆を使用しているが、「REGULAR」に比べると、コクが感じられ、後味がスパイシー。コーヒーの味わいが凝縮されており、1杯の満足感が高い

ICEDモードも氷を継ぎ足すことが前提のため、加水は行わない。溶けた氷で薄まった状態でちょうどよくなる濃度のコーヒー液を抽出し、冷たくフレッシュさの感じられるスッキリとした後味だが、香りをしっかりと残したバランスのいいアイスコーヒーに仕上がる。ちなみに、後から液体で"割る"ことを前提とした濃度のため、ミルクコーヒーなどにも適したモードだ。

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「ICED」の原液。氷で割ることを前提としているため、セットする水の量も少ない。そのまま飲むとエスプレッソのように濃い

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5〜6個の氷が溶けても決して薄まった感じがせず、まさしくコーヒー専門店のアイスコーヒー

「BALMUDA The Brew」が構造上際立ってユニークなのは、この特異な抽出方法を実現するために、ドリップ用とお湯の継ぎ足し用に2つの注湯口を備えていることだ。蒸らし〜抽出〜仕上げの各工程ごとに最適な温度のお湯を瞬間的に沸かすことができる技術も特別だ。

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ドリッパーをセットするスタンドの下に、サーバーにお湯を直接注ぎ入れたり、スチームを噴きかけるための""第二の注湯口"が設けられている

コーヒーの美味しさ以上に、BALMUDA The Brewがコーヒーメーカーとして異端なのは、"エンターテイメント性"と"ライブ感"だ。というのも、一般的なコーヒーメーカーというのは、通常はドリッパーが内側に納まっており、外側からは様子が見えない。それに対して、BALMUDA The Brewは"オープンドリップ式"というドリッパーが外から丸見えとなった構造のため、スチームが噴き付けられ、注いだお湯によって豆が膨らむ様子や、滴下されるお湯の様子、その最中に漂う香りまで、ハンドドリップと同様にすべてを目の前で眺めながら楽しむことができるのだ。

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ドリッパーの上部が全面的に開放された設計のため、ハンドドリップと同様に、お湯が注がれ、豆が膨らむ様子などの工程を観察することができる

操作部も楽しい。電源をオンにすると、まずは天面にあるオレンジ色のLEDランプが点灯。スタートボタンを押すや否や、古時計の振り子のようなチックタックチックタックという音が奏でられ、ドリップが終了すると、穏やかなメロディが流れて知らせてくれる。これらの音や光でユーザーを楽しませるために、スピーカーやライトを搭載したコーヒーメーカーというのは、バルミューダ以外に考えられない代物だ。

もちろん実用性もよく考えられている。何と言ってもコンパクトな本体。これだけの要素を詰め込みながら、横幅約14センチ、奥行29.7センチ、高さ37.9センチと非常にスリムでコンパクトなサイズに納めている。

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横幅14センチ、奥行29.7センチ、高さ37センチと、非常にスリムでコンパクトなため、リビングの棚の上にも容易に設置ができ、インテリアとしても美しい

高価格帯なコーヒーでありながら、コーヒー豆を挽くミル機能は搭載していない。その点も異色と感じたが、それゆえにコンパクトな本体を実現できたとも言える。

逆に、ミル機能を搭載していないぶん、構造がシンプルなため、お手入れがしやすいのが利点だ。ドリッパーやサーバーは食器と同じ感覚で水洗いができ、水タンクも取り外すことができるため、給水もお手入れも容易だ。本体にはクリーニングモードも搭載しており、1ヶ月に1回を目安に運転を行えばいい。

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水タンクは取り外しが可能。とてもシンプルな構造のため、お手入れもしやすい

個人的には電動ミルを別途所持しているため、ミル機能は必須ではない。挽いた粉を購入することはスーパーなどで容易に見つかるし、コーヒーメーカーにとって、必ずしもミル機能まで含めて全自動であることは必要不可欠ではないことに改めて気付かされた。

バルミューダが手掛ける製品なので、華麗なデザイン性は言うまでもないだろう。ブランド共通のアイデンティティでもある、シンプルさの中にも個性が光るデザインで、空間にあるだけで生活に花を添えてくれ、インテリアオブジェとしても美しい。

単に美味しいコーヒーを家庭で気軽に飲めるだけでなく、インテリア性、エンターテイメント性・ライブ感のあるギミックも満載。これほどまでに"ワクワク"させてくれるコーヒーメーカーに出会ったのは初めての体験だ。

関連リンク:BALMUDA The Brew