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“DCファン”ブームを生み出した扇風機の「GreenFan」やトースターブームを引き起こした「ザ・トースター」など、多くのヒット商品を生み出してきたバルミューダが、いよいよコードレススティック掃除機「ザ・クリーナー」を発売しました。ムラの少ない「面の風」で扇風機を、蒸気の力でトースターを“再定義”したバルミューダが掃除機をどのように再定義したのか。使い勝手も含めて紹介したいと思います。

バルミューダ ザ・クリーナー 黒(Amazon)

バルミューダ ザ・クリーナー 白(Amazon)

前後にブラシを配置した「ホバーテクノロジー」を採用

目を引くのはそのデザインです。同社の寺尾玄社長は「ほうきのようなデザイン」と話していたが、パッと見た第一印象は昔ながらのほうきというより、モップに近いですね。

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バルミューダが2020年11月に発売した「バルミューダ ザ・クリーナー」(直販価格5万9400円)

「立てかけられた、ほうきのようなデザイン」とうたっており、学校で使っていたような「自在ほうき」「自由ほうき」と呼ばれるものなら似ているので、ほうきということでよしとしましょう。

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「自在ほうき」と比べてみたところ

この特徴的なデザインの理由はその動きにあります。一般的な掃除機は前後にヘッドを動かしながら、主に押す(前に進む)動きの時に前方のゴミを吸う仕組みになっています(日立のように、引く動きの時に吸うモデルもある)。前後にヘッドを動かしながら、手首をひねってヘッドを回転させて方向転換し、また前後に動かしながら掃除をするというスタイルです。

ザ・クリーナーが実現しようとしているのは、そうした掃除の常識からの解放にあります。押す動きだけでなく引く動きでも吸うだけでなく、前後左右に自在に動かしながら掃除ができる。これを実現するために生まれたのがこのスタイルというわけです。

ではどのような技術を採用しているのでしょうか。まず前後にブラシを搭載する「デュアルブラシヘッド」を採用し、前からも後ろからもゴミを吸えるようにしています。これが生み出す副次的効果が「軽い操作感」です。前後のブラシがそれぞれ内側に回転することで、床面との摩擦を軽減し、まるで浮いているかのような操作感が実現した。さらに、ヘッドと本体をつなぐジョイント部分には、前後左右、斜めにも自在に動く「360°スワイプ構造」を採用。この2つが組み合わさった「ホバーテクノロジー」によって、前後で左右でも、さらにはヘッドを回転させながらでも掃除ができるようになっています。

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前後にブラシを搭載する「デュアルブラシヘッド」

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前後のブラシはどちらもワンタッチで取り外せるようになっています

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前後左右、斜めにも自在に動く「360°スワイプ構造」

ヘッドの四隅には「角ローラー」を搭載しており、壁にぴったり付けて掃除する場合でも動かしやすくなっています。

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ヘッドの四隅には角ローラーを搭載しています

浮いているような自在な操作感は今までにない感動

ザ・クリーナーには充電スタンドが付属しており、立てかけて収納しながら充電ができるようになっています。充電時間は約4時間で、1回の充電で標準モードだと30分、強モードだと10分の連続掃除が可能です。

では、実際に掃除してみましょう。重さは約3.1kgと、コードレススティック掃除機の中でも比較的重い部類(Dyson V11が約2.68kg)で、手に持ってみるとずっしりとします。

そのままハンドルを持ってヘッドを前後に動かしてみても、やはり「ちょっと重いなぁ……」という印象。しかしハンドルの上部に配置した電源ボタンを押すとその印象が一変します。

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ハンドルの上部に電源ボタンを搭載しており、押すとオン(標準モード)、オフが切り替わります。オンの時に長押しすると強モードになります

ヘッドにモーターを内蔵し、放っておくとどんどん前に進む「自走式ヘッド」をご存じでしょうか。あれはハンドルを持つだけで自ら前進してくれるので、ラクラク掃除ができるというものでしたが、どこか「わがままなペットに振り回されている飼い主」的な感じもあったし、実際に勝手に前に進もうとするのに不満を持つ人もいたのではないかと思います。

しかしザ・クリーナーの場合は違います。自走式ヘッドが前に進むときだけに感じる浮遊感のようなものが、ハンドルを持っているだけで感じられるのです。それでいて、自走式ヘッドとは違い、前後左右、斜めに動かそうとしても、軽く力を入れるだけで動いてくれます。これを「浮いている」と言わずして何と表現するのかという感じです。

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コーヒー粉をまいて掃除をしてみました
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ふわっと浮いているような感じなので、まっすぐ進むのは苦手ですが、きれいに吸ってくれます

掃除機の使い勝手の表現として、よく「取り回しのしやすさ」という言い方がなされますが、ザ・クリーナーは段違いです。一般的な取り回しというのは、手首をひねってヘッドを動かしながら方向転換する、自動車の車庫入れのような動きを指します。しかしザ・クリーナーの場合はそのまま真横にも動かせるので、何度も切り返しながら動かす必要がありません。テーブルの脚や椅子の周りなども、ヘッドだけをクルッと回転させながら掃除ができるのでかなり楽です。

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テーブル脚や椅子の周りなども、ヘッドを回転させながら掃除できます

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角ローラーのおかげで、壁に沿って動かしやすくなっています

標準モードでの吸引力はほかの掃除機よりも特に強いと感じることもありませんが、弱いという感じでもありません。どの掃除機でもだいたい一回でゴミを取りきれるわけではないので、吸引力よりも掃除のしやすさの方に圧倒的な魅力を感じました。

ハンドルを付け替えればハンディ掃除機としても使える

一般的な低重心タイプのコードレススティック掃除機は、フロア専用か、ハンディ掃除機を取り外して使える「2in1」タイプになっていますが、ザ・クリーナーは違います。ヘッドとハンドルを取り外して、ハンディ用のハンドルとノズルを取り付けることでハンディ掃除機として使えるようになっています。

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ハンディ掃除機にしたところ
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ハンドルに電源ボタンが付いています

ザ・クリーナーのフロア掃除時の重さは約3.1kgですが、ハンディ掃除機にしたところ、約1.5kgと軽くなります。ただし最近の軽量コードレススティック掃除機はかなり軽くなっており(Dyson Micro 1.5kgはフロア掃除時で約1.5kg)、手に持ってみるとかなりずっしりと感じます。

ヘッドもハンドルも付け替える手間があるので、ハンディ掃除機としての使い勝手は2in1タイプのようなモデルの方が圧倒的に使いやすいです。卓上やソファなどを頻繁に掃除したいという人にはあまり向きませんが、自在に動かせるフロア用掃除機としてだけでなく、ハンディ掃除機としても使えるという点では悪くないと思います。

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特別に吸引力が高いというわけではありませんが、しっかりと吸えます

「吸引力が抜群!」とか、「アタッチメントが豊富で家中を掃除しやすい!」といった特長はありませんが、とにかくフロア掃除のしやすさは圧倒的です。また、今までの掃除スタイルは何だったんだろう?と思わせるほど、「掃除機の取り回しのしやすさ」という常識をひっくり返すほどの“掃除体験”を生み出してくれます。

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インテリアになじむたたずまいは魅力ですね

価格は決して安い方ではありませんが、ハイエンドに比べると若干リーズナブルな感じはあります。さらにサッと取り出してすぐに掃除でき、インテリアに溶け込むたたずまいも魅力的。なかなかほかにはない掃除機だと感じました。

バルミューダ ザ・クリーナー 黒(Amazon)

バルミューダ ザ・クリーナー 白(Amazon)