[名称] Blu-ray Disc Rewritable、BD-RE Ver. 1.0
[種類] 光ディスク(405nm)
[記録方法] 相変化記録
[サイズ] 120mm
[容量] 23GB、25GB、50GB(2層)
[登場年] 2003年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「BD-RE Ver. 1.0」は、Blu-ray Disc Founders(後のBlu-ray Disc Association)によって策定された書き換え型の光ディスク。CD、DVDに続く第3世代の光ディスクで、容量は1層メディアで23GBと25GB、2層メディアで50GBを実現しました。

前身となったのは、ソニーなどによるDVR-Blueと、松下電器産業(当時)などによる2層相変化RAMディスク。どちらも120mm径で1.2㎜厚という従来の光ディスクを踏襲し、400nm付近の青紫レーザー、相変化記録を採用しているなど共通点が多く、規格乱立による混乱を避けるために統一され、Blu-ray Discとなりました。

細かな技術面を見ていくと意外と違いがあり、とくに興味深かったのがレーザー発振の違いです。ソニーが直接発光するGaN半導体レーザーを採用するのに対し、松下電器産業が採用を検討していたのが、SHG(Second Harmonic Generation)方式によるものでした。

音や電波では、特定の周波数を出力すると整数倍の周波数を持つ高調波が発生します。この原理と同じことをレーザー光に応用したのが、SHG。具体的には、光学結晶中に820nmの高出力レーザー光をあて、2次の高調波成分発生させることで、半分の波長となる410nmのレーザー光を取り出していました。

このSHGで、次世代光ディスクにも使える30mW出力を開発できたと発表されたのが、2001年9月。しかし、この頃にはDVR-Blueはすでにデモ機が動作するまで開発が進んでおり、実用化という面で2層相変化RAMディスクは遅れていました。

そのせいかBlu-ray Discの仕様を見てみると、0.1㎜の保護層、0.85のレンズ開口数(NA)など、主要な部分でDVR-Blueの影響が色濃く残ったものとなっています。

ちなみにDVR-BlueはソニーとフィリップスのCDコンビ、2層相変化RAMディスクは松下電器産業、日立製作所、東芝というDVD-RAMトリオが中心となっていました。この2陣営が手を組み、LG電子、パイオニア、サムスン電子、シャープ、トムソンマルティメディアを加えた10社……ではなく、9社でBlu-ray Disc Foundersが設立されました。

なにか不服があったのでしょう。東芝はBlu-ray Disc Foundersに加わらず、DVDフォーラムで新たな規格をぶち上げました。それが、「HD DVD」です。

混乱を避けたはずなのに、逆に波乱を呼んでしまった第3世代光学ディスク競争がどうなってしまうのか。この先はキミの目で確かめてくれ!

……前書きはこのくらいにして、本題のメディアについてです。

Blu-ray Disc(以下、BD)の初期は、HD録画が可能な記録メディアとしての役割が重視され、BD-ROMよりも先に書き換え型のBD-REが規格化されています。この初期のメディアは「BD-RE Ver. 1.0」で、今のようにディスク単体ではなく、カートリッジで保護されたものとなっていました。

これは、高密度化されたBDはDVDよりもホコリや傷に弱く、記録面をしっかり守る必要があったためです。

カートリッジの裏面はどうなっているのかといえば、記録面を覆うようにシャッターがついているのが特徴です。

面白いのがその構造。PDやDVD-RAMのように、外側に取り付けられたシャッターが横にスライドするのではなく、カートリッジの内側に取り付けられたシャッターが割れるように開く構造になってようになっています。

上の写真はシャッターが閉じているところ。斜めに切れ込みが入っているところから開いていきます。

違う角度から、開いている途中の様子を。こんな感じに内側のシャッターが開いていき、ディスク面が現れます。

このシャッターの操作は側面から行えるようになっていて、カートリッジを挿入すると開き、取り出すと閉まるようになっています。

もうちょっと具体的に見ていきましょう。

これが右側面部分。右の四角いボタンがロック用で、これを押しながらでないとシャッターは開きません。その左、中央付近にあるダイヤル式ボリュームのようなものが、シャッターの開閉操作を行なう部分。これを左右に回転させることで、シャッターが動きます。

このダイヤルには溝や歯車のようなギザギザがあるので、カートリッジ挿入時にドライブ側でここを引っ掛け、回転させることでシャッターが開くわけです。取り出すときにはこの逆の動作となるため、シャッターが閉まります。ちなみにバネなどは入っていないので、勝手に閉まることはありません。

カートリッジを採用するというのも、DVR-Blueから引き継いだ特徴のひとつ。ただし、カートリッジにするとメディアの単価が高くなってしまうため、記録面へのハードコートが採用されるようになったBD-RE Ver. 2.0以降は不要とされ、ディスクのみへと変更されました。

カートリッジの廃止は、2層相変化RAM側からの強い要望があったとかなんだとか、そんな噂を聞いたことがありますが……真偽は不明。

実はこのカートリッジには、細かな違いで3つほど種類があります。

1つ目は、2003年4月に発売され、最初のBD-REレコーダーとなったソニーの「BDZ-S77」などに向けたもの。容量は23GBで、ソニーからだけでなく、TDK、三菱化学、マクセル、富士フイルムといったメーカーからも発売されました。「ディスクマネジメントID」という番号が1枚ずつに刻印され、カートリッジの区別がつくようになっていたのも特徴です。

側面から見えるようになっていた、ディスクマネジメントID。なお、特に便利ではなかったのか、これ以外のBDメディアからは削除されています。

2つ目は、2004年7月に発売された、松下電器産業の「DMR-E700BD」などに向けたもの。25GBとちょっとだけ容量が大きくなったことと、同じカートリッジ式でも、上面がくりぬかれたような簡易的な構造となったのが大きな変化です。

ちなみに、中のディスクが取り出せそうな見た目をしていますが、取り出せません。カートリッジなしにしたかったけど仕方なく付けた、みたいな雰囲気があるような、ないような……。23GBと25GBを見分けるのに分かりやすいので、ありって言えばありなんですが。

なお、ホコリ対策としては、蓋つきの密閉ケースに入れることで対処しています。

3つ目は、同じく「DMR-E700BD」向けですが、2層ディスクとなる50GBのモデル。形状は25GBと同じで、こちらも簡易的な構造のカートリッジを採用しています。この2層BD-REを先に出したというあたりが、2層相変化RAM陣営の意地でしょうか。

3種類あるBD-RE Ver. 1.0ですが、ファイルフォーマットにBDFS、著作権保護技術にBD-CPSという独自のものを採用していて、後に登場したBD-R/ROMはもちろんのこと、BD-RE Ver. 2.0以降とも互換性がありません。もちろん、PCからも利用不可。そのため、同じBlu-ray Discだといっても、BD-RE Ver. 1.0だけは別モノだと考えた方がいいでしょう。

当然のことながら、カートリッジが廃止されたBD-RE Ver. 2.0やBD-R/ROMの登場以降、BD-RE Ver. 1.0が採用されることはなくなりました。

連載:スイートメモリーズ

参考:

BDZ-S77, ソニー
BF23G, 記録メディア, ソニー
DMR-E700BD, パナソニック
録画用ブルーレイディスク(25GB) LM-BRM25, パナソニック
青紫色レーザーを用いた大容量光ディスクビデオレコーダー規格「Blu-ray Disc」を策定, 日立製作所
両面記録容量100ギガバイトの次世代DVD用光ヘッド技術を共同開発, 日立製作所
世界初、高出力・高性能SHG青色レーザ(波長410nm)を開発, 松下電器産業, Wayback Machine
400nm半導体レーザー応用次世代光ディスク, J-STAGE
大容量光ディスクビデオレコーダ規格「Blu-ray Disc」, J-STAGE
高密度光ディスク用光導波路型SHG青色レーザー, J-STAGE