[名称] Bernoulli Disk(Bernoulli Box)
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 198mm
[容量] 10MB、20MB
[登場年] 1982年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「Bernoulli Disk」(第1世代、8インチ)は、Iomega社が最初に開発した磁気ディスク。すでに5.25インチのフロッピーディスクは登場していましたが、約10MBというHDDに近い大容量と約1MB/sという高速性をもつ、より実用性の高いリムーバブルディスクとして登場しました。

以前、5.25インチの第2世代Bernoulliを紹介していますが、原理は基本的に同じです。簡単におさらいすると、フロッピーディスクと似た薄いフィルム状のディスクを採用し、これを湾曲させてヘッドに近づけることで読み書きするというものです。

湾曲させるといっても何かで押したりするわけではなく、高速回転する物体の周辺に発生する負圧を利用。この負圧がディスクをヘッド側へと引き寄せ、ディスクが湾曲するわけです。この原理がベルヌーイの定理によるものということが、Bernoulli Diskの名前の由来となりました。

ちなみに、ディスクの回転が落ちると負圧がなくなり、ヘッドから勝手に離れていきます。つまり、突然の電源断でも理論上ディスクとヘッドがぶつからず、ディスク面に傷がつかないわけですね。よく考えられた作りです。

Bernoulli Diskの回転数は、約1500rpm。フロッピーディスクが約300~360rpmですから、驚くほど高回転です。とはいえ、HDDは初期のものでも約3600rpmですから、HDDほどではありません。

カートリッジはがっしりとしたケースが採用されたもので、フロッピーディスクのような薄さとはかけ離れています。サイズは約209×280×18mmで、ほぼA4サイズ。重量は約590g(実測では約540g)もありました。サイズ感を想像するなら、今時の超軽量モバイルノート……富士通の「UH-X/F3」あたりをちょっと小さくしたと考えると、イメージに近いでしょう。

これは10MBのカートリッジですが、20MBのカートリッジも形は同じです。上半分にある大きな四角い部分は、ディスクを守るシャッター。開閉はスライド式です。

これは挿入方向から見たところ。中のディスクが見えないよう、端から端までシャッターで塞がれています。

どうやって開くのかといえば、中央にある2つ四角い穴から金属プレートを挿しこみ、シャッターを持ち上げながら押し込んで開く、という構造になっています。

ちょっと手間がかかる動作なうえ、さらに左右の奥にロック機構まで装備されているため、ドライブに挿しこまずに開けるのは結構難しいです。

こちらが開けてみたところ。頑張りました。ディスクを湾曲させるスペースを確保するためか、かなり大きく開きます。中のディスクは直径198mm。大きいですが厚みはなく、ペラペラです。

なお、理論上はヘッドとディスクが触れることがないハズですが、入手したディスク面は擦り傷が……。第2世代のBernoulli Diskでも擦り傷が目立っていましたし、現実はなかなか理論通りにはいかなかったようです。

ちなみに、取り出すときはドライブの出口に作られた突起部分にシャッターの出っ張りがぶつかり、ドライブ内でシャッターが閉まらない限り取り出せないようになっていました。これだけ大きなシャッターですし、開いたまま取り出せてしまうと、ゴミや指紋、汚れなどで大変なことになりますからね。

ディスクがどれほどペラペラで柔らかいか、どう見せようかと悩んだ結果がこれ。ひっくり返してみただけですが、自重でここまで湾曲するというのはなかなかすごいのでは。中央のハブ接続部が重たいというのもありますが、ゆっくりひっくり返さないと中身のディスクが出てきてしまいそうになるほどです。

負圧で引き寄せるといっても、そんな簡単に湾曲するのか?と少々疑っていただけに、この柔らかさは驚くと同時に納得できるものでした。

こちらはオマケですが、クリーニング用のカートリッジ。

カートリッジをドライブに挿しこんでレバーを左右に動かし、ヘッドを拭くというものです。写真では分かりやすいようシャッターを開けていますが、普通はシャッターを閉じて使います。

ちなみに、ドライブの製品名は「Bernoulli Box」。これ用のディスクという意味で、カートリッジを「Bernoulli Disk」と呼んでいます。

第1世代のBernoulli Diskについて調べていると、5MBという容量もあったような記述が多いのですが、8インチのカートリッジとして10MBと20MBの写真はあるものの、5MBは見あたりません。当時の広告に記載されているのを発見しましたが、「5-megabyte for the Macintosh」と書かれており、別の製品となっているようでした。

別製品という前提で探してみると、5MBの容量だという「Iomega B105MAC」という製品を発見。広告に載っている右のドライブが、どうやらこれのようです。そう簡単には見つからない気もしていますが、そのうち手に入れたいものです。

連載:スイートメモリーズ

参考:

Iomega Alpha 10 Brochure Mar82, UserManual.wiki
Iomega Bernoulli disk 8-inch (1982-1987), Museum of Obsolete Media
Bernoulli Box, Wikipedia