見た目が変わっただけじゃない。次期macOS「Big Sur」がもたらす価値(本田雅一)

明らかにMac。しかし想像以上にiPhone / iPad

本田雅一
本田雅一, @rokuzouhonda
2020年06月25日, 午前 07:30 in apple sillicon
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例年、Appleが自社製品向けの新しいOSを一斉に発表するWWDCですが、今年はユーザーインターフェイスの大幅な改良が目立ちます。iOS / iPadOSのアップデートも大きなものですが、macOSがルック&フィールで最も大きく変わりました。基調講演の中でも「MacOS X以降、最大のデザイン変更」と話していましたよね。

近年のmacOSはバージョン番号で呼ばず、コードネームがそのまま正式名称になっています。現行バージョンはカリフォルニア州にあるSanta Catalynaという島の名前が由来になっていましたが、次のバージョンはBig SurというApple本社からもそう遠くないビーチの名前です。

このBig Sur、もちろんパッと見た目にも大きな変化なのですが、Apple Silicon搭載Macの導入を控えていることもあり、実に細かなところまでiOS / iPadOSと似たフィーリングに追い込まれています。

Apple Silicon搭載Macでは、iPhone / iPad用アプリケーションが、そのままmacOS上のアプリとして動作しますから、Mac全体の操作感とiPhone / iPad用アプリとの間のルック&フィールを合わせ込んできたのでしょう。

明らかにMac。しかし想像以上にiPhone / iPad

サブタイトルそのままですが、Big Surのβ版を使ってみての率直な感想は「明らかにMac。しかし、想像以上にiPhone / iPad」というものです。

従来よりもわずかにコーナーの丸みが強くなったウィンドウやデスクトップ。そしてアイコンはコーナーに丸みがある、iOSライクな正方形のフラット系テイストで、従来のデザインにも寄せているためか、少しだけ膨らみが与えられ、既存ユーザーが違和感を強く持たないよう配慮されています。

メニューバーの文字は白で、透明に近い背景は壁紙とブレンドされますが、そこからドロップダウンさせたメニューは、白系半透明バックに黒文字とメニューバーとは反転したカラー配置。メニューは独立して浮き上がったように見え、フォントのボディがわずかに小さく、その分、行間が広がった印象です。

ウィンドウ全体も、タイトルバーがないiPadアプリケーションのような1枚板に見えるレイアウトが多用されています(文書タイトル付きのレイアウトも可能)。iPadアプリとの明確な違いはツールバーの左にクローズ、ミニマイズ、マキシマイズのウィンドウ制御ボタンが配置されていることぐらい。

メールなどでは左側にフォルダなど操作するサイドバーを表示できますが、ここが半透明でメッセージリストやメッセージ内容を表示するペインとコントラストをつけているところ、ツールバーのルックや、マウスをロールオーバーした際にボタン全体が反転して見えるところなど、iPadOSを使っている人ならば”お馴染み”の雰囲気に包まれています。

もっとも”デザインや操作性が新しくなった”ことを使いながらに意識することはありません。実際にβ版のBig SurをインストールしたMacでこの記事を執筆していますが、操作に迷いを感じることは今のところありません。

ところが、新しいルック&フィールに馴染ませるためのガイドをWWDCのセッション( https://developer.apple.com/wwdc20/10104 )を見て細かく掘り下げると、極めて多くの要素に変更が加えられているのです。これだけiPhone / iPad的なのに、Macを使っている雰囲気が全く損なわれない。大きく違うはずなのに、どこか奇妙に感じるほど馴染んでいます。

似ているのはルック&フィールだけではない

iPhone / iPadユーザーなら、いつもの見慣れた雰囲気に包まれて操作できるでしょう。しかし、そこには”少しだけ違う”感触もしっかりと伝わっており、かなり綿密に計画されたデザインチェンジであることが感じ取れます。

さらに使い進めてみると、ウィンドウやダイアログを構成する部品のルックスだけではなく操作性や見せ方もiOSに近づけていることがわかるはず。とりわけ、通知エリアのレイアウトや見せ方がiOS的で、ウィジェットも基本的には同じものが使えます。単にデザインディテールが似ているだけではなく、操作する様々な部分が似ているために違和感を覚えないのでしょう。

Macユーザーの視点からみると”変更された”と映るかもしれません。しかし、Macよりも遥かにiPhoneの方がユーザー数は多いですよね。iPhoneは使い慣れているけれど、パソコンは会社にあるWindowsだけ、なんて人にとってみれば、いつも使い慣れたiPhoneの延長線上にあるパソコンという位置付けに見えるのではないでしょうか。

まだβ版であるため、最終的にどのような仕上がりになるか、細かなフィーリングはこれから追い込まれることになります。しかし、例えば省電力設定のバッテリ消費グラフ表示などで、iPhoneでお馴染みの見せ方が踏襲されているなど、今後はさらに境目がなくなっていくでしょう。

一方でBig Surから追加されたコントロールセンター(iPhoneにあるコントロールセンターとほぼ同じもの)のアイコンをドラッグし、メニューバーにドロップすることで調整用ドロップダウンが追加できる、そんないかにもMac的な使い方も可能になっています。

ルック&フィールと、各種設定などの見せ方やコントロールセンターなどの機能設定に関する振る舞いなど、機能レベルにまで掘り下げてもMacとiPhoneの馴染みが良くなっていることを使い込むほどに感じています。

Mac Catalystの活用で標準アプリの機能がiOS版に近く

iOS向けに開発されたアプリケーションをMacで動かすというプロジェクトは2年前のWWDCで発表され、Apple自身がその機能や開発環境を使い込みつつアップデートが進められています。、昨年はCatalynaに幾つかのCatalyst(以前は頭の”Mac”がなかった)で作られたアプリケーションが添付。同時に開発者に解放されました。

すでにボイスメモ、株価、Podcast、Apple TV、写真などがiPad版からの移植になっていましたが、Big Surではメッセージと地図がiPad版からのMac Catalystを使った移植になりました。

いや、移植というのは正しい表現とは言えないかもしれません。もちろん、macOS用に調整はしているのですが、Mac上できちんと動作するようにMac Catalyst自身のアップデートも行われているからです。

今後、Appleは継続的に──すなわち、メジャーなmacOSのアップデートとは独立してMac Catalystをアップデートしていくそうです。より多くのユーザーがいるiPhone向けに開発されたアプリをMacに導くために、ここの部分の互換性を高めることは重要ですよね。

例えばBig Surの地図はiOS / iPadOS版と機能が揃えられましたが、実はMacらしい部分も取り入れられています。それはマルチウィンドウで使えること。複数の地図ウィンドウを開き、異なる場所を検索したり、片方でルート計画を作って表示しておき、別の地図ウィンドウで行先のローカル情報を探したりといった、iPhone / iPadでは困難な作業が楽に行えます。

本当に速くなったSafari

ところで、Big Surを実際に使って最初に驚いたのはSafariのパフォーマンスでした。

とにかく速い。

今後、どのブラウザもさらにチューニングが進んでいくでしょうし、高速なMacを使っていれば気づかないかもしれませんけれど、パッと一瞬で全ての要素が揃うように表示されます。

そしてプライバシーに関する情報の”見える化”。

多くのウェブサイトには広告が埋め込まれていますが、そうしたインターネット広告は多くの場合、異なるサイト間でどのように移動しながらコンテンツを見ているのか、閲覧者の動線を追跡しています。どのようなコンテンツを見ているかを追跡することで、その人が興味を持ちそうな広告を表示しています。こうしたターゲット型の広告が全て有害というわけではないのですが、どんなサービス事業者のトラッカーが埋め込まれているか、新いSafariは教えてくれます。

表示しているページのトラッカーも一覧できますし、トラッカーが埋め込まれているサイトの一覧を表示し、何種類のトラッカーがあったのか。あるいは特定サービス事業者のトラッカーが、いくつのウェブサイトで見つかったのか、なんてことを自動的に統計をとり、見せてくれるのです。

同様にSafariの拡張モジュールも導入時に、どのような振る舞いをするかをユーザーに確認してくれます。拡張モジュールを入れることで、どのような情報が外部に送信される可能性があるのか。ユーザー自身に知らせ、確認をした上でしか使えません。

このほか、タブの上にマウスカーソルをロールオーバーすると、ページ全体のプレビューがサムネイルで表示される気の利いた機能も追加されています。Webブラウザは様々なアプリケーション、コンテンツに繋がるもっともベーシックな窓ですから、ここが改良されたことは素直に喜びたいところですね。


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