極めてまれな中間質量ブラックホールを初観測。誕生の重力波検出、重さは太陽の142倍

本来存在しない大きさ

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年09月3日, 午前 09:00 in space
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LIGO
Mark Myers, ARC Centre of Excellence for Gravitational Wave Discovery (OzGrav)

宇宙の闇に存在するブラックホールは、超新星爆発によって形成される恒星質量型(太陽の5~数十倍倍未満の質量)と、銀河の中心に存在するとされる超大質量型(太陽の10万倍以上)の2種類の存在が考えられていた一方で、この2つの中間の質量を持つものは確認されることがありませんでした。

今週、米国と欧州の重力波検出器「LIGO」と「Virgo」のコラボレーションによる研究チームが、中間質量ブラックホールが誕生する際に発生したとみられる重力波”GW190521”の研究結果を報告しました。

この重力波は非常に微弱なものでしたが、研究者は「この信号が2つのブラックホールが衝突して発生したものであることを確認できた」と述べています。衝突したブラックホールの質量は太陽の約85倍と65倍で、それらが衝突のした際に太陽8個ぶんに相当するエネルギーを放出して約142太陽質量の1つのブラックホールを形成した様子が観測されたということです。

恒星の老化と進化の関係から、質量が太陽の60倍を超える恒星は、その末期になると自身の質量に耐えられなくなり、重力崩壊を起こします。その際に多くの質量をしたがって今回の重力波の元になった2つのブラックホールは、通常は存在し得ない大きさだったと考えられます。

そこで研究者らは考えられる説として、今回の現象がブラックホールの「階層的な合体」の一例ではないかとの考え方を示しました。衝突前のブラックホールはすでにどこかで別のブラックホールと合体してできたもので、それらは互いに近いところにあったと考えられるわけです。

中間質量ブラックホールの形成には他の考え方もあります。たとえば分厚いガスや塵で形成される円盤に取り込まれた恒星質量ブラックホールがそれらを吸収したり他の天体を飲み込んで形成された説や、ビッグバンの際に密集したガスから生まれた太陽の1万倍以上の質量を持つ巨大な恒星がブラックホール化した説etc...。とはいえ、今回の例は「階層的な合体」説が有力であるとともに中間質量ブラックホールがほとんど見つからない原因をよく説明しているように思えます。

ヴァンダービルト大学のKaram Jani博士は、中間質量ブラックホールが形成されるプロセスは恒星質量ブラックホールや超大質量ブラックホールの誕生プロセスの発生よりも500倍も少ないと指摘します。

「この(中間質量ブラックホール)ブラックホールを形成する可能性をもつすべての既知のシナリオを調べましたが、決定的な説明はまだみつかりません」「わかっていることは、中間質量ブラックホールの形成は非常にまれなプロセスだということです。それらが生まれる過程を知るためには、さらに多くの発見が必要です」とJani博士は述べています。

source:LIGO

via:Ars Technia

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