「存在しないはずの謎の天体」がブラックホールに飲まれる。重力波検出も正体不明

大きな中性子星、小さなブラックホール…

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年06月25日, 午後 09:00 in science
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Pitris via Getty Images

ノーベル賞に値すると言われた重力波の初観測からまだ数年ですが、あれから今日までには幾度も重力波が観測され、わりとありふれたイベントのような錯覚すら覚えるようになっています。しかし、天文学者らはこの現象から新たに知ることがまだたくさんあるようです。

2019年8月14日、米国の重力波観測施設「LIGO」と、欧州の重力波観測施設「Virgo」を用いたLIGO科学コラボレーションが、奇妙な重力波を検出しました。その測定値から導き出されたのは、何らかの物体が、約7億8000万年前にブラックホールに飲み込まれたことでした。

何が奇妙なのかといえば、このブラックホールに飲み込まれた側の物体の質量が太陽の約2.6倍の質量だったという点。ブラックホールに飲み込まれた際に重力波を発生するのはだいたい中性子星かブラックホールに限られるのですが、この両方とも太陽の約2.6倍の質量では存在しないと考えられています。

中性子星もブラックホールも、太陽の8~10倍の質量の恒星が超新星爆発を起こしたあとに残った、非常に高密度な天体と考えられています。

中性子星の質量は最大でも太陽の2.5倍とされ、昨年発見された記録上最も重い中性子星は太陽の2.1倍の重さと言われています。一方、ブラックホールの質量は、これまでに発見された最も軽いもので、太陽の3~3.3倍の質量であり、一般的には最小でも太陽の5倍とされています。

つまり、今回重力波を発生させた太陽の2.6倍の質量を持つ物体は、中性子星としてもブラックホールとしても本来は存在しえないはずで、どっちだったのかがわからないということです。

さらに、飲み込んだ側のブラックホールは太陽24個分の質量を持っており、それほど質量に差がある天体どうしが(片側が飲み込まれる前の段階である)連星を成すことができるのかもわかっていません。

謎の物体はすでに(実際には約7億8000万年前に)ブラックホールに吸収されて存在しないものの、天文学者らがこれらの謎について調べて解き明かすことで、さらに宇宙への理解を深めるられることは間違いありません。

source:The Astrophysical Journal Letters

 
 

 

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