rem sleep
京都大

京都大の林悠教授らの研究チームは8月27日、睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明したとする研究内容を発表しました。研究成果は、国際学術誌「Cell Reports」に掲載されています。

哺乳類の睡眠は、大きくノンレム睡眠とレム睡眠から構成されており、このうちノンレム睡眠に関しては、成長ホルモンの分泌上昇やストレスホルモンの分泌減少など、身体の回復に寄与することが分かっていました。しかし、高速眼球運動を伴い、脳が活動しながらも体が休息状態にあるレム睡眠については、その役割がよくわかっていなかったとのこと。ただ、レム睡眠が少ないとアルツハイマー病などの認知症リスクや死亡リスクが高まることはわかっていました。ちなみに、成人の睡眠に占める正常なレム睡眠の割合は20%前後とされています。

今回の研究では、波長が長いレーザー光によって生体組織の深部イメージングを可能にする二光子励起顕微鏡を用いることで、睡眠中のマウスの脳内血流を直接観察することに成功。その結果、レム睡眠中には、大脳皮質の毛細血管に流入する赤血球の量が平常時の2倍近くになることが判明しました。これは、レム睡眠中は大脳皮質の血流が上昇し、神経細胞に酸素や栄養を届けるとともに、不要な老廃物を回収する物質交換が活発に行われていることを意味します。これにより、脳がリフレッシュされていると考えられるとのことです。

このことから、レム睡眠が減少することで、大脳皮質の活発な物質交換が損なわれ、結果として認知症の発症に関与している可能性が考えられるとしています。

今後、レム睡眠の割合を効率的に増やす薬や行動療法により、脳の機能低下や認知症の予防、さらには、脳の栄養補給や老廃物除去などの物質交換を人為的に活性化させることで、あらたな認知症の治療法開発につながるかもしれないと期待を寄せています。

Source:京都大学