[名称] ICD-P300
[種類] CD-ROM
[記録方法] 不可
[サイズ] 140×210×41mm
[容量] 650MB
[接続] パラレルポート(IEEE1284)
[電源] 10.5V1A、ACアダプター
[登場年] 1994年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「ICD-P300」は、IMESが発売した2倍速CD-ROMドライブ。接続インターフェースはパラレルポートで、高価なSCSIインターフェースを増設することなく、ノートでもデスクトップでも利用できるというのがメリットでした。

CD-ROMは音楽用CDと同じくプレス製造でき、大容量データを低価格に受け渡せることから、1990年前後から普及が始まりました。

PC用としてCD-ROMが注目を集めたのは、1989年2月に富士通から発売された「FM TOWNS」の存在が大きいでしょう。CD-ROMドライブを初めて標準搭載し、OSやソフトの提供がCD-ROMで行われるようになりました。

実はこれ以前にも、一般向けに発売されたCD-ROMドライブがあります。それが、1988年12月に発売されたPCエンジン用の「CD-ROM2(シーディーロムロム)」です。これはあくまでゲーム機用ですが、1989年11月に発売された「PC-8801MC」のCD-ROMドライブとして利用できたので、ある意味、PC用でもあるといっていいかもしれません。

さて本題です。

ICD-P300は、DOS、OS/2、Windows3.1で使えるCD-ROMドライブとして発売され、主にPC/AT互換機……いわゆるDOS/V機用として使われました。なぜ人気のあったNECのPC-98シリーズで使われなかったかといえば、PC-98シリーズにはプリンターポートはあるものの、双方向のデータ通信に対応しているIEEE1284準拠のパラレルポートではなかったためです。

Wayback Machineに残されていた製品ページを見てみると、PC-98シリーズにも一応対応しているものの、専用アダプタカードが必要となっていました。

本体を見ていきましょう。

ドライブ本体右側、青いイジェクトボタンを押すとカバーが開いて、CD-ROMを出し入れできるようになります。

2倍速ということもあり、今時の薄型光学ドライブのようにメディアをロックするような機構はナシ。カバーの裏側に見える円形の重しで、CD-ROMが回転中にブレないよう押さえているだけです。

左側の「START/STOP」と書いてある白いボタンは、実は音楽CD用の再生/一時停止ボタン。

再生中はこのように、POWER LEDが緑に光るだけでなくACCESS LEDがオレンジに光り、フロント部のPHONES端子に接続したイヤホンやヘッドホンで音楽CDが楽しめます。当然ですが、PHONES端子の左にあるVOLUMEで、音量調整も可能です。

ただし、できる操作は再生/一時停止だけで、曲の早送りやスキップなどはできない様子。また、先読みバッファーや再読み込みもないようで、振動などで簡単に音飛びしますし、読み込みエラーが続くと止まります。

試しに音楽CDを再生してみたのですが、短ければ音楽再生できずに停止、長くても10分以内で止まってしまいました。20年以上昔のドライブということもあり、色々劣化してそうですね。むしろ、難アリとはいえ音楽再生できたことを褒めるべきかもしれません。

背面はPCと接続するインターフェース、つまりパラレルポートと電源スイッチがあります。パラレルポートはD-Sub25ピンの一般的なもので、このあたりはZIPドライブと同じです。

付属のACアダプターは10.5Vとやや変則的。手にしてみるとわかるのですが、えらいこと重たい。重さを測ってみたら467gもありました。

今だとスイッチング電源が普通ですが、この頃はまだトランスを使ったACアダプターが残っていたみたいです。せっかくなので、中を見てみましょう。

トランスで電圧を下げてダイオードブリッジで整流、コンデンサーで平滑するという、中学の技術で習いそうなくらい分かりやすい回路でした。とはいえシンプルすぎるような……。いえ、動くのですから全然アリですけど。

あまり考えずに使いましたが、コンデンサーの容量も抜けてるでしょうし、さすがに使わない方がいいですね。

この製品がにわかに話題に上がったのが1998年頃。さすがに時代遅れとなっていただけに、3000円前後で投げ売りされていたからです。当時の「AKIBA Hotline!」(インプレス)に、お買い得価格情報として残っていました。

お買い得価格情報 1998年8月22日号

自分もこの時に購入したクチで、そのとき入手した古いノートPCへのOSインストールで便利に使わせてもらいました。というか、その時くらいしか使わなかったので、実は音楽CDを再生したつい先ほどが、二十数年ぶりの利用になります。

今と違って接続すればスグに認識して使えるものではなく、電源オフの状態で接続し、OSの起動時にドライバーを読み込ませてやっと使えるというものでした。ドライバーの提供はフロッピーディスクで、さすがにもう読めないだろうと思いながらも試してみたところ、エラーもなくファイルが読み出せて驚きました。

購入したのが後期なのでドライバーディスクも新しくなっており、Windows 95用のドライバーも入っていました。Windows 95以前の環境を整えて、ちょっと動かしてみたくなりますね。

なお、正確な発売時期が分からなかったため、DOS用のドライバーファイルの日付から1994年頃だろうと推測しています。間違っていたらごめんなさい。

連載:スイートメモリーズ

参考:

ICD-P300, IMES, Wayback Machine