STR/AFP via Getty Images
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中国が宇宙ステーション「天和」のモジュールを打ち上げるのに使用した長征5Bロケットのブースター部分は、中国が制御を放棄した状態で大気圏に落下するとされ、当初はいつどこで大気圏に落下するのかがはっきりしない状態になっていました。そして先週の予測では8〜9日にも大気圏に再突入し、その機体の一部が地上もしくは海に落下すると予測されていました

米宇宙軍は日本時間10日、そのロケットの残骸が日本時間10日11時24分ごろにインド洋・モルディブ諸島西の沖に落下したと伝えました。米軍のデータを利用している監視サービス「Space-Track」も、ロケットはサウジアラビア上空で目撃された後、モルディブ付近のインド洋に落下したとしています。また中国政府も同様の見解を示しています。

軌道に打ち上げたロケットの機体が大気圏に再突入し、その残骸が燃え尽きずに落下する可能性があることは特に米国からの厳しい批判を招きました。ロイド・オースティン米国防長官は「宇宙進出する国は、地球上の人々や財産を脅かすようなリスクの発生を最小限に抑える責務がある」と述べ「中国が宇宙デブリにおける責任の基準を満たしていないことは明らかだ」と述べました。

ハーバード大学の宇宙物理学者ジョナサン・マクダウェル氏は、NASAの宇宙ステーションSkylabが1979年7月にオーストラリアに落下して以降、ほとんどの国は宇宙船の設計を通じてそのような制御されていない再突入を避けようと努めてきたと述べ「中国のロケット科学者らが、今回の落下に対処しなかったのは怠慢であるように見える」と厳しい評価をしています。

Reutersによると、中国外務省のスポークスマンは、落下前の会見で「ロケットを大気圏への再突入で燃え尽きるように処分することは、世界の宇宙機関が一般的にやっていることだ。私の知る限り、このロケットのはすでに停止している。つまり再突入時にはほとんどが燃え尽き、航空や地上の施設や活動に損傷を与える可能性は非常に低い」としました。 

たしかに航空宇宙の専門家らの見解も、落下すると見られる範囲は大半が海であり、広大な土地のほとんどは無人の場所であることから、実質的に被害が発生する確率は低いと予測していました。実際、そのとおりだったわけですが、昨年5月には実際に長征5Bがアフリカのコートジボワールに落下しており、今後も中国が長征5Bを打ち上げるたびにこのような心配をしなければならないようでは困るというものです。

しかし経済力を盾に外交でも強硬な姿勢が目立ち始めた中国がいまの方針を簡単に変えることはなさそうです。中国国内の報道も、今回の件に関する欧米の懸念を「西側の誇大な宣伝行為」と報じ、ロケットの残骸が落下したとしても海に落ちるため安全だと予想していたとReutersは伝えています。

Source:Reuters, BBC