Thomas Peter / Reuters
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ウェブサイトやインターネットにつながる監視カメラから無断収集した画像を使って顔認識AIを開発し批判に晒されているClearview AIは、その顔認識AIに関して米国で特許を取得するつもりだと報じられました。Politicoによると、Clearviewはすでに米国特許商標庁(USPTO)から「Notice of Allowance(特許査定)」を受け取ったとされ、あとは特許管理費用を支払うだけで、特許権が発生することになります。

Clearview AIの創業者Hoan Ton-That氏は、Politico社に対し「大規模なインターネットデータ」を使った初の顔認識特許だと主張しています。同社はこのツールを、検索の迅速化を望む政府機関(法執行機関を含む)などを主な顧客として販売しています。

Ton-That氏は、Clearview社が政府機関以外に販売する予定はなく、偏りのないシステムを持つことが「重要」だと主張しています。しかしPoliticoは、特許出願書には警察による容疑者の特定にとどまらない用途を示唆する文言が含まれていると指摘、意図するしないにかかわらず個人のデート相手やビジネス上の顧客の情報を得るための扉も開かれていると報じています。

評論家は、Clearview AIの顔認識技術はプライバシーを侵害するものであり、特に社会的少数(マイノリティ)な人たちに悪影響を与える可能性があると主張しています。実際、AIによる顔認識技術は有色人種や女性の識別精度が甘いとされ、法執行機関がこれを使用して、もしAIが誤った判定を下したりすれば、誤認逮捕などにつながる可能性も指摘されます。また理論的には、この技術が政治的反対意見を抑圧したり、個人的に使用すればストーカー行為などに悪用される恐れも指摘されています。

Clearview AIは、2020年にこの技術がFBIや国土安全保障省を含む2400以上の政府機関で使われていると発表していました。さらに、今年1月に起きた米議会での暴動では、これに加わった人物を特定するため、法執行機関による利用が急激に増加したと主張しています

また、イリノイ州では昨年、州が定める生体情報プライバシー保護法に違反したとして、アメリカ自由人権協会がClearview AIを相手取り提訴、これによりClearview AIは企業や法執行機関以外への技術の販売を取りやめることになりました。また2020年11月には、オーストラリア政府がClearview AIにすべてのオーストラリア国民の顔写真データベースを消去するよう命じ、さらに欧州の多くの機関もClearview AIに法的な訴えを起こしました。カナダなどは、このAIベンチャーの技術を「違法な集団監視」と表現して見せました。

Facebook、LinkedIn、Twitter、YouTubeといったメジャーなサービスも、Clearview AIが同社がそれぞれのサービスから画像や動画を無断で取得して利用することはそれぞれのサイトのポリシーに違反する行為だとして、その技術のサービスへの適用を禁止しました。

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Source:Politico