Taylor Swift

6月29日、カリフォルニア州オークランドにあるアラメダ郡裁判所で、昨年黒人男性スティーブン・テイラー氏を殺害し自発的過失致死で起訴された元警察官ジェイソン・フレッチャーの公判前審理が行われました。

当日、裁判所前には「有色人種コミュニティに対する警察のテロ行為を根絶する」ことを目的とするBLM活動団体Anti Police-Terror Project (APTP)のメンバーが陣取ってデモを行っており、それを排除しようとした警察官を動画撮影しようとしたところ、警察官はおもむろにスマートフォンでテイラー・スウィフトの楽曲を流し始め「好きなだけ撮影すればいい。YouTubeに投稿できないように、音楽を流しているからね」と話しました。また「そうするのが正しい手順なのか」との質問には「特に説明することはない」と返答しています。

しかし、警官の目論見は外れ、動画はそのままTwitterやYouTubeにアップロードされたばかりかバイラル化してしまい、記事執筆時点でTwitterで約80万回、YouTubeでも30万回を超える再生回数に到達してしまいました。

この警官の行為は合衆国憲法修正第一条にある言論または報道自由を保障する項目を侵害するものと考えることができ、現地の保安官事務所は「我々は動画を見て事務局に照会しましたが、このような行為は認められるものではありません。二度と起こらないでしょう」とコメントしています。とはいえ、Vice Newsが伝えるところでは2月、ビバリーヒルズで違反切符を切られたことに抗議する活動家が警官を撮影してライブ配信しようとしたところ、警官が90年代のロックバンドSublimeの音楽を流して音声を中断させようとしたことなど、複数の事例を報告しています。

APTPはYouTubeページで「このような事例については耳にしていたものの、これまで誰も動画には収めていませんでした。今回の動画では、警官がこのやり口を実行に移している部分があるだけでなく、警官が自らその理由を認めている」と述べています、

著作権で保護されるアーティストの楽曲を動画内で流したらどうなるのか、たとえばYouTubeの場合は、投稿された動画をContent IDシステムや複数の著作権管理ツールおよび権利所有者から提出されたデータベースを照会して検証され、著作権者は権利を侵害するコンテンツをブロックさせるか、そのまま再生可能として収益を得るか、またはしばらく状況を追跡するかを選択、決定できます。

また他の多くのSNSプラットフォームでも、自動的に投稿またはストリーミングされる動画から著作物を検出してフラグを立てたり、削除する仕組みを持っています。ただ、その適用ポリシーはサービスによって様々です。

ただし、著作権コンテンツの削除について研究しているハーバード大学Lumenプロジェクトの研究者らは、BLM抗議活動に関連する動画が、少なからず著作権で保護される楽曲が含まれているという理由で削除されていると指摘しています。

アメリカ自由人権協会は、この手段がここ最近流行しているようだと、Washington Postに述べています。そのうえで「人々には警察を撮影する権利があり、この権利を侵害しようとする警察の試みは憲法に違反する。したがって、著作権法を逆手にとって人々の権利行使を防げているとすれば、それが本当の問題だ」と語っています。

警察官も、活動家の行為が犯罪に該当したり治安を乱すものなら毅然と対応すれば良いはずで、このような手段をとれば逆にやましいことがあるかのように周囲に伝わってしまうような気がします。実際、活動家の投稿した動画はかえって再生回数を伸ばし、警官の顔は世界中に知れ渡ってしまいました。

Source:Washington Post

via:Variety