Channel 4
Channel 4

英国では恒例行事となっている、エリザベス女王によるクリスマスメッセージは、今年はいつものBBC Oneでのテレビ放送に加え、アマゾンのAlexaデバイスを通じても聴くことができるようになると、先週発表がありました。そして新たに、英国第4の公共放送Channel 4でも”他とは違う”エリザベス女王のメッセージが流れることになりました。

Channel 4では、女王は「BBCは本音でしゃべることができませんでした。誰にも邪魔されず言いたいことを言える機会をくださったチャンネル4に心から感謝します」述べてスピーチを開始。ヘンリー王子とメーガン妃が王室の公務から離れてカナダへと渡ったこと、2019年に性的人身売買の罪で告発され、拘留中に死亡したジェフリー・エプスタインと自身の関係について赤裸々に語るという普通ならありえない話を展開します。

さらに、女王は何を思ったか目の前のテーブルに乗り、TikTokで人気だというダンスを紙吹雪まで降らせてノリノリで踊り出します。

もちろんこれは、本物のエリザベス女王のクリスマスメッセージではありません。Channel 4は、オスカーを受賞したこともあるVFXスタジオ Framestore の手を借り、AIで合成したディープフェイク映像によるニセ女王のスピーチを制作、英国民に対してフェイクニュースや情報操作されたメッセージに対する「厳しい警告」を投げかけることを意図しました。映像を制作したディレクターは、この映像が「われわれはもはや自分の目を信じることができないのだという、強い注意喚起」だとThe Guardianに述べています。

実際のところ、映像はところどころに不自然さを残して制作されており、少なくとも英国民であればほとんどの人が、画面のなかのエリザベス女王の不自然さに気づくようなレベルのものになっているようです。BBCの王室付記者ニコラス・ウィッチェル氏は「これまでにも女王のまねごとをする企画は数多くありましたが、今回は非常に出来がよろしくない。声を聴けばすぐに(それが偽物だと)気づきます。それ以上に、口の動きが無理に声にあわせていて不自然です」と述べました。

またSNSを通じてディープフェイク女王の動画をチラ見せしたChannel 4に対しては、たとえそれが視聴者への警告だとしても、女王に対し不敬だと批判の声もあがっているとのこと。

もちろん、もっと精巧なディープフェイク動画を作ることはできるはずですが、Channel 4の意図としては気づかれることで世間の注意を喚起できるようにしたかったのかもしれません。

なお、テレビでの女王陛下のクリスマスメッセージは英国時間12月25日午後3時25分ごろ(日本時間26日午前0時25分)からに予定されており、Channel 4はその裏でこのディープフェイク女王の映像を流す予定です。

source:BBC News