REUTERS/Anton Vaganov
REUTERS/Anton Vaganov

ロシアによるインターネット上の活動はハッキングやそれを利用した選挙妨害にとどまらず、他国が開発した新型コロナウイルスの信頼を損ねるためのものもあるようです。米国当局者がWall Street Journalに語ったところでは、ロシアが自国の新型コロナウイルスワクチン「Sputnik-V(スプートニクV)」と競合するワクチンに関する偽情報を少なくとも4つのニュース/ジャーナルサイトや多数のSNSを通じてばら撒いているとのことです。

New Eastern Outlook、News Front、Oriental Review、Rebel Insideの4サイトはいずれもファイザー製新型コロナワクチンなどが利用するmRNA方式を「急進的かつ実験的技術」と述べ、信頼性が低く危険性が高いなどと伝えています。たとえばNewsFrontは国際的報告事例として「ファイザーやモデルナ製ワクチンを接種した人は、顔の筋肉が麻痺するベル麻痺にかかるリスクが高まった」と報じているとのこと。

しかし実際のところは、mRNA方式のワクチンは人に対して実用化されるのは新型コロナ用が初めてではあるものの、これまでに数千万人への接種実績があり、科学的に安全が証明されています。

米国当局者によると、上記4つのサイトはいずれもそれほど読者数が多いとは言えないものの、国際的なニュースリンクを通じて世界に発信先が増幅される可能性が考えられます。また4サイトはロシア連邦保安庁(FSB security service)やロシア対外情報庁(SVR foreign intelligence)とのつながりがあり、これらにリンクされるSNSアカウントの多くはすでに削除されているものの、英語でない言語のアカウントのなかには2021年初頭まで利用されていたものがあったとのことです。

WSJの報道では、米国務省は4サイトとロシア政府のつながりについて証拠を提示してはいないものの、「ロシア省庁の連携によって」これらの報道を行い、デマを拡散したことに「直接的な責任を負う」としています。ロシアはフェイクニュースの拡散やハッキング活動、自国に不利な情報に関しては明白な証拠があってもこれを否定し続けてきた歴史があり、今回の偽情報の拡散についてもロシア側は否定しています。

ロシアは新型コロナのパンデミックにあって自国製ワクチンを売り出し、必要な量を確保できない国などへの供給によって経済的また政治的な影響力を強めたい考えがあるとされます

新型コロナウイルス用ワクチンにかかわらず薬品に関するフェイクニュースや陰謀論の拡散は、それが必要な人への投与を回避させたり、最悪の場合は救えるはずの命を落とさせる結果を生み出しかねず、医療機関や製薬メーカーへの見当違いの攻撃を起こさせる可能性もあり、悪質な行為というほかありません。

他国のウェブサイトを閉鎖させたり訂正させたりすることは困難なものの、今回の件は米国政府やソーシャルメディアプラットフォームに対し何らかの対策を講じるよう求める声を高まらせる可能性もありそうです。

Source:Wall Street Journal

via:CNN