BIGLOBE donedone Junya Ishino

ビッグローブが、MVNOサービスの新ブランドを立ち上げます。ブランド名は「donedone(ドネドネ)」。寄付の英語であるdonationが名称の由来で、同社によると、Z世代に向けた新たなブランドとして展開していくとのこと。ターゲットとしてはドコモのahamoに近く、シンプルさやオンラインで完結する手軽さを売りにしている一方で、ユーザーが選択した社会貢献活動への寄付ができることを差別化要素にしています。

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▲新ブランドのdonedoneを発表したビッグローブ

若者をターゲットにした新ブランドということで、料金は2728円の一択。データ容量は月50GBです。ただし、同じ50GBの中で、「ベーシックU」と「カスタムU」という2つにプランに分かれています。前者は、データ通信の速度が一律で3Mbpsに絞られるプラン。後者は、指定されたアプリの中からユーザーが選択し3つだけが速度制限なしで利用できるプランで、それ以外は1Mbpsという制限がつきます。どちらも、50GBの容量超過時は1Mbpsになります。

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▲料金プランは2つだが、金額や50GBというデータ容量は共通。通信の仕方に違いがある

KDDIの子会社とはいえ、ビッグローブはキャリアから回線を借りるMVNOとしてサービスを提供しています。そのため、帯域を占有されるリスクのある大容量プランは、提供がしづらいのが現状です。これに対し、donedoneは通信速度を2通りの方法で絞ることで、低価格と大容量を両立させています。一般的に、MVNOはデータ量を低容量にすることで限られた帯域を安く提供していますが、donedoneは速度を絞ることで、コストを抑えたサービス。制約をかける場所を“容量”ではなく“速度”にすることで、大容量のプランを提供しているというわけです。

選択したアプリのみ通常の速度で使えるカスタムUは、ビッグローブが以前から提供してきたゼロレーティングの応用。同社はBIGLOBE MOBILEで、YouTubeやApple Musicなどの全21サービスがデータ容量のカウントの対象外になる「エンタメフリーオプション」を提供しています。アプリのトラフィックを識別するための技術を使っている点は、カスタムUも同じです。ただし、その方向は真逆で、データ量のカウントをしないのではなく、速度制限を緩めるためにゼロレーティングの技術を活用しています。

もう1つの差別化要素になるのが、社会貢献です。ビッグローブの調査では、Z世代の実に94.1%が、社会貢献活動は世の中に必要と答えており、実際に経験がある人も62.2%にのぼります。一方で、その社会貢献活動を継続できていない人が82.4%と多く、継続性が課題になっていることが分かります。こうした社会貢献活動を、継続的かつ気軽にできるよう、donedoneは1回線につき50円をビッグローブから寄付する仕組みを取り入れています。

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▲社会貢献活動に前向きな一方で、継続性に課題があることが浮き彫りになったという

寄付できる分野は「教育」「健康」「海洋」「環境」「医療」の5分野。これらに加え、災害発生時には必要に応じて「緊急」という分野も立ち上がるといいます。ユーザーは、支援する分野を自ら選択できるほか、支援活動を知ることができるようコンテンツも用意されます。

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▲5つないしは6つの分野からユーザーが寄付先を選択可能

寄付をテーマにしたMVNOがこれまでまったくなかったわけではありません。例えば、ガジェット好きの社長でおなじみのエックスモバイルは、当初、途上国の通信環境を整えるための寄付活動を全面的に打ち出していました。事業が拡大するなかで、徐々にその色合いは薄くなっていますが、現在も通信料の1%を、途上国の通信環境や教育を支援する団体に寄付を行っているようです。

通信という意味では、同様の取り組みをしているメーカーも少なくありません。代表的なのは、アップルの「(​PRODUCT)RED」ではないでしょうか。サムスンのGalaxyの一部にも、「Galaxy Global Goals」というアプリがプリインストールされています。ユーザーが閲覧した広告費でSDGsの各目標に対して寄付ができ、サムスンの上乗せもあります。ビッグローブは、MVNOとして端末の販売も行っているため、こうしたモデルを優先的に取り扱っていければ、よりブランドを明確化できるかもしれません。

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▲同じ通信の分野では、メーカーも社会貢献活動には積極的だ。写真はサムスンがGalaxy Global Goalsの取り組みを発表したときのもの

ちなみに、新ブランドといっても、既存のBIGLOBEモバイルをやめるわけではなく、BIGLOBEモバイルとdonedoneは、併存して住み分けていくことになります。ビッグローブによると、BIGLOBEモバイルは6GB以下のデータ容量が少ないユーザーが中心。逆にdonedoneは、冒頭で挙げたように若年層でデータ利用量が多いユーザーがメインになります。大手キャリアがユーザー層に合わせてマルチブランド展開するのは当たり前になりましたが、MVNOでは珍しい事例です。

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▲BIGLOBEモバイルは6GB以下、それ以上はdonedoneという形で差別化を図っていくという

ビッグローブは、donedoneをサブブランドというより、MVNO事業のメインと捉えている節があります。発表会の質疑応答では、執行役員CMOの中川圭子氏が、「3年以内に現在のBIGLOBEモバイルと同程度の契約者数を目指していきたい」と語りました。調査会社MM総研が6月に発表した国内MVNO市場調査によると、BIGLOBEモバイルはシェア第5位で、回線数は78.3万回線ほど。ここに並ぶとなれば、MVNOとしてかなり大規模と言えます。

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▲MM総研調べ。BIGLOBEモバイルは現在シェア5位。これと同程度の回線数を目指すという

マルチブランド展開を進めるKDDIですが、UQ mobileの料金値下げやpovoの導入などにより、傘下のBIGLOBEモバイルの存在感がやや薄くなっていたのも事実。低料金はUQ mobileに、オンライン特化はpovoにお株を奪われつつありました。donedoneで社会貢献活動を全面に打ち出したのは、こうした既存ブランドと差別化を図る狙いもありそうです。


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