Fraunhofer FKIE Institute
Fraunhofer FKIE Institute

人の悲鳴がすると、どこからともなく飛んでくる…といえば、ひとむかし前は「鳥だ、飛行機だ」のキャッチフレーズで有名な青いピチピチスーツのあの人でしたが、21世紀も1/5を過ぎた現代では、飛行機(ドローン)が飛んでくるようになるかもしれません。

Fraunhofer FKIE研究所のチームは、悲鳴を上げる人間の位置を特定できるドローンを開発しました。このドローンは、自然災害が発生した際に生存者の助けを求める声を検知してその居場所を特定する能力を備え、災害救助隊や救助犬よりも素早く広範囲をカバーすることができます。

研究チームは、このドローンに搭載するAIを鍛えるため、最初に自ら悲鳴を発したり、助けを呼ぶ声、さらに声を出せない状態で居場所を知らせようと何かを叩いたりする音のサンプルを録音、蓄積し、それらAIアルゴリズムに教え込みました。さらにAIはドローン自身のローター音など不要な音を除去するよう調整されており、スマートフォンや補聴器に搭載されているような非常に小型のデジタルマイクアレイを搭載しました。

ドローン下面に搭載したマイクは信号処理技術によって人が発する音がどの方向から聞こえてくるのかを追跡します。すでに実際の現場を想定した屋外でのフィールド実験には成功し、音を検知して数秒以内にその位置を特定できるまでになっているとチームのエンジニアのひとりマカレナ・ヴァレラ氏は説明します。

チームは今後の開発目標として、より高周波を検知可能なマイクを使い、より多くの音声信号を処理して音を検出できる範囲を拡大したいと考えています。

この技術がいつ研究の域を出て、実用方面に展開し始めるかはまだわかりません。研究所はマイクアレイで拾った音を追跡する技術の特許化を進めているところで、一方で実験とプロトタイプの開発を継続しています。研究所のビジネス開発部門は開発プロセスは一本調子に進むものではないと述べ「われわれは技術を開発し、未解決の問題に取り組むのが得意ですが、商品化はわれわれの仕事ではありません」としました。とはいえ、すでにFraunhofer FKIE研究所には多方面から技術提携の依頼が舞い込んでいるとのことなので、数年先には、この技術が実際に人命救助に役立つときが来るかもしれません。

ちなみに、悲鳴を聞きつけはしないものの災害現場へのドローン導入例はすでにあり、たとえば初期の状況把握のために建物の崩壊状況を調べるのに利用されたり、赤外線カメラで生存者の体温を検知したり、チューリッヒ大学などは、飛行中にトランスフォームして狭い空間に進入できるドローンの開発なども進めています。

Source:Acoustical Society of America