最大9.4GB!カタチも使い勝手も独特だった「DVD-RAM」:スイートメモリーズ File030

レコーダーでは強かった気がします

宮里圭介(Keisuke Miyasato)
宮里圭介(Keisuke Miyasato), @miyasa
2020年09月7日, 午前 07:00 in sweetmemories
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[名称] DVD-RAM
[種類] 光ディスク(650nm)
[記録方法] 相変化記録(書換型)
[サイズ] 120mm
[容量] 2.6GB~9.4GB
[登場年] 1998年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「DVD-RAM」は、DVDフォーラムによって策定された書き換え型DVD規格のひとつ。特に松下電器産業と日立製作所が力を入れていたもので、一般向けとして最初に発売された対応ドライブは日立の「GF-1055」(SCSI外付け)でした。予定では松下が先に「LF-D100J」を発売するハズでしたが、延期しているうちに先を越された形です。

初期のメディアはDVD-ROMのようにディスク単体ではなく、PDと同じくカートリッジに入っているタイプでした。今回は、この初期のメディアについて紹介します。

DVD-RAMはMOと違って磁界がいらず、レーザー光のみで書き込み可能な相変化記録方式を採用。これは、冷却速度の違いで結晶/アモルファスと変化する素材を記録層に使い、記録層をレーザー光で過熱して溶融、冷却速度をコントロールすることでデータを記録する方式です。

データの読み出しはどうするかといえば、他のDVD規格と同様レーザー光を利用。結晶/アモルファスのそれぞれで光の反射率が異なるため、記録層が溶融しない弱いレーザー光を使うことで、記録したデータが読み出せるわけです。

この相変化記録方式はPDで採用されていたこともあり、DVD-RAMはPDの進化版だといえるでしょう。実際、初期のDVD-RAMドライブでは、PDが利用できるという互換性も確保されていました。

カートリッジの形状はPDと似ていて、ディスク面がシャッターで守られているタイプで、横124.6㎜、縦135.5mm、厚さ8mmというサイズ。シャッターが閉まった状態では外部から一切ディスクが見えず、ホコリが侵入しづらいデザインとなっています。

DVD-RAMも他のDVD規格と同じく、記録層の2層化が可能となっていますが、その実装方法は少々異なり、両面……つまり、2枚のDVD-RAMを裏返して貼り付けたような構造となっていました。2層のDVD-Rでは2つの記録層を片面から読み書きしますが、DVD-RAMはカートリッジを手でひっくり返して使うという点が大きく異なります。

両面カートリッジをよく見ると「A」や「B」と書かれていますが、これが「A面」「B面」を見分けるポイント。中身がどうなっているのか気になるので、シャッターを開いて両面と片面を見比べてみましょう。

左が両面で、右が片面です。両面は当然のようにレーベル面はなく、両面とも記録面となっています。これに対して片面は、記録面とレーベル面とで構成されています。両面となるとどちらの面も保護する必要があるだけに、DVD-RAMのカートリッジは頼もしいですね。

ちなみに容量は規格のバージョンによって異なり、バージョン1.0では片面2.6GB/両面5.2GB、バージョン2.0で片面4.7GB/両面9.4GBとなります。上の写真でいえば、左がバージョン1.0規格のもの、右がバージョン2.0規格のものとなります。なお、バージョン2.1から80mmサイズが追加され、DVDカメラなどに採用されることもありました。

カートリッジを見てもうひとつ気づくのが、「TYPE」という表記がある事。これはカートリッジから中のディスクが取り出せるかということを表しています。「TYPE 1」……取り出し不可(片面、両面)、「TYPE 2」……取り出し可(片面)、「TYPE 4」……取り出し可(両面)です。「TYPE 3」が抜けてることが気になりますが、これはカートリッジタイプではない、通常の片面ディスクのこと。ついでにいうと、「TYPE 5」は通常のディスクで両面のものです。

取り出せるかどうかは、カートリッジの構造によります。上の写真をよく見てもらうと、TYPE 1の方はプロテクトスイッチの周囲に何もありませんが、TYPE 2の方は、丸い穴にピンが入っているのがわかるでしょう。このピンを折り取ると、カートリッジが開けられるようになります。

このカートリッジだとわかりにくかったので、透明なカートリッジでディスクを取り出してみたのが、下の写真です。せっかくなので、ここまで未登場だったTYPE 4を使っています。

こんな感じに、折ったピンの下側がパカッと開いてディスクが取り出せるようになります。閉めればツメで固定されますので、取り出したらおしまいではなく、再利用可能です。

DVD-RAM対応ドライブは最初の頃こそカートリッジに対応していましたが、後期になるとカートリッジに対応しないドライブばかりになってしまいました。古いDVD-RAMからデータを移行するため、カートリッジを開けてディスクを取り出した、もしくは、TYPE 1のカートリッジを殻割りした、という人もいそうですね。

PDではCD-ROMとの互換性のなさから、光学記録ディスクの座をCD-R/RWに奪われてしまいましたが、DVDではこの反省を踏まえてか、DVD-RAMをDVD規格の1つとしてきました。といっても、DVD-ROMと物理的に大きく異なるのにDVDを名乗っているわけで、本質的にはPDと状況は変わってないですが……。

DVDという規格内で見ると微妙な立ち位置ですが、ライティングソフトがいらず、しかもワンタイムではなく何度も書き換え可能、書き込み時にベリファイが行われるためデータの信頼性が高いというのが、DVD-RAMのメリット。PCで普段使いのデータ保存先として使うには、便利だったのは事実です。

ただし、書き込み+ベリファイがセットで行なわれるため速度面は大きく劣り、実際の書き込みは2倍の時間がかかります。しかも、相変化記録方式となるため高速化が難しく、最大でも5倍速まで(実質、2.5倍速書き込み)しか出ませんでした。24倍速書き込みなどが登場していたDVD±Rと比べてしまうと、雲泥の差ですね。

ベリファイを切ってライティングソフトを使えば、表記通りの速度で書き込めましたが、手軽さと高信頼性をウリにしていたDVD-RAMのメリットがなくなってしまうだけに、この使い方は微妙です。なお、後に最大16倍速というDVD-RAM2の規格が登場していますが、残念ながらこちらはほとんどメディアが発売されず、普及しませんでした。

連載:スイートメモリーズ


参考:

120mm DVD-RAMディスク用ケース, JISX6244, 日本産業標準調査会
DVD-RAMドライブ発売、日立製で実売価格は約9万円, PC Watch
DVD-RAM, Wikipedia
DVD-RAM, ウィキペディア

 
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