遠い宇宙からやって来る高速電波バーストに2例目の周期性を発見。原理は未特定

最近では天の川銀河内でもバーストが観測されました

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年06月18日, 午後 06:30 in Fast radio burst
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CHIME Collaboration

2007年に初めて観測されて以来、天文学者らは「高速電波バースト(FRB)」現象をいくつも発見しています。

高速電波バーストとは、宇宙の彼方からほんの一瞬、数ミリ秒だけ強力な電波が発せられる現象のこと。だいたいは強力な電波が届いた後、完全に消えるまでにごく短時間、点滅するように観測されます。

その多くは一期一会な現象ですが、いくつかの例では同一発生源から繰り返し発生するとみられるFRBも発見されています。そしてごく最近になって、バーストの発生に周期性を持つものも発見されはじめました。

まず最初に確認されたのはMITなどからなる天文研究チームによる観測で判明した「FRB 180916.J0158+65」と名付けられた発生源。これは4日間のランダムなバーストの発生のあとで、12日間沈黙するという16日周期のパターンが判明しています。

一方、”FRB 121102”と呼ばれる発生源は、2016年の時点で何度もバーストが起こる反復性が確認されていたものの、当時は周期性があるとはわかっていませんでした。しかし英マンチェスター大学などの4年にわたる観測で、バーストの発生は90日間の間に繰り返し発生し、その後67日間は沈黙するという157日周期のパターンを有することが明らかになりました。

高速電波バーストが発生する理由はまだわかっていません。またこの2つの例が周期性を持っている理由もまだ正確にはわかりませんが、MITのチームは16日周期を持つFRB 180916.J0158+65についての新しい論文でいくつかの可能性を検討しています。

まずひとつ目は、発生源と想定される中性子星など単一天体の、歳差運動と呼ばれる回転軸のずれが周期性を起こしているとの考え方。バーストが天体上の特定の位置(軸)から出ているとすれば、天体が軸に沿って回転し、特定の位置が地球の方を向いている期間をバーストが検出可能な期間、あちら側を向いている間が沈黙期間と考えられ、バーストが周期的に観測されるというわけです。

別の可能性としては、発生源となる天体と、もう一つ別の天体がバランスを取って互いに回転する連星系を成しているという説が考えられます。これは一方がランダムにバーストを発するものの、もう一方の天体が地球との間に入っている間は電波が遮られ、地球から見た場合に沈黙期間になるという考え方です。

さらにチームは第3の仮説として、中心となる星を電波の発生源となる天体が周回している可能性も挙げています。もし中心星がガスを噴出していたりそれによる雲を発生させていたりすれば、発生源がその中を(定期的に)通過する際、電波の発生を強力にするレンズの役目を果たす可能性が考えられるとのこと。

なお最近の研究では、FRBの発生がマグネターと呼ばれる非常に強力な磁場をもつ中性子星によって引き起こされている可能性が指摘されています。

マグネターではバーストの発生における周期性の有無に関係なく、時折電波の帯域を含む電磁的なスペクトル全域で強力なエネルギー放出が観測され、それが実際に高速電波バーストを発生しうると考えられます。

とはいえ、もしそれが正しいとしても、それはおそらくバースト発生源のバリエーションのひとつであり、異なる原理をもつ発生源を否定するわけではないとされます。

現在、FRBの発生に周期性が確認されたのは2つの発生源に関してだけです。ただ、2つ見つかったなら他にも周期性を持つ発生源はあるはず。まだ把握できていないだけで、極端な話、すべてのFRB発生源が長短さまざまな周期性を持っている可能性もあると言えます。

とはいえ、いまはまだそれを発見できるだけの観測データや観測期間が足りていない状況です。

すべてを明らかにするにはまだまだ多くの研究が必要です。それは当初考えられていたよりも複雑で、宇宙にはまだまだ未知の現象が数多くあることだけは確かです。

source:Nature
via:MIT News


 

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