Engineered Arts
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英国のロボット開発企業Engineered Artsが、驚くほどリアルな表情を浮かべることができるヒューマノイド「Ameca」を公開しました。人間そっくりの外観を持たせて作られるヒューマノイド(またはアンドロイド)は、なかなか不気味の谷という呪縛から逃れることができませんが、Amecaは(まだ彩色されていない真っ白な顔ながら)まるで生身の人間のような豊かな表情を見せることができます。

人間型ロボットには、人に形状を似せて作った「ヒューマノイド」、それに加えて外見面も人間そっくりに仕立て上げた「アンドロイド」といった呼び方があります。たとえばBoston DynamicsのAtlasは、形は人間によく似ており、特定の運動能力で人間を超える性能を備えているものの、外観は完全なメカなのでヒューマノイドと呼ばれます。一方、アンドロイドは大阪大学の石黒浩教授が製作する一連のロボットのように、人そのものに外観を似せて作られています。

ただ、人は心理的に自分たちと似ていながらどこか異質なものに対して、違和感や恐怖心を覚える性質があります。これが「不気味の谷」と呼ばれる心理現象です。

Amecaを紹介する動画では、起動して最初は外界を認識して戸惑い、また自分で腕を動かしてはそれに驚くといった反応を見せる…かのような、Amecaの姿を見ることができます。しかし少し経つと落ち着いたのか、柔らかな微笑みを見せ、カメラに向かって手を差し出すようなサービス精神も見せてくれます。

あくまでロボットなので、Amecaが実際に驚いたり、サービス精神を示すような感情を持ち合わせているわけではありませんが、そう思わせるほどリアルな表情を再現しているところはご覧のとおりです。

特にリアルなのは、目の動きでしょう。人の眼球はスムーズにゆっくりと動くのではなく、視点から視点へと瞬時に動いては静止します。Amecaはそれを、瞬きも含めて非常に人に似た動きで再現しています。一方で、表情の移り変わりが滑らかでぎこちなさがないのも、リアリティを高める要素と言えそうです。

ただこの一連の動作はAmecaがリアルタイムに行っているのではなく、あらかじめ綿密にプログラムされたか、モーションキャプチャーで与えられたものと思われます。また、Amecaの表情と頭部、首、肩、腕といった上半身は違和感なく連係して動いているように見えますが、下半身の運動機能はなく、こちらは将来の開発対象だとのこと。

なお、Engineered ArtsはAmecaを「AI開発のためのプラットフォーム」と位置づけており、必要な機械学習アルゴリズムの開発などは社外の開発者に開放すると述べています。

ちなみに、Engineered ArtsはAmecaのほかにも頭部だけながら非常にリアルな動きをみせるMesmerと称するロボットも公開しています。こちらは人間の骨格、筋肉の付き方、肌の質感などを緻密に再現したもので、若干眠たげながらもAmecaより説得力ある一連の表情を再現しています。MesmerはVFXやゲームの3Dアニメーション製作に用いられるものに似たソフトウェアで動作を制御でき、カメラや深度センサー、LiDAR、マイクといった各種入出力を備えています。また表情は「高トルクかつ高い静粛性」を持つモーターで駆動しており、各部が違和感なく連動するようになっているとのことです。

これらアンドロイドは、ラスベガスで年明けに開催されるCES 2022への出展が予定されています。

Source:Engineerd Arts