ペンギンの「フン射」から確実に逃れるには最低1.34m。高知大研究者が論文

ペンギンの直腸は人間より強靱

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年07月6日, 午後 05:00 in Environment
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Hiroyuki Tajima, Fumiya Fujisawa

ペンギンの糞からは大量の笑気ガスが発生しているというコペンハーゲン大学の研究論文が発表されたのは5月のことですが、今度は高知大学の研究者が、ペンギンの「糞を飛ばす能力」について、2005年のイグノーベル賞受賞研究をさらに掘り下げた、新たな論文を発表しました。

ペンギンと言えば南極大陸や一部の地域に生息する、ずんぐりむっくりで愛嬌ある体形の鳥。抱卵の時期には巣から一歩も離れず、飲まず食わずで卵を抱え続ける一方で、排泄物は巣の中が汚れないよう、できるだけ遠くへ”フン射”します。

この行動に目を付けたのが、八丈島を頻繁に訪れては発光生物の研究を行っていた生物学者ヴィクトール・ベノ・マイヤーロホ博士。博士は講演で北里大学を訪れた際、資料として南極大陸のペンギンのスライドを示したときに、聴講者から「なぜペンギンは巣の周りを白やピンクの縞模様に装飾するのか」という質問を受けました

その縞模様とは、実際は装飾ではなく糞を飛ばした跡だったため、質問者は少々恥ずかしい思いをしてしまいましたが、博士はその質問を面白いと考えました。そしてペンギンが巣の周囲約30~40cmの距離まで糞を"フン射"するにはどれほどの直腸圧力を必要とするかを研究し、10~60kPaという、人間よりもはるかに高い圧力で糞を飛ばしていたことを発見。これを論文にまとめて発表したところ、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に贈られるイグノーベル賞を受賞することとなりました。

さて、その研究には「もし巣が岩の上などちょっと周辺より高い場所にあったら?フン射時に仰角がついていたら?」という”残された課題”がありました。この疑問に関する研究は、たとえば水族館のペンギン飼育員らが足や手、または顔にフンをかけられないためにも重要(?)です。高知大学の研究者はこの課題に桂浜水族館と協力して取り組み始めました。

研究者は、より詳しくペンギンのフンの飛距離を計算するため、ニュートンの運動方程式を適用。また糞に粘性抵抗が存在する場合は飛距離と設置までの時間をランベルトのW関数で表すことができるとして計算を行い、ペンギンの肛門から射出される飛翔体の最大飛距離が1.34mに達する可能性があることを算出しました。つまり、飼育員はペンギンから少なくとも1.34mのソーシャルディスタンスを確保すれば、飛散するフンの影響を受けないで済む、ということです。

Hiroyuki Tajima, Fumiya Fujisawa

さらに研究者らは、ベルヌーイの定理と粘性補正のためのハーゲン・ポワズイユの法則を用いてペンギンの直腸圧を再計算した結果、ペンギンは元の推定よりも高圧で糞を”フン射”していることを導き出しています。

マイヤーロホ博士の研究は2003年に発表され、2005年にイグノーベル賞を受賞しました。今回の研究が選考員の目にとまることがあれば(排泄物研究の受賞率が高めなイグノーベル賞だけに)2年後あたり、受賞の知らせが届く可能性はあるかもしれません。

source:arXiv.org
via:Ars Technica
coverage:Bio for the Bio-Buff

 
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