eSIM Junya Ishino

ドコモは、ドコモとahamoを対象にしたeSIMのサービスを、9月8日開始しました。先に対応を表明していたau/UQ mobile/povoや、大手3キャリアの中でいち早くeSIMに対応したソフトバンク/ワイモバイル/LINEMOと合わせて、3キャリアのeSIMが出そろった格好です。本サービス開始前からeSIMを展開していた楽天モバイルも含めると、日本のMNOは全社でeSIMが利用できる形になります。

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同じGSMAの規格に準拠したeSIMではありますが、オペレーション回りの細かな点は、3社で対応の違いがあります。まず、発行できる場所ですが、ドコモのeSIMは、ドコモオンラインショップやahamoのサイトが対応しています。「my docomo」ではない点は注意が必要ですが、電子的とは言え、SIMカードの発行や交換を伴うことを考えると、オンラインショップであることは自然な印象です。ドコモのギガプランなどに関しては、ショップでeSIMに切り替えることも可能です。

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▲ドコモは、ahamoを含めたeSIMへの対応を発表した。サービス開始は9月8日

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▲プラスチックSIMからeSIMへの変更も含め、すべてドコモオンラインショップで行う

KDDIも新規発行やMNPはau Online Shopでの申し込みになります。ただし、プラスチックSIMからの切り替えや再発行は、契約者専用サイトの「My au」を活用しています。少々分かりづらかったのは、プラスチックSIMからeSIMへの切り替えと、eSIMの再発行が同じ「再発行」でまとめられている点。どちらもSIMカードの再発行という意味で、このように呼ばれているようです。注意したいのは、povo。こちらは、eSIMからプラスチックSIMへの変更はできますが、逆のフローにはまだ対応していません。また、povoのみeSIMの再発行にはなぜか電話が必要。auやUQ mobileより対応が早かったためか、システムがこなれていない印象があります。

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▲auは、再発行のみMy auを利用する形。新規契約などはau Online Shopが対応する

対するソフトバンクは、新規契約者はソフトバンクのオンラインショップで申し込むことができますが、既存のユーザーはソフトバンクショップなりワイモバイルショップなりに出向く必要があります。ただし、オンライン専用のLINEMOのみ、店舗がないため、チャットで切り替えの手続きを行う仕組み。ブランドごとに対応が異なっていますが、店頭での切り替えは少々不便。eSIMの魅力を削いでいる気がするだけに、ぜひオンラインで受け付けてほしいと感じています。

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▲ソフトバンクは、既存契約者のeSIMへの切り替えを店頭でしか行っていない。要改善のポイントだ

次に手数料に関して。こちらは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクとも、オンラインでの新規契約手数料を無料にしているのと同じ理屈で、eSIMも手数料はかかりません。一方で、ドコモは再発行に2200円の手数料を設定しているようです。ただし、ドコモ広報部によると、この手数料は、終了時期未定のキャンペーンとして無料にしているとのこと。eSIMのプロファイルを書き込む端末を変えたいときにも安心です。auとソフトバンクは元々無料にしています。

とは言え、各社とも、店舗を使った際には新規契約や再発行も有料になります。厄介なのがソフトバンクでプラスチックSIMから切り替えたい場合。先に挙げたように、ソフトバンクとワイモバイルはオンラインでの切り替えに対応していないため、どうしても店舗に出向く必要があります。そのため、SIMカードを切り替えるだけで手数料が発生してしまうことになります。この点は非常に残念で、せめて手数料を免除するなど、店舗限定にするなら、何かしらの救済策がほしかったところです。

オフィシャルに公開している対応端末にも、差があります。共通項なのがiPhoneで、3社ともeSIMに初対応したiPhone XS以降のiPhoneを対応端末リストに挙げています。一方で、KDDIはPixel 5、ソフトバンクは4以降のPixelを対応端末としてリストアップしていますが、ドコモにはPixelがありません。逆にiPadシリーズを対応端末に入れているのはドコモだけになります。

まだ他社端末での検証は進んでいないようで、楽天モバイルのオリジナルモデルや発売したばかりの「Xperia 10 III」といった端末も、動作検証がされていないようです。もっとも、標準仕様に準拠しているため、あくまで検証していないだけで、プロファイルをダウンロードしてみれば動く可能性はあります。ただ、未検証端末で使えなかったら手の打ちようがなく、リスキーであることも事実。国内で販売されているeSIM搭載端末は、まだそれほど数は多くないだけに、検証を進めてほしいと感じました。

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▲対応端末は3社でバラつきがあるが、iPhoneならおおむね対応していると見ていい。画像はドコモで、iPadまで対応済みだ

もう1つ違いがあるのが、回線切り替えの受付時間。ドコモ広報部によると、開通手続きが必要なMNPを除いて24時間いつでも受け付けているとのこと。ところが、KDDIはpovoも含めて対応時間は午前9時から午後8時までの間のみ。ソフトバンクについても、eSIMの発行時間が午前9時から午後9時(LINEMOは午後8時30分)までの12時間に限定されています。回線の切り替えを行う時間は、午前9時から午後8時30分まで。うっかり忘れて夜中にeSIMの設定をしようとすると詰んでしまうため、KDDIとソフトバンクのeSIMには注意が必要と言えるでしょう。

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▲KDDIとソフトバンクは、受付時間に制限がある点に注意が必要だ。画像はソフトバンクのもの

ディテールは三社三様のeSIMですが、第4のキャリアである楽天モバイルは、手続きがオンラインで完結するのはもちろん、夜間のeSIM再発行に対応しているうえ、対応端末も幅広く検証しています。次点は24時間対応のドコモですが、KDDIやソフトバンクについては、対応時間に注意した方がよさそうです。ソフトバンクやワイモバイルはショップでの手続きが残っている点や、povoが物理SIMからeSIMに変更できない点などは解決すべき課題と言えそうです。

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▲楽天モバイルは、手続きがオンラインで完結するのはもちろん、24時間対応。新規参入キャリアなだけに、システムが新しいことが奏功した

とは言え、これで大手3キャリアの全ブランドと楽天モバイルのeSIM対応が完了したのも事実。一部を除いて2年縛りもなくなったため、端末さえ手元にあれば、自宅にいながらすぐに乗り換えができる環境になりました。

一方で、KDDI以外の3社ともアプリからeSIMを自動で書き込む仕組みには非対応で、QRコードを読み込まなければなりません(auやUQはアプリからの書き込みや自動設定に対応)。機種変更時にはeSIMの再発行が必要になる点も、ハードルになりそうです。“初心者お断り”な雰囲気がまだぬぐい切れていないだけに、これだけですぐにキャリア変更の流動性が上がるかは未知数ですが、ユーザーの選択肢が増えたことは歓迎したいところ。宝の持ち腐れになってしまわないよう、キャリア端末でのeSIM対応が増えていくことも期待しています。


* KDDIのeSIMプロファイルを書き込む手順に関する誤認があったため、最終段落を一部修正しました。お詫びして訂正します