ATT
Facebook

Facebookは今年春にiOS 14にて導入予定のアプリトラッキング透明性(App Tracking Transparency/ATT)を批判してきましたが、今週から自社アプリにてユーザーが「よりよい広告体験のため」として追跡の許可を求めるテストを始めたと報じられています。

アップルが推進しているATTとは「異なるWebサイトやアプリをまたいでユーザーを追跡できるデバイス識別子にアクセスするには、ユーザーの明示的な許可を得なければならない」というプライバシー保護です。具体的には各アプリごとに「追跡してもいいですか?」とのポップアップを表示し、そこで拒否されればオプトアウトもできる仕組みの実装が求められることになります。

主な影響を受けるのが、Facebookの広告追跡ツールAudience Networkです。同ツールはIFDAと呼ばれる一意のデバイス番号を使い、広告をより正確にターゲティングして効果の見積もりを立てることを助けるもの。それがオプトアウトされてしまえばIFDAが取得できず、個人も識別できなくなってターゲティング広告が無効化されるわけです。

もともとは2020年秋のiOS 14とともにATTは実施予定でしたが、広告業界が大きな変化に備えられるように「2021年初め」まで延期されました。とはいえ実施されることに変更はないため、Facebookは広告ビジネスが「攻撃を受けている」と主張した後、複数の米大手新聞にアップル批判の全面広告を展開しています

ここ数週間で、アップルとFacebookの緊張は急激にエスカレートしています。FacebookのザッカーバーグCEOはアップルを「最大の競合他社の1つ」と名指しし、同社がFacebookに競争上の理由で「干渉するインセンティブ」を持っていると非難

かたやアップルのクックCEOも、Facebookの名前こそ出さなかったものの、明らかにそれと分かるビジネスモデルが「二極化」と「暴力」に繋がるという応酬が繰り広げられています。さらにFacebookはアップルのATTにつき、数か月にわたって独占禁止法違反の訴訟を準備しているとの噂も報じられていました

さてCNBCの新たな記事によると、FacebookはアップルのATT実施に先立ち、FacebookおよびInstagramのiOS/iPadOSアプリで独自のプロンプト(追跡許可を求める)テストを開始したとのことです。そのテスト版の1つは「Facebookがアプリとウェブサイトのアクティビティを使用することを許可しますか」と問いかけ、Facebookがその情報を「より良い広告体験を提供するため」と謳っていると伝えられています。

たとえアップルの方針に反対であれ、同社がApp Storeというプラットフォームを掌握している以上、あえてATTを実装しないアプリを提出しても却下されるだけで、何らかの抜け道により配信を強行してもフォートナイトのように開発者アカウントまで停止されかねません。

そのため、Facebookはひとまずアップルの方針に従ってATTを実装した場合どれほどの割合でトラッキングが拒否されるのかデータを集めつつ、独禁法訴訟など次の一手を探っている可能性が低くはなさそうです。

Source:CNBC