元従業員「Facebookは世界中で起こる政治的情報操作に対し無策」と告発メモ

会社の無為無策を訴えています

Munenori Taniguchi
Munenori Taniguchi, @mu_taniguchi
2020年09月15日, 午後 06:15 in Facebook
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JasonDoiy via Getty Images
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今月初めにFaccebookを解雇された従業員Sophie Zhang氏が記した6600ワードに及ぶメモは、巨大SNSを通じて様々な国が政治的誤報キャンペーンを行っていることを暴露しています。この文書の写しを入手したBuzzFeed Newsは、Zhang氏は外国政府がFacebookを「自国民を欺くために大規模に」悪用した具体例を示していると伝えています。

そのメモにはたとえばホンジュラスのフアン・オルランド・エルナンデス大統領が自身のイメージアップのために偽アカウントを大量に作成してキャンペーンを行っていた事例が具体的に記されています。そしてFacebookはそれに対処するのに9か月を擁したこと、さらに対処後も新たな偽アカウントがわらわらとわいて来ていまだにキャンペーンを続けている例が記されています。

またアゼルバイジャンでは、政権与党が偽アカウントを使用して野党への嫌がらせ投稿を行っており、これに対してもFacebookは調査に1年をかけ、いまだ調査を継続していると述べています。

Zhang氏はFacebookの遅々として進まない対策を指揮する上層部に懸念を抱き、自身の役割の範囲を超えて選挙結果に影響を与えたり、様々な政治的候補者を貶めたり、物議を醸すトピックを振りまくような悪質な活動やボットネットワークを特定する作業を行ったところ、そうした行動をやめるよう指示され、そして解雇されたと主張しています。また提示された退職金6万4000ドルの受け取りは拒否したとのこと。

ほかにも、2020年2月に行われたインドのデリー地方選挙では「選挙結果に影響を及ぼそうとする1000人以上からなる政治的グループによる活動の摘発に取り組み、さらに最近の数か月ではスペイン保健省のページや米国のページにある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報を不正に操作しようとした「低レベルな偽アカウント」67万2000件を削除したと述べています。

しかし、Zhang氏は、Facebookがいろいろな国の世論を揺るがそうとする個別の政治的操作案件は放置し、大局的な問題にばかり焦点を合わせていたと証言しています。たとえば2019年には、ボリビアで野党の大統領候補を支持する不正な活動を発見したものの、すぐには行動しませんでした。すると数か月後にエボ・モラレス大統領は辞任し、わき起こった大規模な抗議活動のせいで数十人が死亡しました。

Zhang氏のメモは、Facebook内部ではデータサイエンスなどを専門とする中堅の従業員ですら、世界のリーダーや著名なユーザーの活動を管理する力があることを示しています。「私は誰かの監督なしに、いくつかの国の元首に影響を与えるような決定を下し、世界的に著名な政治家に対する強制的な行動を数え切れないほど実行しました」「当時の知識に基づき最善の決断をしたとは思うものの、最終的に各ケースでどこまで関わりどこで手を引くかを決めたのは私であり、いまや私の手は血に染まっていると感じます」とZhang氏はメモに記しています。

もちろんZhang氏はFacebookが悪意ある人々によって意図的に運営されていると言っているのではありません。ただFacebookの上層部は広告活動に関連づけられた意思決定や、主に欧米の問題ばかりに目を向ける傾向があるとしています。今回の告発のような立場をになう中堅社員はそうした大きく注目されない世界の政治的問題に関して非常に大きな決定を下す必要に迫られており、それがその人たちへ大きな負担になっているということです。状況改善を正しいルートで訴えても一向に聞き入れて貰えなかったため、Zhang氏はやむなく社内の掲示板に告発したところ、解雇を言い渡されたとのことです。

Facebookの広報担当Liz Bourgeois氏は、BuzzFeed Newsに対してFacebookが悪意あるユーザーによるシステム悪用を防止する専門家チームを構築しており、それによって100以上の不正操作ネットワークを削除したとその成果を主張。チームの職務は非常に複雑で、非正規の振る舞いへの対策は優先事項ではあるものの、スパムやフェイクの問題への対処にも取り組んでおり、Zhang氏が提起した問題も、慎重に調査してから行動を起こすか、会社として社外での申し立てを行うと述べました。その”慎重な調査”が1年ほどかかるのかその後も続くのか、はたまたすぐに終わるのかはわかりません。

ただFacebookに限らず、真面目に職務をこなし正直に物事を考える人ほど、Zhang氏のような悩みを抱えることは多いかもしれません。ある元Facebook技術者は、Zhang氏がプラットフォーム上で偽のアカウントネットワークを発見するのに長けていたと証言、「あの仕事を唯一、真剣にこなしていると思えた人物だ」と評しています。

Zhang氏は同僚にはFacebookにとどまり、中から会社を改善していくことを勧めました。ただし「それはひとりでやるべきではありません。信念や価値観を共有できる人を見つけ、共に取り組んでください。Facebookは従業員一人ではとても修正できないあまりにも大きなプロジェクトです」と述べました。

たかがSNSとは思いつつ、SNSは社会の縮図だという捉え方もあります。Facebookほどの巨大サービスになれば、世界中で起こっている情報が正誤入り乱れて入ってくるでしょう。それに対する対応ひとつで本当に関係する国や地域の政治情勢にまで影響がおよぶのなら、たとえ責任はなくともその作業担当者には(意識しているかどうかはともかく)大きな負担になると想像できます。Facebookは、まずは職場ごとで従業員が背負う心理的負担を理解し、またメンタルヘルス対策についても改善をはかる必要があるかもしれません。

source:BuzzFeed News


 

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