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旅人ITライター中山です。ここ最近、YouTubeでスマートフォンのモデル名を検索すると大量にヒットするのが、カメラ性能の比較レビュー動画です。2台から3台くらいのスマートフォンを使って同じ被写体を撮影して比較しており、カメラ性能を目当てにスマートフォンを購入するユーザーには非常に参考になる・・・・・・と思いたいところですが、これらの動画はほとんどが嘘八百。いわばフェイクレビュー動画のようです。

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▲Xperia 1 IIIが発表された4月14日にアップされたカメラ比較動画・・・・・・どう考えても嘘としか思えない

筆者が気がついたのは、4月にソニーの「Xperia 1 III」が発表されたとき。このときメディア向けにタッチ&トライの場が設けられ、実機を触ることができたのですが、ホーム画面固定で操作できない状態。実機での撮影テストなどできず、もちろん貸し出しもまだの状態でした。

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▲発表時期に触れたXperia 1 IIIは操作できない状態だった

ところが「Xperia 1 III」発表以降、Xperia 1 IIIの「カメラテスト」や「カメラ比較」動画が雨後の竹の子のようにYouTubeで公開されていきます。メディア向けのタッチ&トライでカメラが使えず、テスト用の貸し出しまだなのに、世界中で貸し出し機を使って撮影テストができるわけがありません。

Xperia 1 III発表以降もフェイクレビュー動画について、気をつけてチェックしてみることに。まずはシャープの「AQUOS R6」。こちらも発表会後にタッチ&トライがあり、一応撮影テストはその場で行えましたが、本体の貸し出しは行われておらず、フェイクレビュー動画にあるような、持ち出してほかの端末と同じ被写体を撮って比較することはムリです。

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▲AQUOS R6はタッチ&トライの会場でのみ撮影テストはできた

さらにライカの「Leitz Phone 1」。こちらもタッチ&トライがありましたが、カメラアプリを使おうとすると「Coming Soon」と表示されテストできない状態。もちろん貸し出しも行われていません。

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▲タッチ&トライで触れたLeitz Phone 1は、カメラアプリが起動せず

確認のため、ソニーとシャープ、ライカにも問い合わせてみました。

質問:発表直後に公開されたこれらの動画は、基本的にフェイクレビューだと捉えて差し支えないでしょうか? 現時点でのカメラテスト、比較用にレビュー機材は基本的に貸し出していないなどの情報があればお教え下さい。

ソニー回答:レビュー機材の貸出し開始時期や端末の発売時期は国・地域・モデルにより異なることから、現在YouTubeで公開されているレビュー動画のすべてをフェイクかどうか精査するのは難しい状況です。

一方、4/14に発表した「Xperia 1 III」については、発表日の時点ではまだグローバル全体でレビュー機材の貸出しを開始していなかったことは事実です。

6月24日回答

シャープ回答:AQUOS R6につきましては、レビューいただける端末のお貸出しをまさに始めたところです。

6月23日回答

ライカ回答:現時点ではどのメディアに対しても端末実機のお貸出は致していない状況です。

6月24日回答

3社の回答から考えると、端末発表直後に公開されたカメラ比較動画は、タイミング的に実機を使っていないフェイク動画と判断して良さそうです。

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▲Leitz Phone 1もまだ貸し出しが行われていないのに、カメラ性能比較動画がアップされている

また3社に対して、下記の質問もしています。

質問:こういった嘘と想定される「フェイクレビュー」に対して、なにか対策はお考えでしょうか?

ソニー回答:マーケティング活動の一環として弊社からYouTuberなどのインフルエンサーに製品の貸出しを行う際には、動画内や説明文で製品の貸出元を明記いただくことをお願いするなど、一部の地域では対応を始めております。お客様が正しい情報を安心して受け取れるよう、グローバル全体での対策も検討してまいります。

シャープ回答:今後検討していきます。

ライカ回答:対策については、今後検討しきます。

各社ともまだ大きな問題とは捉えてはいない感じではありますが、今後の対応は検討していくようです。

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▲「Leitz Phone 1 camera test」で検索するとカメラ比較動画が大量にヒットし、すべてではないものの、そのほとんどはフェイクレビュー

さらにこういったフェイクレビュー動画がYouTubeで大量に公開されていることについて、Googleにも問い合わせてみました。

質問

1、こういった嘘・フェイクと思われるレビュー動画の存在をGoogle・YouTubeは把握しているか?

2、こういった嘘・フェイクレビューに対してなんらかの対策をしているか?

3、ユーザーがこういった嘘・フェイクレビューを見つけたときになにか報告する手段はあるか? またメーカーなどが報告する方法はあるか?

Google回答:まず、YouTubeでは、”表現する場所をあらゆる人に提供し、その声を世界中に届けること”というミッションを行う上で「 開かれた場であること、表現の自由( Openness )」と「コミュニティを守る責任 ( Responsibility )」のバランスを大切にしています。

そして、安全で活気あるコミュニティを維持するため、コミュニティガイドラインを設定し、それに基づいて審査、対処をしています。

コミュニティガイドラインの中には、YouTube コミュニティを悪用するスパムや詐欺などの欺瞞行為等に関するポリシーも定めており、ガイドラインに違反するコンテンツに対しては、高度な機械学習技術と審査担当者の組み合わせにより、コンテンツの削除などの措置を講じています。

YouTubeでは、上記のような不適切なコンテンツを見つける上で、ユーザーの皆様からの報告をお願いしています。

例えば、モバイルからは、動画の上部にある「その他」アイコンの「報告」よりご報告いただけます。こちらから報告された動画は、自動的に削除されるわけではなく、上記のガイドラインに沿って審査し対処しています。「報告」に関する詳細は、こちらのページからご確認ください。

また、YouTube を含め、Google のサービスを使用して偽造品の販売や販売促進活動を行うことを禁止するポリシーを定め、ポリシーに違反している場合はそのコンテンツを削除しています。

動画やチャンネルで偽造品の販売や宣伝を見つけた際には、オンライン フォームから偽造品に対する申し立てをお願いしています。

これらの適用については、透明性レポートをオンライン上で開示し、YouTube のコミュニティガイドラインに違反するコンテンツの削除に関する集計データを毎四半期ごとに公開し、ポリシーの適用プロセス等について解説しています。

6月24日回答

コンテンツの削除などの措置を講じているわりには、大量にヒットするので、今後の課題なのかなというところ。またユーザーから報告する場合は、「スパムまたは誤解を招く内容」→「誤解を招く説明」かなと。個人的にはもっと直接的に「フェイク動画」と指摘する項目や、メーカーが申請できるフォーマットがあれば報告しやすいのではと思います。

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▲フェイクレビュー動画の報告では「誤解を招く説明」がいちばん適切か

アップされたフェイクレビュー動画を観てみると、「比較がわかりやすい」とか「参考になった」とか、動画の内容に騙されているコメントも多く見受けられます。いずれこの手の動画が嘘であると広く認識はされるでしょうが、あわせて「レビュー動画」自体の信頼度が下がり、真面目にレビュー動画を作っている人が馬鹿をみることにもなりかねません。

またメーカーにとっても、嘘の画質比較を堂々と配信されたのでは、悪い製品イメージを広めてしまう可能性もあります。

ユーザー側としては現状、こういったタイミングのあまりに早い比較レビューは疑ってかかることと、フェイクレビューと思われる動画を見つけたら、こまめに「報告」していくしかなさそう。Google・YouTubeには、「フェイクレビュー動画」へのしっかりとした対策を期待したいです。