プレイするバラエティ番組「Fall Guys」ヒットの要因を考える

「結局エイム力じゃん」の壁を超えた

堀江くらは
堀江くらは, @kuraharu
2020年09月7日, 午後 05:30 in games
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Mediatonic / Devolver Digital

突如ブームとなり、SNSや配信サイトでも連日話題となっているバトロアアクション「Fall Guys」。SteamとPS4でプレイ可能で、恐らくSteamのヘビーユーザーや、無料で配信されていたPS+加入者の方なら既にプレイしているのではないでしょうか。

本作は既にEngadgetでも取り上げていますが、一応簡単に紹介すると、60人のプレイヤーで競い、最後まで残った一人が勝者となるバトロアゲーム。ただし本作はパーティゲームにも属しており、「Fortnite」のように銃を使って戦ったりはせずに、TV番組「SASUKE」「風雲!たけし城」のようなステージでレースをしたり、チームに分かれて大玉転がしをしたりと、コミカルな雰囲気で進行していきます。

各ラウンドで下位の人から脱落、最後に残った一人が優勝する、というアクションゲームです。バラエティ番組をモチーフにしているということで、どこかで見たことがあるようなステージも散見されます。

障害物競走のようなステージ。ルールもすぐに呑み込めます

一見するとインディーゲームによくある「バカゲー」ではありますが、前述したとおり本作は爆発的なブームとなりました。本稿では、本作のブームについて考えていきます。

■「結局エイム力じゃん」の壁を超えた

「PUBG」のヒットに続く形で登場した「Fortnite」「Apex Legends」といったバトロワ系ゲームは今でも根強い人気です。その人気の理由の一つに「気軽に楽しめる」ことがよく挙げられます。バトロワ系の特徴であるルールのわかりやすさや、リスポーンがないので死んだら次のゲームにすぐ行けること、運要素が強いことなどは、気軽にプレイできることに繋がっています。また、気軽にプレイできるとことは、既存のFPSやMOBAなどが複雑化していく中で取り残されたライト層にも訴求する要因にもなりました。

 一方でバトロワ系ゲームもシュータージャンルということもあり、最終的にはエイム力やマップの理解度、細かいテクニックを駆使することが求められます。ゲームの研究が進んでいけば尚更です。こうした要素は、ゲームに奥深さを生み、プレイヤーの「攻略しがい」に繋がっていますし、この手軽さと奥深さのバランスもバトロワ系に熱中するプレイヤーが多い理由です。

しかし、それと同時に、こうしたゲームをやり続けるほど「結局エイム力じゃん」と萎えてしまうプレイヤーも一定数いるのではないでしょうか。かくいう筆者もこうした理由で一時期Apexを離れていました。すぐに復帰しましたが、同じ理由でやめた友人は未だに戻ってきません。ライト層にとってはエイムを求められる時点で難しいゲームなのかもしれません。

そんなバトロワゲームの現状を打ち破るかのように現れたのが「FallGuys」です。本作は操作は移動とジャンプ、つかむ、ダイブの4種類しかなく、各ステージのルールも直感的に理解できます。また、負けたらすぐに次のゲームに行けますし、運で勝てることも(たまにですが)あります。トップのプレイヤーが不慮の事故で脱落するのは日常茶飯事ですし、自分も事故で簡単に負けますし、ステージによっては画面がごちゃごちゃしすぎていて何が何だかわからないまま負けることもあります。

スタート直後、ゴチャゴチャしすぎていて何が何だか分からなくなります

こんなゲームですから、当然エイム力は不要ですし、血眼になって勝つ必要もありません。むしと友人と通話しながらゲラゲラ笑いながらプレイする類のゲームで、ゆるく楽しめる「プレイできるバラエティ番組」のノリで本作は進行していきます。

吹っ飛んだプレイヤーにぶつかって他のプレイヤーも吹っ飛ぶ。ついでに実績も解除

もちろん、同じようなノリのインディーゲームはたくさんあります。「Gang Beasts」や「Ultimate Chicken Horse」などが代表例でしょう。しかし「Fall Guys」は60人という多人数が一緒にプレイし、競うからこそゴチャゴチャしていて、何が何だかわからないけど面白い展開が巻き起こります。

こんな風に、バトロワ系の長所を生かしつつ、ライト層にとっては重かったエイムなどのテクニックの壁を低くしたのが本作のヒットの一因になったのではないでしょうか。

■見ても楽しめるのでドンドン広がっていく

先ほど、「プレイできるバラエティ番組」と表現しましたが、本作は見ているだけでも十分に面白いゲームで、ゲーム配信によって本作は勢力を広げていきました。

「League of Legends」や「APEX」のようなゲームは未プレイだとどうしてもわからない部分があるので、配信する側と視聴者のミスマッチを引き起こします。一方で本作は視聴者にルールを特に説明しなくとも、何をしているか直感的に伝わりますし、不慮の事故やギャグのような展開も多く、配信者も自然と面白いリアクションをとることが可能で、配信向きのゲームといえるでしょう。

そんな本作ですから、YoutubeやTwitchといった配信サイトでも人気を博しているのは当然でしょう。日本でも大手YoutuberやVTuberが本作をこぞってプレイしています。もともと「上手くて魅せるプレイ」よりも「見ていて楽しめるプレイ」が人気のゲーム配信ですから、バラエティ番組が元ネタにある本作との相性が抜群のようです。

ライブを検索してみると、人気のほどがうかがえます

また、本作は友人と画面を共有しながらプレイするだけでも十分に楽しめます。実際、最近は僕がDiscordにログインするだけで友人から「昼メシ食うからFall Guysプレイしてくれない?」と頼まれたりします。騒ぎながらプレイする僕が滑稽で面白いそうです。僕たちのように既存のゲームコミュニティで共有して本作を楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。

転落しないように足場を渡るステージ。他のプレイヤーから邪魔されるので悲鳴をあげるプレイヤーも。いかにも配信受けしそうなステージです

■無料配布で爆発的にヒット 終了後の展望

以上のように、本作は「気軽さ」と視聴の楽しさを兼ね備えたゲームでした。例えるなら「プレイできるバラエティ番組」であると同時に、バラエティ番組のように「視聴が楽しいゲーム」であり、この二面性がヒットの要因となったのではないでしょうか。

さて、本作のヒットのトドメとなったのは、やはりPS Plus会員への無料配布でしょう。配信などで興味を持ったゲーマーが本作を手にしやすかったのは大きく、特にあまりゲームをプレイしない、人のプレイを視聴するだけで終わりがちなカジュアル層にまでリーチするためには必須だったと言えるでしょう。そんな本作の無料プレイは9月1日で終了します(まだプレイしていない方は急いでインストールしましょう)。

最後に、無料プレイ終了後、「Fall Guys」は人気を継続できるのでしょうか? ブームを起こすゲームは毎年存在しますが、一過性の現象として消えていくゲームも多く存在します。

まず急務となるのがチーター対策でしょう。昨今では多くのゲームがチーターの影響で人口を減らしています。本作も既にチーターが存在しており、一日も早い対策が求められています。

また、SNSでは運営が積極的にユーザーとやり取りをしていたり、「キャラクターの身長は183㎝」といったネタの提供も行ないコミュニティを盛り上げています。コラボ企画なども進めているだけでなく、中国でモバイル版の開発も決定している等、暫くは話題に事欠かないゲームではありそうです。

個人的に気になることは、このゲームがプレイヤーの研究によってどう変化するかです。本作は複雑化するゲームにとってのカウンター的な存在です。しかし、今後はプレイヤー間での研究が進み、ショートカットや細かいテクニック・バグなどが次々と発見され、高度なゲームに変わる可能性も秘めています。

そうなったときに、本作がどのようなアップデートをするのか。テクニックを放置して複雑なゲームにするのか、それとも削除してライト層向けのゲームとしての地位を守り続けるのかが、今一番気になっていることです。

もちろん、これは不確定なことですし、正直に言ってしまえば本作がどうなっていくかはまだ未知数です。現状ではチーター対策と本作を取り巻くコミュニティの維持と盛り上げが重要になっていくでしょう。

 
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関連キーワード: games, Fall Guys, PlayStation, Steam, news, gear
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