FMVシリーズで知られるPCメーカーの富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、8月31日にAIアシスタントアプリ『いつもアシスト ふくまろ』に関するオンライン記者説明会を開催。「離れた家族に対するPCサポートの、助けるほうと助けられる双方を簡単に、気楽にする」同アプリの新機能を紹介しました。

合わせて、同社製品PC40周年を記念した“同社製品振り返り企画”として、小型ノートPC『FMV-BIBLO LOOX Tシリーズ』の紹介や、同社社員によって作られたFM-7シリーズ用の記念イラスト“ふくまろ for FM-7”(実行本体はおそらく40周年に掛けた『FM77AV40』:タイトル写真)も公開されています。

FCCL ふくまろおしえてサービス

『ふくまろ』アプリは、同社製PCに標準搭載されたWindows用アシスタント(UWPアプリ)です。

独自キャラクター『ふくまろ』(アプリと同名です)のイラストを前面に押し出し、一般的なAIアシスタントとしての動作のみならず、音声による簡単な会話も行えるなど、いわゆる「PCの中のもう一人の家族」的な、強めのキャラクター性が特徴。

SiriやAlexaといった現在代表的なAIアシスタントが(過去一時期では重要視されていた)キャラクター性を捨て、ニュートラルな方向に向かっているのとは逆方向とも取れるアプローチです。

またターゲット層もユニークで、他のAIアシスタントでは比較的アプローチの弱い、シニアや子供層に重点を置いています。

今回の説明会は、8月16日に公開された新バージョンに搭載された新機能『ふくまろおしえてサービス』の紹介が中心。この機能は、PC操作や各種のPCトラブルをはじめとするユーザーの悩みに対し、「ふくまろ、おしえて」というウェイクアップワードからふくまろとの対話をすることで解決に導く、というもの。

FCCL側は「あらゆる人が参加できる IT 社会の実現を目指し、“デジタル苦手さん”をサポートする機能」と位置づけています。また、富士通PC誕生40周年(FM-8からのカウント)を記念して展開する『FUJITSU PC 40th Anniversary』企画の第2弾ともなります。

なお40周年記念企画の第1弾は、現在クラウドファンディング中となる、超軽量のタッチパッド搭載モバイルキーボード『LIFEBOOK UH Keyboard』(UHKB)。これに比べると今回は大きな路線変更にも見えますが、実はFCCL製PCを追いかけているユーザーにとっては、双方ともに同社製PCがここ数年注力してきたテクノロジーの発展系となります。

参考記事:UHKB爆誕!富士通のトラックパッド搭載キーボード LIFEBOOK UH Keyboard がクラファン開始


さて、このおしえてサービスは、3つの支援機能を包括したもの。

3つの機能は目玉的機能(詳細は後述)となる『クイックアシスト支援機能』をはじめ、同社の有料PCサポートへの仲立ちを行なう『PCコンシェルジュ支援機能』、そしてYahoo!知恵袋やOKWAVEに誘導する(ブラウザで当該ページを開く)『ネットで教えてもらう機能』となります。

FCCL ふくまろおしえてサービス

そして今回の発表会で大きくフィーチャーされたのが『クイックアシスト支援機能』。これは、主にシニア層とその家族の間でありがちな「PC操作に苦手意識を持っているユーザーが、PCの使い方を家族に相談したい」状況に向けた機能です。

技術的には、Windows 10標準機能のリモートアクセス機能「クイック アシスト」を使い、離れて暮らす家族がリモートでのサポートをする……という構図となります。

ここだけ見ればWin 10標準機能だけで良さそうですが、ポイントはメッセージのやりとりにスマートフォンの「LINE」を絡め、また初期設定などでふくまろが介在することで、「サポートを受ける側の敷居がグッと下がる」点。

FCCL側は、サポートを受ける側の基本操作は、「ふくまろに話しかける」「6桁の数字(クイック アシストのPIN番号)を入力する」「(リモート接続の)許可ボタンをクリックする」という3ステップのみ、とアピールします。

そしてポイントは、聞く側の「忙しいかもしれないから頼みにくい」、サポートする側の「電話で聞かれてもわからない。状態を見て判断したい」といった、サポートを頼む、また受ける上でのありがちな悩みを、LINEの介在とリモートアクセスにより軽減している点。

話のきっかけにLINEを介することにより、聞く側の敷居を下げ、合わせてサポートする側も「忙しいから後で」といった都合が伝えやすくなります。また実際のサポートはリモートアクセスにより作業するため、会話では伝えられない複雑な状況も実際に確認でき、作業の無駄も省けるというわけです。

FCCL ふくまろおしえてサービス

さらに、実際の作業は、LINEとWin 10標準機能ベースになるというのもミソ。これにより、従来こうした機能でありがちだった“独自機能に固執してかえって汎用性が下がる”パターンを避けられるというメリットがあります。

発表会中ではデモも行なわれましたが、そこで確認する限り、Windowsでのリモートアクセスの準備としては非常に、と言って良いほど簡便化されていたのが印象的です。

実際には、あらかじめスマートフォン用LINEで家族のグループを作成しておく下準備や、家族側とのLINEでのメッセージや通話のやりとりなども含まれるものの、いったん準備が済めば、相応に気兼ねのないサポートができそうだ、という印象を受けました。

なお、家族のサポートでも解決できない規模のトラブルだった場合は、有料でのサポートとなりますが、上述の『PCコンシェルジュ支援機能』への橋渡しも可能。ハードウェアの根深いトラブルなどでもフォロー可能な体制も構築されています。


FCCL ふくまろおしえてサービス

さて今回のオンライン発表会では、FCCLが昨今力を入れる“40周年を彩った代表的な製品の紹介”も行なわれました。

今回ピックアップされた製品は、小型ノートPC『FMV-BIBLO LOOX Tシリーズ』。紹介を担当した齋藤邦彰会長が自らの愛機を持ち込み、現在に続く世界最軽量ノートPCの基となった、シリーズを通して思い出深いモデルである点が熱く語られています。

そして筆者が気になったのは、このタイミングで“再び”LOOXの話題が出てきたという点。

というのも実は、今回の主題となったふくまろおしえてサービスは、同社の設立1000日記念発表会で予告されていたもの。そして同発表会では、LOOXシリーズに何らかの動きがあるのでは、と予測できる伏線が貼られているのです。

ひょっとすると今回このタイミングでLOOXシリーズの振り返りをしているのも、何らかの意味合いがあってのことやもしれません。

参考記事:最軽量ノートがさらに軽く、次期FMV UHをFCCLが予告。超小型PC LOOX復活の伏線?も

このあたりが気になるEngadget読者は、ぜひ動画(記事末尾参照)をご覧ください。

FCCL ふくまろおしえてサービス

そして今回のサプライズ……というか予想外すぎる出展は、冒頭でも紹介した“ふくまろ for FM-7”と称した、FM-7シリーズ用の記念イラスト――あまつさえF-BASICでのLINEとPAINT命令ベースでの描画――というもの。

なおかつ、実行した本体『FM77AV40』の性能であればはるかに発色数を多くできるのですが、あえてさらに旧機種である『FM-7』との互換モードで動作させている、という凝りよう? です。また画面に描かれた文字などは、FM-7やFM77AV40のロゴに使われたフォントに合わせたデザインとなっている点もポイント。

FCCL ふくまろおしえてサービス

当時(FM-7こそ所有していませんでしたが)リアタイ勢の筆者をして「いやそれ、若い記者は置いてけぼりでは……」「BEEP秋葉原店でやろう」と言いたくなるような、いろいろな意味で趣味バリバリの紹介となっています(あまつさえ、当時のカセットテープ供給ソフトを模したパッケージも公開されました)。

ここはぜひ動画で確認いただきたいのですが、画面描画に掛かる時間なども「現在のPCがいかに速くなったか」を感じさせるものとなっています(ただし、当時でも高速化する手法はいろいろとあったのですが)。こういった点は、40年という富士通PCの歴史と、FCCLスタッフの遊び心を感じさせるところです。

FCCL ふくまろおしえてサービス

このように、いろいろな意味で予想外の出展を含めた今回の発表会。FCCLは『らくらくパソコン』や『GRANNOTE』シリーズといったシニア層に向けたモデルを継続的に投入しているメーカーでもありますが、今回は違った形で、なおかつリモートアクセスが容易となった現在だからこそ可能となった家族間でのPCサポートの形を追求した印象です。

発表会中では、家族でないとプライバシー上相談しにくい、ネット詐欺のような事例でも対応しやすくなるだろう、といった話も出ましたが、まさにこういったメーカー側のユーザーサポートでは対応しにくいトラブルを解消するツールとして活用できそうな機能と感じました。

Source:FCCL ニュースリリース