removable media

[名称] フレキシブルディスケット、200mmフレキシブルディスク、8インチFD、フロッピーディスク
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約200mm
[容量] 約250KB~1.2MB
[登場年] 1971年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「8インチフロッピーディスク」(以下、8インチFD)は、磁性体を塗布したフィルムディスクをジャケットで包んだ形状の記憶媒体。後に登場する5.25インチFD3.5インチFDの先祖となるもので、IBMによって開発されました。最初の8インチFDドライブは単体ではなく、システム(System 370)の一部という扱いでしたが、その後他社からドライブが登場すると、汎用メディアとして普及していきました。

なお、IBMでは「フレキシブルディスケット」、JIS規格では「200mmフレキシブルディスク」という名称ですが、この記事ではより一般的であろう「8インチFD」という名称で呼びます。

PCで8インチFDが使われていたのは、ドライブなどの周辺機器が基本オプションで、PC本体とは別に売られていた時代。FDドライブ用インターフェースを増設し、外付けドライブを接続して使っていた頃です。当時、データの読み書きには、カセットテープなども使われていました。

やがてFDが広く使われるようになってくると、標準でFDドライブを備えたPCが登場してきます。NECの製品でいえば、1983年発売のPC-8801mkIIやPC-9801Fが、最初からFDドライブを内蔵して発売されました。ただし、内蔵されていたのは8インチではなく、5.25インチFDドライブです。これ以降は5.25インチFDや3.5インチFDが主流となり、8インチFDは使われなくなっていきました。

といっても、いきなりハードが消えることはないので、その後も現役ではありましたが……。ちょっと調べてみたところ、1987年6月発売の「一太郎Ver.3」までは、8インチFD版が用意されていました。

一太郎の公式twitterアカウントから投稿されていた写真は、一太郎Ver.2の8インチFD版。右にあるのが、比較対象となる一太郎2019のパッケージ。8インチFDでかい。

なお、米軍が8インチFDの使用を廃止したと発表されたのが、2019年になってから。工業用機械の制御用でもそうですが、こういった専用システムでは修理不能になるまでリプレースされないため、意外と残ってしまいますね。ただ、用途が用途とはいえ、2019年は頑張り過ぎだと思いますけど。

今から見ると8インチFDはとても大きく、知らない人が見たら、何かのジョークグッズだと思ってしまうかもしれません。せっかくなので、5.25インチFDと3.5インチFDと並べてみましょう。

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説明するまでもないですが、左から8インチFD、5.25インチFD、3.5インチFDとなります。3.5インチFDのようにシャッターは備えておらず、5.25インチと同じく不織布などでできたエンベロープに入れて保存するタイプでした。

ジャケットのサイズは約203㎜四方。中央にディスクをつかむための大きな丸い穴(セントラルウィンドウ)、その下方にデータを読み書きするヘッドが接触する穴(ヘッドウィンドウ)、上部にはディスクの開始位置を識別する小さな穴(インデックスウィンドウ)があります。

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5.25インチFDでは右側面に切り欠きがあり、ここをシールで隠すことで書き込み禁止にできました。しかし、8インチFDではこの切り欠きがありません。

ではどうやって書き込み禁止にするかといえば、挿入口方向、上の写真でいえば下辺部分の所定位置を切り取ることで実現していました。切り取った部分にシールを貼って隠してやれば、再度書き込みが可能になります。

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試しに切り取ってみたのですが、さすが30~40年経っているだけあってジャケットの樹脂が劣化してバキバキ折れ、不織布がむき出しになってしまいました。なので、マジックで黒く塗って誤魔化しています。

ちなみに切り取る位置は、右端から約44.45mmを中心に約3.81mm幅(深さ約5.08mm)というもので、ガイドもなしに正確に切るのは難しいですね。中のディスクさえ傷つけなければいいので、多少大きめに切ってしまえば大丈夫ですが。なお、数値が半端に細かいのは、換算するとわかりますがインチのせいです。インチめ……。

中のディスクを見てみましょう。こちらもせっかくなので、8インチFD、5.25インチFD、3.5インチFDと並べてみました。

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8インチFDと5.25インチFDはディスクに直接インデックスホールがありますが、3.5インチFDはハブ部分がインデックスを兼ねているためありません。ディスクは樹脂フィルムへの磁性体塗布という製造方法のため、大きさの違いこそあれ、どれもペラペラだということは一緒です。「flexible」や「floppy」という名前が付くだけのことはありますね。

8インチFDも他のFDと同様、複数の規格があります。そのうち、主にPC向けとして汎用で使われていたのは、片面単密度の「1S」、両面単密度の「2S」、両面倍密度の「2D」の3種類となります。

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上の写真は、このうち1Sと2Dのパッケージ。3種類並べられたらよかったのですが、2Sは入手できていません。

1Sも2Dもどちらも8インチFDなので基本的には同じなのですが、一部異なる部分があります。それが、ジャケットのインデックスウィンドウの位置。この位置を変えることで、ドライブ側で片面/両面の区別をつけられるようになっています。

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ちなみに見分け方は、中央のセントラルウィンドウ上部から右方向に見ていった時、近いのが片面、遠いのが両面です。

なお、ebayなどで探してみると片面倍密度の「1D」があったり、両面高密度の「2HD」相当があったりと、上記3種類以外も見つかりました。これ以外にも、ハードセクタ方式のもの、セクタサイズが128バイト(単密度)や256バイト(倍密度)ではなく、512バイトや1024バイトのものなど、探せば探すだけ派生品が出てくる印象です。

今のように互換性が高くなく、各社が独自規格でPCを作っていた時代ですから、微妙に仕様が異なるものが多数あっても不思議ではありません。そのうち、手に入れたいものです。

連載:スイートメモリーズ

参考:

Diskette, IBM
一太郎Ver.3 ,一太郎ヒストリー, 一太郎情報ポータル, JustSystem
Tech information on floppy disks drives and media, Herb Johnson, retrotechnology.com
8-inch HD high-density diskettes, Herb Johnson, retrotechnology.com
8インチフロッピー エンベロープ画像集, CRIMSON Systems
History of the floppy disk, Wikipedia