13.3インチノートPCでありながら、634gからという飛び抜けた軽さでユーザーから支持されるのが、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の『LIFEBOOK UH』シリーズ。

現行モデルは2020年10月に発表、11月下旬に発売となったばかりですが、その次期モデル――ともすれば筐体レベルの変更となる大幅モデルチェンジの――は、意外と近そうです。

というのも、1月25日に開催された同社のオンラインイベント『FCCL DAY1000 Memorial Reception』にて次期モデルについての予告がなされたため。

さらにこのイベントでは、登場したゲストスピーカーより、同社製超小型ノートPC『LOOX』シリーズ復活に対する期待のメッセージも公開されています。

同イベントは録画・編集された映像によるものですが、ゲストスピーチとはいえカットされずにこうしたメッセージが使われる……ということは、こちらも「ひょっとしたらひょっとする」体制に入ったのやもしれません(グループ内ライバルであるNEC PCが参考出展とはいえ『LAVIE MINI』を発表した点と合わせると、なおさらのはずです)。


まずは気になる、次期UHシリーズの予告から紹介しましょう。といっても現行機が発売されたばかりということもあり、今回公開された情報は決して多くはありません。が、そうした中でも、いくつかのポイントとなる点があります。

最初のポイントは、FCCLより正式に「既に開発中である」と明言された点。といってもUHシリーズは同社の中でも人気のシリーズということもあり、ここで終了とは考えにくいところ。また昨今のノートPCの設計は数か月から数年のスパンが基本となっているため、現在開発中というのは、ある意味で妥当なところです。

ただ当然ながら「開発中である」旨を公開しただけであり、実際の発売時期などに関しては触れられていません。といってもUHシリーズは、基本的に1年に1回は更新されてきたモデル。このタイミングでということは、現在から1年以上空くとは考えにくいところでもあります。

▲次世代UHのデザインと思われる線画。現行機を知る方は、その変わりように驚くところでしょう

それ以上にポイントとなりそうなのが、予告箇所での最後に公開された側面と思わしき線画です。他の箇所では現行モデルをベースにしたイメージ画像が使われていたのですが、この1点だけは次期モデルと思われる(UHのみならず、同社製ノートPCの現行モデルとは異なった)画像となっています。

▲こちらは現行UH-XのUSB Type-C端子。このように左側面に2基という配置で、右側面にはありません

ヒンジと思われる部品の位置などから右側面と思われますが、USB Type-C(形状)の端子が2つ見えます。実はこの時点で、現行機と比べ、設計がかなり異なる点が伺えます。

というのも現行世代のUHシリーズでは、2基のUSB Type-C(あるいはThunderbolt 4)はすべて左側面にあるため。USB Type-Cは転送速度が高速、なおかつ機能が多数のため、それが移動するということは、マザーボードレベルからの大規模な設計変更がなされている点を意味するのです(Thunderbolt系となればなおさらです)。

合わせてポイントとなるのが、全体がゆるやかながらくさび形になっている点。UHシリーズは、現行世代を含めてフラットな本体が隠れた特徴でした。またType-C端子の厚さを基準とすると、本体の厚みもさらに薄くなっているようです。

こうした点から、この次期モデルは、筐体(きょうたい)とマザーボード変更レベルの大きなモデルチェンジになる点、さらに現行モデルとはまったく異なったスタイルになる点が見て取れます。

当然「この画像が正しければ」という注釈は付きますが、FCCL自身が示した図であることを考えると、ここが異なっている可能性は低いはずです(個人的には、現行世代で筐体レベルの変更が行なわれたこともあり、筐体レベル変更が2回続くのは驚きではありますが)。


もう一つのポイントが、いくつかの開発目標が挙げられた点。主なところでは

  • さらなる軽量化と堅牢性向上

  • 強力な性能とセキュリティ性向上

  • 5G対応

  • 画質向上とバッテリー駆動時間延長

といったもの。これらはある意味妥当な強化点ではありますが、こと最軽量を主眼としたUHシリーズでは「現行世代と同じく、性能や使い勝手にも欲張ったモデル」という点は大きな意味を持ちます。

▲レノボの発表会などではおなじみ、デビット・ベネット氏もゲストに。「左下の会社名表記でNEC PCが先に来ている」点もちょっとしたポイントです

また、その中でもとくに焦点となりそうなのが、現行機で弱点と言われることの多いバッテリー駆動時間の延長となる模様です。

というのも、同イベントにてゲストスピーカーとして登場したレノボ・ジャパン社長のデビット・ベネット氏とFCCL社長の齋藤邦彰氏の間で、ちょっとした“小芝居”が行なわれたため。

▲歴代UHシリーズを前に話していたベネット氏ですが、バッテリーがピンチと、枠外のスタッフに……

ベネット氏は最初、UHシリーズの歴代2モデルを使いながらスピーチをしていたのですが、途中で「バッテリーが少なくなった」と言って、NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)の『LAVIE Pro Mobile』に交換し、「こちらのほうがバッテリーが長持ちする」旨の紹介をしているのです。

▲スタッフから交換されたのは、NEC PCの『LAVIE Pro Mobile』というオチ。グループ企業になったからこそできるジョークやもしれません

もちろんベネット氏は直後に冗談である旨を述べているのですが、後ほど齋藤氏がこれを受け、笑顔で「ベネット氏から挑発的なメッセージがありましたが、我々はこれを受けて立ちます」という旨を語っているのです。

当然ながら両者はグループ企業となっているため、もしこれが伏線でないとすると、逆に驚くところでしょう。

▲今回のイベントの主役でもあるFCCLの齋藤社長。グループ内ながら最大のライバルであるNEC PCからの挑戦をしっかり受ける旨を語っています

実際は現行のUHシリーズでも、UH-Xなどの“軽量モデル”のみバッテリー容量が小さく、他はライバル機と比べても大きく見劣りはしないのですが、この次世代版では軽量モデルでもバッテリー駆動時間が延びると期待して良さそうです。

▲FCCLとのパートナーシップをさらに強固なものとしたい、と語る桶谷会長。最新世代の省電力パネルはUHシリーズから、という構図は変わらなさそうです

そしてもう一つ焦点となりそうなのが、画質の向上、ひいてはディスプレイパネルの変更という点。これは次世代UHの予告の直後に、シャープディスプレイテクノロジーの会長である桶谷大亥氏のメッセージが入ったため。

UHシリーズは代々、同社のIGZO素材ベース液晶パネルのうち、最も消費電力の低いパネルを継続して採用していますが、桶谷氏は同社側にとっても、UHへの採用はいち早いものと紹介。今後さらにパートナーシップを強化していきたい旨を述べています。

こうした発言を考えると、次世代UHシリーズでも同社のパネルが採用される点はほぼ確実ではないでしょうか(個人的にはシリーズのどれかには、CHシリーズで採用された有機ELモデルも用意してほしいところではありますが)。


▲LOOXシリーズ復活の要望を語る遠藤氏。ある意味で「今回のモバイルファン・小型PCファン代表枠」的な感もありました

そして個人的に、次世代UH以上に気になったのは、富士通時代の超小型PCであるLOOXシリーズに関する伏線が張られたのでは? という点です。

筆者がそう考える要因は、同イベントのゲストスピーカーとして登場した、角川アスキー総研の主席研究員、遠藤諭氏の発言です。

遠藤氏が歴戦の小型PC愛好家としても知られることは本誌読者にとっては説明不要でしょうが、今回のスピーチでは「今まで一番使ったPCはなんだろう、と考えたら富士通の『LOOX S』だった」「今の技術でLOOX Sを作ってください、というお願いでした」と述べています。

▲FMV LOOX Sシリーズ。VAIO Pシリーズと並ぶ「キーボードに合わせて全体を横長にした」タイプの、昨今では見られなくなった超小型PCです

といっても、これがライブイベントであれば、いわゆる“ゲストからの要望”枠で終わってしまいそうなところ。しかしこのイベントは、遠藤氏のスピーチを含めて事前編集された録画によるもの。「この要望がカットされなかった」という事実には、それなり以上の意味がありそうです。

▲NEC PCのLAVIE MINIは、参考出展扱いながらCESでも注目モデルに。モバイルPCにこだわるFCCLとしては黙って見ているわけにはいかないモデルになった――というのは言い過ぎでしょうか

奇しくもグループ内ライバルとなっているNEC PCは、CESでの“オンライン参考出展”ながら、超小型PC『LAVIE MINI』を公開。1月19日に開催された製品発表会では「同イベントでの評価が高かったこともあり、製品化に向けて引き続き検討していく」旨を紹介しています。

参考記事:

NEC 8型UMPC『LAVIE MINI』写真レポ。独特配列のキーボードや合体機構など見どころ多数

こういった点も合わせて考えると、これが(他メーカーも発表会で仕掛けるような)何らかの形での伏線である……と考えるのは、あながち突飛な発想とも呼べないのでは、と考えます。

当然ながら実際の動きとしては、開発中と公表された次世代UHに比べてもさらに後、という可能性は大きそうですが、LOOXは超小型ノートの中でもキーボードなどへのこだわりなどから、富士通時代のPCの中にあってもアツい支持者を持つシリーズ。

本当に復活となれば、市場に対する、そしてFCCLのブランドイメージに対するインパクトは決して小さいものではないはず。個人的な希望を含めて、ぜひとも復活に期待したいところです。


なお、『FCCL DAY1000 Memorial Reception』イベント全体の流れとしては、齋藤氏がこれまでの歩みと今後の事業展開を語っていくというもの。

中でも今後の事業展開としては、同社のAIアシスタント『ふくまろ』を入り口とした新サービス(現在実証テスト中)を紹介しています。

これは、ふくまろとコールセンターのオペレーターとのタッグにより、「オンラインで旅行の予約をしたいのに、難しい……」「家の中の不要物をオンラインで処分したいのだが、方法が分からない」「手話に興味があり、ネットで学んでみたいのだが、方法が分からない」といった悩みを解決するもの。

同社は現在でも、PCのリモートサポートなどを同様の流れで行なうサービスがありますが、この新サービスはこれを生活一般の悩み解決にまで広げるという野心的なものとなっています。

齋藤氏は「デジタルが苦手なお客様に徹底的に優しいサービス」と紹介しましたが、富士通時代から「かんたんパソコン」シリーズを手がけ、こうしたノウハウを他社以上に蓄積している同社だけあり、この言葉にも説得力があるところです。

合わせて『ふくまろ』のスマートフォン版への展開なども、今後の計画として紹介されています。

Source:FCCL ニュースリリースオンライン発表会動画(YouTube)