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21年最後の連載ということで、今回は私的なベストバイを挙げつつ、その端末を軸に本年のスマホ業界を振り返っていきたいと思います。今年筆者が購入して、もっとも満足できたのはサムスン電子の「Galaxy Z Fold3 5G」です。

開くと大画面、閉じるとコンパクトというコンセプトは初代から続いていて、その点では目新しさはありませんが、Fold3は初めて防水に対応。さらに日本版に関しては、初のドコモ版、初のおサイフケータイ対応と、初物づくしでした。S Penに対応し、Galaxy Noteのポジションを受け継いだのも、Fold3からです。

▲21年のベストバイに挙げたいGalaxy Z Fold3 5G。筆者はドコモ版を購入した

中でも筆者は、普段使いする上でどうしてもおサイフケータイが必要でした。機種変更したらモバイルSuicaの定期券が使えなくなってしまうようでは、メイン機になりえません。

フォルダブルスマホのコンセプトには共感しつつも、初代と2代目は日本向けのローカライズがほぼされておらず、購入には至りませんでした。その意味で、Fold3 5Gは約2年、待ちに待った1台。日本版が発表されるやいなや、いや、むしろ発表中に予約を済ませてしまいました。

合わせて、S Pen Proも購入。キャンペーンでケースつきのS Pen Foldをもらうことはできましたが、いち早くS Penを試したいという理由で、端末購入直後に注文をしてしまいました。いわゆる裸族の筆者は、スマホケースを使わないのもS Pen Proを購入した理由の1つ。特にFold3の場合、元々かなりの重量がある上に、折りたたんだときの厚みもあるため、ケースをつけてさらに大きく、重くするという選択肢はありえませんでした。見えないケースことドコモの「ケー補」をつけているため、いざという時にも安心です。

▲S Pen Proも合わせて購入。コロナ禍でリアルな発表会や展示会が減り、活躍の機会は少なくなってしまったが、立ちながらの取材には重宝する

そんなこんなで購入したFold3ですが、使い勝手には非常に満足しています。以前の連載でもレビューしたとおり、大画面になることでスマホの用途が大きく広がる印象を受けています。以前はスマホではあまり利用しなかった電子書籍を使ったり、PCにリモート接続したりと、普段からフル活用しています。このサイズ感ならマルチウィンドウも無理なく使える点も、気に入っています。

▲画面サイズが広がることで、スマホの用途も広がった印象

レビューでも挙げていたように、アプリがまだまだフォルダブルに追いついていないところはありますが、こうした問題は時間とともに徐々に解消していくことを期待しています。フォルダブルスマホがスタンダードになってくれば、そのユーザーをターゲットにしたアプリも増えるからです。業界全体を見渡してみると、フォルダブルスマホがそのバリエーションを徐々に広げていることが伺えます。

2021年は「フォルダブルスマホ元年」

特に21年は、“フォルダブルスマホ元年”とも言えるほど、端末のバリエーションが広がりました。日本には未上陸ですが、4月にはシャオミがFold3と同じ横開き式の「Mi Mix Fold」を中国で発売。12月にはOPPOが同社初のフォルダブルスマホとして「OPPO Find N」を発表しました。

サムスン以外の選択肢が着実に増えてきているのは歓迎すべき状況。競争が活発になれば、より手にと届きやすい価格になることも期待できます。

▲シャオミに続き、OPPOもフォルダブルスマホのFind Nを発表した。中国勢が続々とサムスンに続いている

実際、サムスン自身もFold3発表時に、フォルダブルスマホはハイエンドモデルにおける“次のスタンダード”になると宣言しています。発表時に紹介された市場調査を見ても、出荷量は年々増えていく予測が立てられています。Fold3や、同時に発表されたGalaxy Z Flip3 5Gはグローバルで販売が好調。過去のフォルダブルスマホを大きく上回る勢いで、サムスンの新たな“顔”として定着しつつあります。

一方で、先に定着するのは価格がこなれ始めている縦折りタイプのフォルダブルスマホなのかもしれません。上記のFlip3は、グローバルで999ドルという価格が大きな話題を呼びました。ドル建ての価格で、1000ドルを切ったのはこれが初めて。日本だとドコモとau、いずれも15万円前後とやや割高になっていたのは残念ですが、折りたためない他のハイエンドモデルと価格が並び始めた点では、ここがターニングポイントと言えるでしょう。ハイエンドモデルを購入しようとしているユーザーの選択肢になりえるからです。

▲縦折りのGalaxy Z Flip3 5Gは、フォルダブルながら1000ドルを下回る価格が話題を集めた。もはやフォルダブルもハイエンドスマホのいち選択肢になったと言えるだろう

日本市場を見ると、縦折りフォルダブルも徐々にラインナップを増やしています。

3月には、モトローラがソフトバンクと自身の販路で「razr 5G」を発売。往年のrazrをほうふつとさせるデザインが、話題を集めました。この機種は、現時点でもメーカー自身が販売するキャリアフリーの端末として、唯一のフォルダブルスマホ。スペック的にはFlip3より見劣りする部分がありますが、デザイン面はかなり攻めた端末だと言えます。

▲モトローラのrazr 5Gも日本に上陸。往年のrazrをほうふつとさせるデザインを採用した

縦折りのフォルダブルスマホも、バリエーションが増え始めています。元々はrazrやFlipのみだった縦折りフォルダブルですが、12月にはファーウェイが「P50 Pocket」を発表。米国の制裁下で5Gが使えないため、Snapdragon 888を搭載しながら4Gモデルになってしまいましたが、円形のサブディスプレイやフォルダブルスマホとしては高画素なカメラを搭載しており、デザインも洗練されています。

GMS(Google Mobile Service)非対応のため、中国以外での展開は難しそうですが、ファーウェイの底力を見た印象を受けました。

▲トリを飾ったのはファーウェイだった。同社は12月に縦折り型のP50 Pocketを発表した

OS側も対応が進み、Android 12にはタブレットやアスペクト比が可変するフォルダブルスマホをターゲットにした「Android 12L」というバリエーションが登場します。現時点ではまだベータ版の段階ですが、22年には正式版になる予定。OS側の正式なサポートがあれば、アプリのエコシステムもより拡大しそうです。その意味で、22年以降もフォルダブルスマホの勢いが止まることはないでしょう。

21年は、その起点となった年として記憶にとどめておきたいところです。