折りたたみスマホ定着への道筋 「5Gや価格」などが成長のカギに(佐野正弘)

モトローラ・モビリティが折りたたみスマホの新「razr」を発表

佐野正弘(Masahiro Sano)
佐野正弘(Masahiro Sano)
2020年09月10日, 午前 08:39 in Razr
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Motorola Razr
Engadget Japan

大きなディスプレイを折りたたむことで持ち歩くことが可能なスマートフォンは、2018年から2019年にかけていくつかの企業から相次いで投入されたことで大きな話題となりました。日本でもサムスン電子の「Galaxy Fold」や「Galaxy Z Flip」がKDDI(au)から販売され、斬新さだけでなくその値段の高さでも注目されたというのは記憶に新しいところです。

その折りたたみスマートフォンに関するチャレンジは現在も続いており、秋には再び各社からの新製品が投入されるようです。実際サムスン電子は2020年9月1日、Galaxy Foldの後継モデルとなる「Galaxy Z Fold2」を発表しています。

folding smartphone
▲サムスン電子が発表した「Galaxy Z Fold2」。背面のディスプレイが6.23インチに大型化されるなど、前機種の不満解消に力を入れた正統進化のモデルとなる

Galaxy Z Fold2は、閉じた状態では6.23インチ、開いた状態では7.6インチと、Galaxy Foldより一層の大画面化を実現したほか、ヒンジ部分に改良を加えたことで開閉がしやすくなり、ほこりが入りにくくなっているなど、前機種の不満を大幅に改善した正常進化モデルです。なかでも注目されるのは、ヒンジが90度、75度、115度の3段階で固定できるようになり、折り曲げた2つの画面を使って別々の機能を利用できる「Flex Mode」を採用したことです。

これはすでにGalaxyZ Flipでも採用されているもの。カメラアプリであれば折り曲げたディスプレイの上部をファインダー、下をシャッターとして活用する、YouTubeであれば上部で映像を再生し、下部でコントロールする……といった具合に、1つのアプリで2つの画面を活用できるのが大きな特徴となります。

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▲Galaxy Z Fold2はヒンジの改良などにより、1つのディスプレイを2画面として活用する「Flex Mode」を搭載している

なぜFlex Modeの搭載に至ったのかといえば、Galaxy Foldのユーザー調査から、通常のスマートフォンと比べると1つの画面で複数のアプリを操作する頻度が多い傾向にあったからとのこと。広い画面を有効活用するため、1つの画面を分割するというスタイルを生み出すに至ったといえそうです。

ただ、どうせ別々の画面で使うことを重視するのであれば、1枚のディスプレイを無理に折り曲げる必要はいのでは?という見方もできるでしょう。そうしたアプローチで作られたのが、2020年8月12日にマイクロソフトが発売を発表したAndroid端末の「Surface Duo」です。

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▲マイクロソフトの「Surface Duo」は1つの画面を折り曲げるのではなく、2つのディスプレイを組み合わせた折りたたみスマートフォンとなっている

Surface Duoは2つのディスプレイを組み合わせた折りたたみスマートフォンなので、1つのディスプレイとして活用する際にはどうしても中央に線が入ってしまうというデメリットがあります。ですがマイクロソフトはSurface Duoをビジネスの道具と位置づけており、もともと2つの画面で別々のアプリを動作させ、仕事の生産性を上げることを重視しているのです。

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▲Surface Duoはビジネスツールとしての側面が強く、2つのディスプレイで別々のアプリを動かし、同時に活用することでビジネスの生産性を上げることを重視している

「タブレットのような大画面をコンパクトに」という従来の折りたたみスマートフォンの発想であれば、1つの画面を頑張って折り曲げるのが理想形であったことは確かでしょう。ですが、最初から2画面を別々に使うことを前提にするのであれば、最初から2つのディスプレイを使った方が開発もしやすく、コストがかからないのも事実です。

実際、Galaxy Z Fold2は1999ドル、日本円で約21万円と相変わらずの高額ですが、Surface Duoは1399ドル、日本円で約15万といったところ。もちろんSurface Duoも十分高額ではありますし、双方の端末には機能・性能差もあるので単純な比較はできないのですが、ディスプレイ構造の違いが価格差に少なからず影響していることは確かでしょう。

そしてもう1つ、異なる角度で作られた折りたたみスマートフォンを発表したのがモトローラ・モビリティです。同社も2020年1月に米国などで、Galaxy Z Flip同様、縦に開くタイプの折りたたみスマートフォン「razr」を発売していますが、米国時間の2020年9月9日にその後継モデルを発表したのです。

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▲モトローラ・モビリティが投入した新しい「razr」。5G対応モデルが用意されるなど、いくつかの機能進化がなされている

新razrは内側のディスプレイサイズが6.2インチ、外側のディスプレイが2.7インチと、前機種と比べディスプレイサイズは大きく変わっていません。ですがチップセットに最新の「Snapdragon 765G」を採用し、新たに5Gに対応したモデルが用意されるなど、いくつかの性能向上が図られているようです。

そしてモトローラ・モビリティが新razrのアピールポイントとして打ち出しているのが、折りたためる内側のディスプレイではなく、外側の「Quick View display」だということには驚きがありました。Quick View displayは本体を閉じた状態で使用する補助的なディスプレイなのですが、新razrではここで利用できる機能を強化して利便性を高めることに力が入れられているのです。

具体的には、Quick View displayの下部にナビゲーションバーを用意して、さまざまな機能やアプリにアクセスしやすくなったほか、キーボードを表示してテキストメッセージを入力できるようにしたり、Googleマップのナビゲーション機能を利用できるようにしたりと、できることが増えているのです。

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▲新razrは閉じた状態で利用する「Quick View display」が強化され、キーボードを表示してメッセージの入力・送信なども可能となっている

つまりモトローラ・モビリティはrazrで、ディスプレイが折りたためることを「普通サイズのスマホを開くとタブレットのような大画面」にするために使うのではなく、あくまで「普通のスマホをコンパクトにする」ことに重点を置いていることが分かります。折りたたみ型なのに外側のディスプレイの機能強化に力を入れていることには違和感を抱く人もいるでしょうが、それも同社が、折りたたんだコンパクトな状態での使い勝手を重視しているが故といえるでしょう。

このように、最近発表された折りたたみスマートフォンの取り組みは三者三様で、ライバル同士のガチンコ勝負とはなっていない様子が見えてきます。そこには折りたたみスマートフォンの開発に力を入れていた1社であるファーウェイ・テクノロジーズが、米国の制裁によってスマートフォン開発が難しくなっていることも影響しているのですが、やはり折りたたみというスタイル自体に、各社ともまだ試行錯誤が続いているというのが本当のところではないかと感じてしまいます。

こうした試行錯誤はまだしばらく続くでしょうし、そもそも折りたたみスマートフォンが定着するには少なくとも10万円を切るくらいまで価格が下がることが求められるでしょうから、本格普及はしばらく先のことになると考えられます。ですがスタイルが異なるとはいえ、折りたたみスマートフォン自体の数は徐々に増えてきていますし、スマートフォンの高付加価値化を求めて参入する企業は今後も増えることが予想されます。定着に向けた各社の開発競争が盛り上がってくれることを期待したいところです。


 
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