Epic Gamesは9月11日以降、アップルの意向により「Appleでサインイン」機能を使ったEpic Gamesアカウントへのサインインができなくなると警告していました。が、その後に停止が無期限に延長されたと発表しています。
「Appleでサインイン」はApple IDでサインイン済みのデバイスで他社のアプリやWebサイトにサインインする際にランダムなメールアドレスを生成し、個人のメールアドレスを渡さないことでプライバシーを守る仕組みです。アップルがiOSアプリ全てに導入を義務づけていたためフォートナイトなどEpicゲームにも備わっていましたが、これがなくなればサインイン不可となります。
しばらく停止は回避されたかたちですが、いつまで延長されるか不明のため、Epicは引き続きメールアドレスとパスワードを至急更新するようユーザーに呼びかけています。
この揉め事の発端は、EpicがiOS版フォートナイトのアプリ内購入にてApp Storeを介さないディレクペイメント(Epicに割安に支払える)オプションを追加するアップデートを行ったところ、アップルがこれを規約違反としてアプリを削除したことです。Epicが直ちに訴訟を提起すると、アップルは8月末にEpicの開発者アカウントを停止し、さらには損害賠償請求を提起して反撃に出ています。
今回の件で両社が多少なりとも歩み寄る気配があるかといえば、そうでもないもようです。英The GuardianによればアップルはEpicの開発者アカウント削除を知らせるメールにて「最後に、あなたの行為の性質を考慮して、Apple Developer Programへの再申請を少なくとも1年間は拒否することにご注意ください」と申し渡していたとのこと。同社は規約違反の直接支払いオプションを削除すればフォートナイトを直ちに復活させると呼びかけていましたが、実は今後1年間は戻すつもりはないかもしれません。
またアップルが損害賠償を求める訴状で「Epicの訴訟は、お金をめぐる基本的な意見の相違に過ぎない」と主張したことに対して、Epicのティム・スウィーニーCEOはTwitterにて反論。その主張こそが「テック業界の創業の原則を見失っている 」ことの象徴だと述べていますが、「創業の原則」が具体的に何を意味しているかには言及していません。
Presumably they're just posturing for the court, but if Apple truly believes the fight over the App Store's distribution and payment monopoly is a "basic disagreement over money," then they've lost all sight of the tech industry's founding principles.https://t.co/349RHLqKYa
— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) September 9, 2020
2つのハイテク巨人が原理原則を巡って激突しているなか、その余波に巻き込まれたiOS版ユーザーが翻弄されているかっこうですが、お金や自由の戦いよりも「違うプラットフォームの友だちと遊びたい」という顧客の願いにも配慮が望まれそうです。
Source:Epic Games,The Guardian