Epic Gamaeの人気ゲームであるフォートナイト(Fortnite)は今年8月にApp Storeから削除され、最低1年は復活はないと見られています。
そんななか、米NVIDIAのストリーミングゲームサービスGeForce NOWを経由してフォートナイトがiPhoneに戻ってくるかもしれないとの噂が報じられています。
GeForce NOWほかストリーミングゲームサービスは、外部のクラウドサーバー上でゲームを動かし、プレイヤーの手元に動画としてストリーミングするしくみ。プレイ側の端末に求められる性能は動画を再生できる程度のため、元々はスマートフォンやタブレット等ゲーミングPCより非力なデバイスでもリッチなゲームが楽しめる手軽さが注目を集めています。
さて英BBC報道によれば、NVIDIAはiOSとiPadのSafari上で動作するバージョンを開発したとのこと。記事執筆時点ではGeForce NowはPCやMac、AndroidやChromebookでの動作がサポートされているものの、iPhoneやiPad向けには提供されていません。
NVIDIAは今年8月「どんなデバイスでもGeForce NowをWebRTC準拠のブラウザにストリーミングできると考えている」と述べていました。そしてiOS/iPadOS用SafariはWebRTCに準拠しているため、実質的に「将来iPhoneやiPadにGeForce NOWを提供する」宣言と推測されていた経緯があります。
再びBBC報道に戻ると、iOS向けGeForce NOWサービスは正式に発表されていないが、冬休み前に実施すると期待されているとのこと。そしてiPhoneとiPadユーザーは本サービスを介して、すぐに再びフォートナイトをプレイできるとの予想を述べています。
この手法を使えば、EpicはフォートナイトをiPhoneやiPadに提供しつつ、App Storeでのアプリ内購入の30%手数料を支払わなくても済むはず。しかし、不安材料はいくつか残っているとBBCは指摘しています。
その1つは、フォートナイトがGeForce NOW上で動作するゲームのリストから除外される可能性があるということ。実際、昨年12月にAndroid向けサービスでフォートナイトが一時的に遊べなくなった前例も報告されています。
もう1つは、いわゆるラグの発生が懸念されること。BBCは同サービスが「プレイヤーのコマンドを処理し、グラフィックを生成するためにリモートコンピュータサーバーを使用している。関連するデータをモバイルデバイスにストリーミングすると、非常に短い遅延が発生する」として、マルチプレイヤー対戦での勝敗は一瞬の判定に左右されることもあるため、ラグが問題になる可能性もあると予想しています。
iOS/iPadOS向けのクラウドゲーミングサービスをWebブラウザを通じて提供するアプローチは、GeForce Nowに限らず一般的な潮流となりつつあります。たとえば今年9月にアマゾンが独自ゲームサービス「Luna」をWebアプリとして実現すると発表したのに続き、マイクロソフトのxCloudもブラウザベースで提供したい考えを示していました。その背景にはApp Storeアプリを通じての提供とすればゲームタイトル個別にApp Store審査を求められる上に個別のダウンロードが必要とされ、ユーザー体験が損なわれる事情があると思われます。
もしもiOS/iPadOS向けGeForce NOWがサービス開始できたとしても、アップルがフォートナイトの提供を歓迎しないのは確かなことです(上記のxCloudやLunaもフォートナイトを提供していません)。
アップルとEpicの訴訟は、前者のUnreal Engine開発アカウント停止の考えも裁判所に支持されず、後者のフォートナイトをApp Storeに戻すよう求める仮差止命令の申請も却下され、2021年までいったんストップしています。その間にEpicが何か動きを起こすのか、それをアップルが阻止しようとするのか、今後の展開を見守りたいところです。
Source:BBC NEWS
Via:MacRumors