Galaxy Z Flipレビュー:『折りたたみスマホ』の洗練された価値提案。ファッション性に18万円を捧げられる人向け

あるいは、未来のスマホを先取りしたいテクノロジー好き向け

石井徹(TORU ISHII)
石井徹(TORU ISHII), @ishiit_aroka
2020年05月14日, 午前 07:00 in Galaxy
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Galaxy Z Flip

大変お待たせいたしました。Galaxy Z Flipのレビューをお届けします。読者の皆様はもうお忘れのことかと思いますが、筆者は3月頭にGalaxy Z Flipとあのゲーム機との比較したミニレビューを執筆しています。そのとき、「もっと有益なGalaxy Z Flipのレビューは1か月ほど使ってみてから執筆したい」と書いておりました。掲載が遅れてしまったことをお詫びいたします。

実際のところ、GBASPのレトロゲームではなく、Switchの『あつまれ どうぶつの森』という非常にクリエイティブなゲームにハマってしまっておりました。

年に何台か携帯電話を買う普通のガジェットオタクである筆者が、Galaxy Z Flipを購入したのは一時のきまぐれにすぎません。「18万円の高級スマホにほんとうに18万円の価値があるのか」ということに興味を持ったのです。その使用感を正直にお伝えするのも、ガジェット専門媒体に寄稿する記者としても意義のあることだと思うわけです(その後の支払いに2年間苦労することになるのは言うまでもありません)。

■18万円の価値はあるのか

さて、本題です。「Galaxy Z Flipに18万円の価値があるのか」。

これに対する筆者としての結論は「間違いなく価値を感じることはできる。ただし、最新のテクノロジーに興味がある人なら」というものです。

Galaxy Z Flipは確かに洗練された折りたたみスマートフォンです。フォルダブルディスプレイを非常に自然な形でスマホに実装しています。

Galaxy Z Flip

Galaxy FoldやMate Xのような「開けばタブレット、畳めばスマホサイズ」という分かりやすい機能性はありません。畳んでも半分のサイズになるというだけです。

ただし、スマホが縦長化している現状の中で、この「半分に折れる」機能性は、ある意味、未来のニーズを先取りしているようにも思えます。“折れない”縦長ディスプレイのスマホと比べると、ポケットに入れたときの収まりの良さが違います。Galaxy Z Flipはほとんどのスマホよりも縦長な画面ながらも、小さいポケットでもスッポリと収まってしまいます。

筆者はXperia 1やFind Xといった縦長のスマホも常用していますが、特にズボンのポケットに入れたときの収まりの悪さは気になっていました。Galaxy Z Flipはもっと小さいジャケットのポケットでもすっぽり収まってしまいます。シャツの胸ポケットに入れるのは流石に不格好かなと思いますが、はみ出ることはありません。

Galaxy Z Flip

突き詰めると「スタイリッシュに持ち運べる」、この1点こそが、Galaxy Z Flipの価値です。そこに18万円出すのは酔狂です。ただ、スマホは誰でも1台は持って毎日使うようなアイテムになっていますので、ファッションアイテムとしての文脈でここにデザイン性を求めるのも、決してありえないことではないでしょう。

フィーチャーフォン末期で巻き起こったデザイン競争が、スマホで再来している、のかもしれません。Galaxy Z Flipは、そのファッションアイテムとしてのニーズに全力で答えられるような設計になっています。

ガジェット好きとしては、その作りを眺めているだけでも、十分に価値があるものと感じられます。キラキラしたボディの光沢感は“最新のテクノロジー”を所有しているという満足感を高め、作りの精巧さを際だたせています。好き者なら無段階で開くヒンジの動きを確かめているだけでも、無駄にテンションが高まることでしょう。

Galaxy Z Flip

■「折りたたんだまま読む」スタイルの心地よさ

ここからは、Galaxy Z Flipを2か月間ほど使い倒してみての印象をなるべく詳しく記録していきます。

Galaxy Z Flipではフォルダブルスマホとしてははじめて、ディスプレイガラスを採用しています。このディスプレイの中央にかけて指を走らせると、滑らかなカーブを描いて凹んでいることが感じとれます。その独特の手触りの心地よさも、質感の満足度を高める要因になっています。(同時に、特別なスマホを触っているのだという自己満足も満たします)。

ディスプレイの周りは最近のスマホとしては珍しく4mmほどの幅があるベゼルが囲んでいます。これは折りたたみの機能を実現する上で仕方のない制約でしょう。よく見ると下部のベゼルにゴム製の突起があり、折りたたんだ時の衝撃を緩和しているのが見て取れます。

Galaxy Z Flip
画面領域を占有しないGalaxyの辞書アプリ。縦長画面だからこそ有効活用できます

見た目のインパクトに反し、スマホとしての使用感は驚くほど「スマホそのもの」です。180度展開して正面から見ると、中央部のガラスの凹みはほとんど目立たなくなり、特に白背景ではまったくといっていいほど気になりません。

黒い背景のときは、眺めると角度によって折り目のちらつきが目に入りますが、縦スクロールしながらコンテンツを読んでいるときには、ほとんど無視できる程度です。

背面上部にはミニディスプレイも備えていて、時計や通知なども表示できます。モノクロ液晶かと思いきや1.05インチの有機ELディスプレイで、画素密度も305ppiと高め。カメラを起動してみると、精細感に驚きます。

Galaxy Z Flip
文字が迫ってくる感覚。寝転がってブラウジングしてるときも画面を正面から見られるのが地味に快適

中途半端に折りたたんだ状態で固定できるのも、このスマホならではの使い方。流石に使い道はないだろうと思っていましたが、150度ほどに浅く開いた状態でTwitterのタイムラインやWebサイトを眺めていると、コンテンツが読みやすいことに気付きました。

ちょうど『スター・ウォーズ』の冒頭のシーンように、見た目には文章が奥から迫ってくるような体感になります。画面の上半分が閲覧領域、下半分はタッチ操作領域のように機能するため、視線移動が減り、内容に集中しやすいのかもしれません。

■動画視聴にはオススメしないが「ながら視聴」はあり

動画には明らかに不向きです。横向きにすれば映画を大画面で鑑賞できます。一人で観る分には問題ありません。正面からなら画面中央の凹みはほとんど目立ちません。

ただし、みんなで観たい場合、特に左右の視野角の浅い視野角から画面を除く場合、暗いシーンで画面中央部の凹みが気になってしまい、映画の内容に集中できません。縦長に開ききると、立てかけるためのスタンドが必要になり、このスマホならではの意義も発揮できません。

Galaxy Z Flip
YouTubeアプリでは上部に動画を固定できます。スタンドいらずでながら視聴には便利

YouTube アプリでは、スタンドのような開きかけの状態で、置くと動画の再生窓が上部ディスプレイに集約されて、手軽に視聴できます。横長の動画では再生領域が狭く、これだけでしっかりとした映像コンテンツを視聴しようという気にはなれません。何かの作業をしながら片手間で動画を再生しておく、といったシーンでは便利な機能です。

ただ、この視聴機能は対応アプリが少ないのが難点で、NetflixやAmazon プライム・ビデオなど、ほとんどの動画アプリでは使えず、必ず横画面視聴になってしまいます。

Galaxy Z Flip
横画面のスタンドなし視聴は……オススメしません

本体のインカメラをスタンドなしで使えるというのは、ビデオ通話アプリでは重宝する特徴です。Zoomアプリで通話をする際には、スタンドを100度ほどの角度で立てるとちょうどよく自分の上半身を写せます。

■押せば撮れる映えカメラ

Galaxy Z Flipと同時に発表されたGalaxy S20シリーズは、高倍率ズームカメラなどカメラのトレンドを余すところなく取り込んだモデルでした。

それに対してGalaxy Z Flipは、折りたたみスマホという特色もあるため、カメラの性能がずば抜けて高いというわけではありません。それでもGalaxyらしく、「AI」をふんだんにつかった高機能なカメラに仕上げています。

Galaxy Z Flip
イケてる構図を提案してくる「ベストショット」機能がなかなかいい働きをします

背面カメラは広角約78度と超広角123度のデュアルカメラで、どちらも1200万画素。Galaxyらしく味付けの強いダイナミックな色作りで、花や肉を鮮やかな色調に整え、被写体によっては自動でボケ効果もかけるなどして、素晴らしく“SNS映え”する写真が作れます。「ベストな写真」をアドバイスするフレームガイド機能が優秀なフレームガイドも実装されています。「シェアされる写真を手軽に撮りたい」という人にはこれ以上ないカメラと言えそうです

Gallery: Galaxy Z Flip作例 | of 9 Photos

  • Galaxy Z Flip 作例
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    Image Credit: TORU ISHII
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Galaxy S20シリーズに搭載されている「シングルテイク」機能も発売後のアップデートで追加されました。これはショートムービーからフィルター付き写真やループビデオなどを自動で作りだすというもので、パーティー用のカメラにふさわしい楽しげな機能です。

折りたためる画面は、写真撮影時には手に持ったまま角度を調整できるというユニークな特徴にもなります。もう少し被写体に寄って撮りたいというときに、構図を確認しやすいのは便利です。

インカメラは約1000万画素で、視野角80度と広角寄り。上部の“パンチホール型”のくりぬき穴は、約4.5mmほどの直径があり、存在感を放っています。普段使っているときは少し気になる存在ですが、パーティーなどでみんなで集合写真を撮るときにGalaxy Z Flipをしれっと置くと得も言われぬ盛り上がりを見せるため、多少存在感があっても高画質に撮れるインカメラの方がふさわしいと思えます。

また、折りたたんだ背面のミニディスプレイを使って、背面カメラを使った高画質な自撮りができるという豆機能も備えています。こちらは人に見せるときに紹介することはあれど、わざわざ使うシーンはあまり思い浮かびません。

“映える”写真を手軽に撮れるカメラはGalaxyらしく好印象ですが、特にデジタルズームの性能などは、Galaxy S20シリーズと比較するとどうしても見劣りしてしまうのも事実。薄型でデザイン重視の設計をしつつ、内部で大きな面積を占める折りたたみ機構を詰め込んでいるのですから、カメラでの妥協は致し方ない部分でしょう。

■性能はさすがのハイエンド相当も5G・防水・おサイフはなし

チップセットは一世代遅れですがハイエンドのSnapdragon 855+を搭載。メモリも8GBと多く積んでいます。ゲームはたまにポケモンGOを起動する程度の筆者の環境では、性能に不足を感じることはありません。

なお、このスマホで本格的なFPSなどを遊ぼうとすると画面の窪みのちらつきが気になるかと思いますので、ゲームを遊ぶ人がこのスマホを選ぶのはオススメしません。

電池持ちも優秀さで、バッテリー容量は3300mAhと最新のAndroid フラッグシップとしては特別多くはないものの、SNSやWebブラウザー中心に利用するなら2日に1回程度の充電で十分です。ワイヤレス充電もサポートしているのもありがたいところ。

側面の電源ボタンが指紋認証を兼ねており、スマホを開いて、右手の中指でロックを解除と、スムーズな所作で起動できます。高精度な顔認証は備えていませんが、カメラによる簡易的な認証は搭載しています。

Galaxy Z Flip
日常用途でホコリが詰まることはないとは思いますが、砂浜などでは気をつけたいところ

機能面では最新のハイエンドスマホの求められるものはおおよそ備えていますが、「防水/防塵」「おサイフケータイ」「5G」には非対応です。いずれも設計上の制約から搭載が難しかったのだろうと推測できますが、ハイエンドスマホを買うときには当然期待したい機能の不在については、指摘しておく必要があるでしょう。

なお、防塵性能は備えていないものの、折りたたみ機構には内部に侵入するホコリを防ぐブラシなども備えており、日常生活で出るチリ程度なら気にせず使っても問題はなさそうです。筆者は特に気にせず布団の上でも使っていますが、2カ月たっても支障なく動いています。

日本での5Gサービス開始直前という発売時期からすると、5G非対応は残念にも思えますが、4G LTEのみでも使用に支障は一切ありません。

おサイフケータイ非搭載というのは、人によっては支障が出そうです。海外でほほぼ使われていないFeliCa(おサイフケータイ)に対応しないのは理解できますが、このスマホならスタイリッシュに改札も通れそうだと思わざるを得ません。もっとも、最近ではコード決済の加盟店も増えているので、おサイフケータイの不在に不便を感じる瞬間はかつてほど多くはありません。

■一番気になる点:とにかく机から落ちる

もろもろ性能や使い勝手については特段の不満はありません。むしろこの特殊なスタイルでも実用性はしっかり担保しているという時点で、「さすがGalaxy」と賞賛したくなるほどには満足しています。

ですが、一点だけ、さすがに納得できない点があります。それは「机の上に置いておくと勝手にすべりはじめる」こと。折りたたんだ状態で机においておくと、ソロッーと動きだすことがあります。本体の重心の配置が偏っているものと推測されますが、筆者はこの謎の推進力のおかげで机の端から少なくとも10回はスマホを落下させています。18万円のスマホが落下する音を聴くのは心臓にも悪いので、次期モデルではぜひとも重心についての配慮もお願いしたいところです。

Galaxy Z Flip
よく机から落ちる原因。平らに見える場所に置いても逃げ出そうとします。はじめて見たときは目を疑いました

■完成度の高いスマホだが買うのは「好き者」だけでいい

Galaxy Z Flip自体が「スマホとして使えるか」を否定する余地はありません。縦長でもスマホをスタイリッシュに使えるスマホとして、唯一無二の価値を持った1台です。

ただし、「高性能なスマホが欲しい」という人に筆者がGalaxy Z Flipをオススメすることはありません。性能重視で選ぶならGalaxy S20 5GやXperia 1 IIといった他のフラッグシップの方が適切です。

Galaxy Z Flip

それでも、Galaxy Z Flipはスマホ好きなら一度は触れてみてほしいと思わせる1台です。精巧なヒンジで開閉する様子をじっくり眺めて、フォルダブル用にはじめて採用された前面ガラスの手触りを感じて、ひとしきり悦に入る……その至福の瞬間がイメージできるガジェット好きなら、まずは触ってみるべきです。

新しいテクノロジーを保有している満足感が、18万円分以上の価値になり得る。そう考える筆者の心境を理解できるガジェット好きなら、このスマホを選ぶべきです。ただし、その心理構造は世間一般では「酔狂」というものです。スマホの機能を重視して選ぶならGalaxy Z Flipは価格と体験価値のバランスが悪すぎます。

いっそのことデザイン性を重視するなら、限定モデルを選ぶのもアリです。Galaxy Z Flipの限定版、「Galaxy Z Flip Thom Browne Edition」の日本が5月15日に発売されることが発表されました。税抜27万円と目玉が飛び出るような価格ですが、Galaxy Z Flip本体(SIMフリー版!)にスマートウォッチのGalaxy Watch Active2、完全ワイヤレスイヤホンのGalaxy Buds+がセットとなっており、しかもすべてハイファッションの限定デザインで装われています。Galaxy Z Flipのデザイン性への理解があるなら、この価格はお買い得と思えるかもしれません。

Galaxy Z Flip Thom Browne
トリコロールがかわいいトム・ブラウンコラボモデル。Galaxyによると、初回入荷分は1日で売り切れてしまったため急遽追加納入が決定したそうです
Engadget Japan

Galaxy Z Flip 製品情報(Galaxy)

Galaxy Z Flip 製品情報(au)

 
 

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