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Galaxy Z Fold3 5Gが日本でも発売になりまた。サムスンとしては3機種目の横折り式のフォルダブルディスプレイを搭載したモデルとなります。Galaxy Z Fold3 5Gのフォルダブルディスプレイはこれまでの2機種とは異なりSペンの手書き入力に対応、また本体はヒンジ部分などの隙間から水の入らないIPX8の防水にも対応しています。

2019年に初代Galaxy Zが登場したときは、ペン対応や防水が実現するには数年以上かかると思われましたが、サムスンはわずか2年半でそれらを実現しました。ではこれら折りたたみスマートフォンのディスプレイはどのように進化してきたのでしょうか。過去モデルを見ながらその過程を振り返りたいと思います。

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▲(左)Galaxy Fold、(中)Galaxy Z Fold2 5G、(右)Galaxy Z Fold3 5G

初代Galaxy Foldが発表されたのは2019年2月でした。しかし発売は同年9月と、発売されるまでに約半年かかりました。実はGalaxy Foldには製品として登場する前のモデルとして、レビューユニットが存在したのです。このレビューユニットは世界初の内折り式ディスプレイの使い勝手などをテストしてもらうため、2019年4月に各国のレビュワーへ貸与されました。

しかしディスプレイのヒンジ部分の隙間から異物が混入したり、そこから針などをいれてディスプレイ表面を無理やりはがせてしまう、といった構造上の問題がありました。なおレビュワーは無理してはがそうとしたのではなく、フォルダブルディスプレイの表面に保護フィルムが貼ってあるように見えたため、それをはがそうとしたところディスプレイそのものを損傷させてしまったのです。

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▲Galaxy Foldのレビューユニット。ディスプレイのヒンジ部分は最小限の隙間防止加工となっている

そこでサムスンはヒンジ周りの設計を変更し、対策を施した改良を加えて9月にGalaxy Foldの正式モデルをリリースしたのでした。ヒンジ部分には隠し板のような敷居を取り付け、さらにヒンジの外側の隙間内部の異物侵入対策も強化。ディスプレイ最表面層もより硬いフィルムに変更したようです。Galaxy Foldは大手メーカーによる世界初の折りたたみスマートフォンだったこともあり、高価なモデルながら各国で大きな話題となったのは記憶に新しいところです。

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▲Galaxy Foldの正式製品。ディスプレイのヒンジ部分に小さな柵のようなパーツが設置された

さてGalaxy Foldは開いて・閉じて使えるスマートフォンとして使えるものの、ディスプレイの表面がガラスではないために弱いという構造上の欠点を持っていました。そこで次のモデルではディスプレイの強化が図られ「Galaxy Z Fold2 5G」として2020年8月に発表されました。

Galaxy Z Fold2 5Gは初代モデルと異なり「Galaxy Z」と「Z」のモデル名が付いています。ディスプレイ周りの設計は初代モデルと大幅に異なっており、同じ折りたたみスマートフォンですが2機種目にして早くも「次世代モデル」として登場したのです。Galaxy Z Fold2 5Gは、2020年2月に発表された「Galaxy Z Flip」の機構を多く採用しており、折りたたみスマートフォンとしての使い勝手が大きく高まりました。

ディスプレイのサイズは、Galaxy Foldの7.3インチからGalaxy Z Fold2 5Gでは7.6インチに大型化。またGalaxy Foldはフォルダブルディスプレイ部分に2つのカメラを配置していましたが、ディスプレイを欠きとるノッチデザインでディスプレイ面全体を利用できませんでした。Galaxy Z Fold2 5Gはパンチホール式のカメラとすることで全画面表示を可能にしています。

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▲(左)Galaxy Fold、(右)Galaxy Z Fold2 5G

また初代Galaxy Fold最大の弱点であったフォルダブルディスプレイの表面の柔らかさは、新しく開発されたSamsung UTG(Ultra Thin Glass)で覆うことで強度を増しました。Samsung UTGは厚さがわずか30マイクロメートル(100分の3ミリ)という薄いガラスで、フォルダブルディスプレイの表面に張り付けても曲げることができます。折り曲げ回数20万回の耐久性も誇っており、1日約100回の開閉で5年以上持つ計算です。

そしてGalaxy Z Flipでも採用されたフリーストップ構造を採用し「Flex Mode」を搭載しました。初代モデルは「開く・閉じる」しかできませんでしたが、Galaxy Z Fold2 5Gは好きな角度で止めることができます。そのため机の上に置いて、ノートPCのようなスタイルで使うことも可能になりました。

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▲Galaxy Z Fold2 5Gはディスプレイを途中で固定できる。表面は超薄型ガラスで強度を増した

Flex Modeはヒンジ部分を中心として、1つのアプリを2つに表示する機能です。カメラならば片側にプレビュー、もう片側にシャッターなどコントロール部分、ギャラリーなら片側に写真、もう片側に保存しているほかの写真一覧、といった表示ができます。

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▲初代Galaxy Fold、これは手で押さえて途中で止めている。ディスプレイ表面はフィルム層のため、ヒンジ部分の縦の「筋」が、ガラスで覆われたGalaxy Z Fold2 5Gのように完全一直線ではない

ディスプレイの裏側のヒンジ部分も、隙間をより狭くして、内部にはストッパーやブラシの配置で異物の混入をより防ぐ構造にしています。Galaxy Z Fold2 5Gはこのヒンジ部分を交換可能とし、一部の国ではサービスセンターで色違いのヒンジに交換するサービスも提供されました(日本では未提供)。

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▲Galaxy Z Fold2 5Gのヒンジ部分。隙間からの異物混入対策を強化

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▲初代Galaxy Foldのヒンジ部分。内部に異物混入対策のブラシはあるが、隙間はGalaxy Z Fold2 5Gよりも広い

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▲一部の国でサービスされた、ヒンジ交換サービス。5色のカラバリがあった

Galaxy Z Fold2 5Gで折りたたみスマートフォンとしての完成度を一気に高めたサムスンですが、それでもまだユーザーからの要望点はありました。2021年8月に発表されたGalaxy Z Fold3 5Gはフォルダブルディスプレイをさらに進化させ、ようやく普通のスマートフォンとして使える強度を実現したのでした。

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▲(左)Galaxy Z Fold2 5G、(右)Galaxy Z Fold3 5G

ディスプレイサイズは7.6インチのままですが、解像度は2260x816ピクセルから2268x832ピクセルへ高められました。またパンチホールカメラを廃止し、アンダーパネルカメラ(UPC)としています。なおカメラ部分のディスプレイはよく見るとカメラの存在がわかるものの、完全な全画面表示ができる点は大きな進化です。

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▲Galaxy Z Fold3 5Gのアンダーパネルカメラ部分

一見するとわからない進化点として、Galaxy Z Fold3 5Gのフォルダブルディスプレイの素材は新しい「Eco2 OLED」が採用されました。これは有機ELパネルに偏光板を内包させたもので、消費電力が25%削減されるほか、ディスプレイの薄型化が可能になります。また偏光板を別途必要としないため、ディスプレイ下への光の透過度が高まり、カメラを配置するUPCも可能になったのです。このあたりはディスプレイメーカーでもあるサムスンだからできる改良と言えるでしょう。

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▲Galaxy Z Fold3 5Gが採用したEco2 OLED(右)

このディスプレイの改良と、ディスプレイを覆うUTGの強化で折りたたみスマートフォンとして世界初のスタイラス対応となりました。Galaxy Z Fold2 5Gのディスプレイも十分硬いとはいえ、鋭利なもので押すと弱さを感じます。Galaxy Z Fold3 5Gは対応するSペンを使っても画面がへこむこともありません。実際にSペンで手書きすると、普通のスマートフォンと変わらぬ書き心地です。

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▲Sペン入力に対応、ディスプレイ表面は普通のスマートフォンの強度にかなり近づいた

最後に本体全体の改良点としてIPX8の防水に対応しています。ヒンジ部分を見てみるとGalaxy Z Fold2 5Gよりもさらに隙間が見えなくなっています。可動部分のカバー率がより高まっています。

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▲防水対応でヒンジ部分の押さえ板付近も「密」な構造になった

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▲背面ヒンジも隙間はさらに狭まっている。なおヒンジ交換サービスは提供されない

3機種を並べると、フォルダブルディスプレイのヒンジ部分の構造が改良されていっていることが感じられるかもしれません。

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▲(左)Galaxy Fold、(中)Galaxy Z Fold2 5G、(右)Galaxy Z Fold3 5G

なお畳んだ時のヒンジ部分の隙間は、サムスンの構造では完全に閉じることはできません。他社は完全に隙間なく閉じるディスプレイを採用したモデルがありますが、畳んだ時にディスプレイが伸びる部分をヒンジ内側に収納する機構を取るため、ヒンジ周りのディスプレイ強度が弱くなってしまいます。またガラスで表面を覆う構造にはできません。サムスンは少しでも隙間が狭くなるようにと、ヒンジ部分のみならず本体の厚みの薄型化も進めています。

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▲(左上)Galaxy Z Fold2 5G、(左下)Galaxy Z Fold3 5G、(右)Galaxy Fold

Galaxy Z Fold3 5G、そして同時に発売になったGalaxy Z Flip3 5Gは常用できるフォルダブルディスプレイを搭載した最初のモデルと言えるかもしれません。初代モデルからわずか3機種でここまで完成度を高めたサムスンの技術力も素晴らしいと感じられます。機会があればぜひ実機に触れて「新世代のフォルダブルディスプレイ」を体験してみてください。

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▲フォルダブルディスプレイの進化を最新のGalaxy Z Fold3 5G(右)で体験してほしい