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34年ぶりにリブートされたことで話題となった『月風魔伝』こと『GetsuFumaDen: Undying Moon』のレビューをお届けします。対応機種はNintendo SwitchとSteam版用のうち、今回ご紹介するのはアーリーアクセスが開始されているSteam版です。

舞台となるのは初代ファミコン用『月風魔伝』の1000年後のこと。魔王・龍骨鬼が蘇ったことで地獄の封印はとかれ、魑魅魍魎があふれ出したなか、月氏一族の第27代目当主に当たる勇士が地獄へと潜る……という、KONAMIのアクションゲーム続編ではおなじみの「ご先祖様が封印したけどまた蘇ったので、魔物ハンター一族の子孫が退治しに行く」系です。過去のシリーズを知らなくとも、予備知識ゼロから遊び始めて何の差し支えもないのもまた同じです。

月風魔伝

ジャンル名は「ローグヴァニア2Dアクション」。ローグとは死に戻り、ゲームオーバーになって道中で拾った強い武器は没収されるが一定のリソースは引き継がれ、新アイテムや武器、能力をアンロックして自機の強さを底上げしていくゲーム一般のこと。それとヴァニア=キャッスルヴァニア(『悪魔城ドラキュラ』の海外名)のように広大な迷宮をしらみつぶししてゴールや最終ボスをめざす要素を掛け合わせている、というわけです。

「死に戻り」の繰り返しが楽しいリブート作品

月風魔伝

さて本作で気になる点は2つ。『月風魔伝』を名乗る意味があるかということと、ローグヴァニアとしての完成度はどうかということです。十数時間ほどプレイした手応えとしては「どちらも満点」です。ゲームの世界観やビジュアル、敵との駆け引きなどあらゆる面において『月風魔伝』に間違いなく、死に戻りを繰り返すローグヴァニアとしては楽しみがすり減ることなく、ずっと飽きずにデスループを味わえます。

しかし2つの要素は高いレベルで融合しているため、どちらとも別ものとも言えます。一般的なローグヴァニアを期待していると裏切られるところがあり、原作『月風魔伝』のファミコン的な懐かしさにも囚われていない。ジャンルはGetsuFumaDenとしか言いようがないのですが、新たな面白さの開拓には成功していると思います。

手触りが良く飽きの来ないアクション

月風魔伝

さて、実際のプレイ。主人公の27代目・月風魔は2つの武器を使い分けられ、2つの副装備は強力だが再使用までに一定時間かかるクールタイム設定あり。高いところから急降下して敵を踏みつけられ、転がって攻撃を回避もできる。また空中で2段ジャンプもでき、段差に少しでも引っかかれば登ってくれる……ローグヴァニアの代表作『デッドセルズ』をやり込んだ人なら、操作のコツがすぐに飲み込めるはず。

月風魔や敵キャラは3Dモデルを平面的にみせたドット絵風で、ファミコン版の雰囲気を受け継ぎながらも、まるで江戸時代の妖怪絵巻物から抜け出てきたかのよう。背景も精緻に描き込まれ、鬼もガイコツも和風テイストあふれており、静止画にしてやれば一幅の日本画家と見まがうほどの凝りよう。しかも息づくように滑らかに動き、KONAMIのドット絵職人芸は今なお死なず(か、その魂を受け継いだドッターがどこかにおられた)ですよ。

1ステージ毎のマップは広大ですが、あちこちにワープゲート(鳥居)が用意されているためストレスはなし。またミニマップが常時表示されており、チェックし忘れのエリアも確認しやすく、またザコ敵の配置がザックリと表示されるため、高所から飛び降りて奇襲をかける、遠隔武器を用意して画面外から削っていくこともできたりします。

月風魔伝

ローグヴァニアの肝とも言える宝箱から得られる武器はバラツキが激しく、刃こぼれした日本刀や両手持ちの小刀からこん棒やメリケンサック的な篭手にいたるまで色々とあり、同じ武器でも威力が大きなものから小さなものまで当たり外れあり。ただし、どれでも戦えないほどヒドくはなく、威力の弱さを立ち回りや手数でカバーしようがあります。

月風魔伝

また、毎回ランダムに道中のパーツや敵の配置が変るものの、大まかには「同じステージの繰り返し」のため、アクションがつまらなくては飽きが来るのも早いはず。この点、本作は申し分なくて、刀であればザクザク斬りつけ、こん棒ならばタメの後のぶん殴る手応えが爽快、篭手であれば肉を殴ってる感触があり、しかも敵が斬りかかる瞬間に前転して後ろに回ってからメッタ切りにする駆け引きも何回やっても楽しい。昼からプレイし始めて、気づけば外が暗くなっていたことも数回あったハマり方でした。

ローグヴァニアとファミコンRPGの融合

月風魔伝

しかしローグヴァニアのお作法に慣れている人ほど、違和感はしだいに膨らんでくるはず。まず道中に回復手段がほとんどなく、最初に持って行った回復薬を使い切ってしまえば後はジリ貧。このジャンルでダメージ管理は基本とは言え、ステージ1のボスを倒して消耗しきった状態で回復もなく次の面が始まったときはええーっ!と声を上げてしまいました。

またゲームオーバー時に「失うもの」が大きすぎるという印象。プレイヤーの基礎能力を強化する「秘伝」関連のリソースは死んでも持ち帰れるものの、武器の種類を増やしたりスキル開放に必要な素材は死んでしまうとすべて(特殊スキルを持たない初期状態では)没収されてしまいます。これはステージクリア毎の野営で「その場でスキル強化に消費する」である程度は防げますが、それに気づくまでは失いっぱなしで、なかなか強化が進まないゲームだな……と思っていたという。

そしてステージボスに対して、被弾覚悟のゴリ押しが通用しにくい。別に悪いことではなく、独特のムーブや攻撃をしてきて、そのパターンを読み切ることも攻略の内という「ザッツ・アクションゲーム」といえる凝った作り。

ただ、一般のアクションと違いその場コンティニューができないため、再挑戦するまでには長い道中をダメージ管理しながらやり直し、再び対面した頃にはボスのパターンを忘れていたり、再戦を繰り返すなかで体に染みつかせることをやれず、異常に厳しく感じるわけです。

今のところの最適解は、最初のステージボス龍骨鬼(ファミコン版からのゴージャスな転生ぶり!)をサクッと倒して素材を回収してから拠点に引き返して地道に素材を貯めていく。特に解放できる武器の種類が増やせる設計図を拾ったときは、間違っても先に進んではいけない。

月風魔伝

そうやって武器を強化しつつ、主人公のスキルは真っ先に回復薬の数を増やしていき、余裕があれば攻撃力もアップ。なにしろ武器のカテゴリごとに必要な強化素材がけっこう違うため、武器を育てるのに何回もステージ1マラソンを繰り返すことが求められて根気強く持久戦していくのがベストという感じです。

道中で拾える武器など「引き」によっては初見で最終面に突き進めることもある一般のローグヴァニアと違い、本作は地道に主人公や武器を同じステージのマラソンで強化していくことが必須。つまりローグヴァニアの土台の上に日本的なアクションRPG文法を載せており、他の先行作品のように「運しだいでどうにかなる」ことは全くないと言っていい。攻撃を喰らわずに攻撃を当て続けることでステージ攻略中に強化できる「鬼人化」システムはあるものの、条件がキツいため使いこなせる人は稀でしょう。

では面白くないかといえばそうではなく、主人公の屍の山を積み上げて足場にすればいつかは壁を越えられるJRPG的な「下手なプレイヤーでも努力はいつか報われる」プラス、屍を積み上げるのが苦にならない手触りのいいアクションの取り合わせは、好みに合う人はガッチリと合うはず。

最初のステージから構成が素晴らしく、はるか遠景に見えていた骨の怪物が、実は後に出会うステージボスだった……というグラフィカルな演出もあり。ローグヴァニアの体にファミコンRPGの魂が宿った、正当な意味での「月風魔伝」続編だと思うのです。

GetsuFumaDen: Undying Moon 公式サイト - KONAMI

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