そろそろ2020年も終盤戦。今年もたくさんのガジェットが発表され、弊誌にてレビュー記事が掲載されました。そんな記事のなかでも、著者や編集部がイチオシと考える製品をピックアップしてもう一度お届け致します。
これは2020年8月8日に掲載された記事の再掲載です。記事中に登場する価格や機能、画像などは当時のもので、現在は異なる可能性があります。
なんだか今年は島ばかりウロウロしています。まず『あつまれ どうぶつの森』の無人島。いいところです。そして今回ご紹介するPS4用ソフト『ゴースト・オブ・ツシマ』の“対馬”。ここもいいところ~!毎日気持ちよく走りまわって蒙古軍を斬ってます。大変素晴らしいオープンワールドお侍ゲームです。
『ゴースト・オブ・ツシマ』で遊んでいる人同士で話すとニヤニヤしてくるんですよ。自然の美しさと、そこで生きる人々が面白くって。この記事ではその辺の魅力をお伝えします。
そもそも対馬ってどこだ
本作の舞台“対馬”は九州の玄界灘に浮かぶ自然もりもりの島です。現在の所属は長崎県。鎌倉時代にモンゴル帝国が攻めてきたことでも知られています。いわゆる“元寇”ですね。で、地図で見ると「あっ!」と思うくらい、よその国に近いんです。試しにGoogleマップで見てください。こりゃ元寇待った無しだなと感じるはず。
『ゴースト・オブ・ツシマ』はこの元寇のお話をベースにしています。そして対馬の景色をひたすら美しく描いているんです。風光明媚すぎてボーッとしてしまうし、実際の対馬に行ってみたーいと思わせる凄みを感じます。風すら美しいゲームです。
もうね、愛馬で草原を突っ走る気持ち良さ! 長距離移動も全く苦にならない。これ、オープンワールドで大切な要素なんですよね。
この美しい世界にふさわしいのはどんな人物なんでしょう?さぞや清廉な……じゃ、ないんです。クズ列伝。予想の斜め上をいく人物ばかりです。
できれば正々堂々と戦いたい男・“境井 仁”
本作の主人公“境井 仁”は、対馬にある境井家の若き当主。蒙古軍に囚われた伯父の“志村”を救い、対馬を奪還するために日夜戦っています。ときどきお顔が香川照之に見える。プライベートでは尺八プレイヤーでもあり、美しい景色を前に和歌を詠むことも。文武両道な侍ですね。
私はこの男の内面が非常に好きです。つねに「武士である自分」と「汚い手を使って戦う自分」とのあいだで引き裂かれています。(本作の何が“ゴースト”なのかというと、境井が抱えるダークさを指していると感じます)
たとえば、蒙古軍に対してプレイヤーは任意で“一騎討ち”を申し出て正々堂々と戦います。そのときの境井の決め台詞は「そちらの精鋭を出せ!」です。わかります?「そちら」ですよ?さすが武家のご当主だなーと思わせる丁寧な口調。つまりザ・武士なんです。(一騎討ちに応じる蒙古もナイス)
が、本作では忍者プレイ的なステルス戦も必要になります。敵陣にコソコソ潜入し、蒙古兵の背後に忍び寄り首を掻っ切る……やってるこっちは超楽しいですよ、ずっと闇討ちやってたい。でもね、境井は楽しくないんです。むしろ超イヤ。だって誉れ高き武士ですから。
「俺は武士。だが正攻法だけでは勝てない」ことに悩む境井の姿をぜひご覧ください。戦闘については、アクションゲームに慣れている人は「ちょっと物足りない」と思うかもしれませんが、先日アップデートされた難易度「万死」なら満足できるかも。
ちなみに対馬には秘湯がたくさんあります。境井はお風呂好き。
油断すると秘湯巡りゲームと化して本筋がちっとも進まない。『デス・ストランディング』でも同じことをやりました。オープンワールドゲームあるあるですね。
歯ごたえ最強な対馬の女たち
本作の「女性キャラ」のことは一生忘れないでしょう。最高ですよ。「カワイイ」から最も遠い存在で、ひたすら血の気が多く、発言にエッジが効きまくり。容姿もなんだかゴツいし日焼けしまくり。(戦場で色白な瓜実顔の姫がウロウロしてるわけないんですよね)
たとえば境井の命を救ってくれた“ゆな”。盗賊です。弟思いのお姉さんですが職業柄か口調がマジで荒く、喧嘩腰っていうか常時反抗的。ちっとも恩人キャラじゃない。
で、ゆなは盗賊だし「まあしょうがないかな?」って思ってたんですが、武家出身者も大変キツい。復讐に燃える女武将・“政子殿”は、気の毒な身の上ながら扱いづらさ最強。破天荒な政子殿の蛮行にプレイヤーも境井もドン引きしますので、ぜひ政子殿のイベントはクリアしましょう。
そして問題ありなのは女だけにあらず。境井が「石川先生」と慕う老練な弓の名手“石川”も難がありすぎ。最初は私も「先生教えてくださ~い!」くらいのつもりで近寄っていたのに、ストーリーが進むにつれ「マジでこの爺さんを手伝うんじゃなかった」とイラついてます。恨みを買いやすい体質の老人。
物語もキャラクターも非常に面白いんですが、正直誰とも友達になりたくないですし、職場にいたら絶対に部署異動の希望を出します。
心を癒してくれるのは自然と動物だけ
境井はそんな危なっかしい彼らの協力を取り付けつつ、蒙古に立ち向かいます。もう、心身ともにヘトヘトですよ。助けた百姓に騙されたり。お侍って楽しいけど辛いなーって思います。黒澤明の世界そのまんま。でもね、たまに出合う動物が癒してくれるんです。
でも、クマにだけはご注意を。蒙古より強い。もし蒙古軍とクマのガチンコ対決に出くわしたら、そっと遠くから見守ることをオススメします。武士らしさゼロな行為なのでひょっとしたら境井は不本意かもしれませんが。
ということで、ぜひツシマの世界を旅してください!いろんな奴らに出会えますよ!
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