Raymond Boyd via Getty Images
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米ゼネラル・モーターズ(GM)とマサチューセッツ工科大学(MIT)のスピンオフ企業SolidEnergy Systems(SES)が、現在のリチウムイオン電池の約2倍の容量を持つ、次世代「Ultium」バッテリーを試作する契約の締結を発表しました。両社は2023年までにこのバッテリーの大容量版を試作するための製造ラインを持つ拠点を建設する予定で、将来的に製品化に成功すれば、電気自動車に搭載できるバッテリー容量が増え、航続距離も大幅に延びるかもしれません。

UltiumバッテリーはGMが開発するリチウム金属電池のことで、リチウム金属電池は負極の材料に炭素ではなく金属リチウム材料を用いることで、より軽量かつ高出力が得られるのが特徴です。しかし、リチウム金属電池は充放電を繰り返すことで棘状のリチウム金属が析出し、セパレーターを突き破って正極と短絡を起こして発火するなどの問題を引き起こすなど、いくつかの致命的欠点が古くから知られ、ながらく実用化されることがありませんでした。

SESはこの問題に対して、デンドライトの析出を抑えるとともに、低抵抗で不燃性の液体電解質を使用して対応する技術を開発、さらに従来のリチウム金属電池80℃まで温度を上げた状態でないと機能しないところを、常温で動作可能にするよう電極の材質に工夫を加えました。そしてこれらを高度に制御するためのAIを搭載したバッテリー管理ソフトウェアを開発し、従来のリチウムイオン電池の半分の大きさで同等の容量を持たせることを可能としました。

GMは、2015年にSESに出資し、以来「緊密な協力関係」を築いてきたとしています。またGM自身も、独自の研究でも49件のリチウム金属電池に関する特許を取得しており、さらに45件を出願中。昨年発表した独自のリチウム金属電池セルについても、今回の発表では初期の試作品が15万マイルのシミュレーションテストを完了したことが公表されています。

GMのマーク・ロイス社長は「次世代のUltiumバッテリー技術によって自動車用バッテリーはエネルギー密度とコスト両面で、これまでにない進歩を遂げようとしていることを確信している」「この分野はまだ改善の余地があり、我々はどこよりも早く技術革新をしていく」としました。

GMは今年後半から第1世代のUltiumバッテリーおよびUltiumモーター技術を搭載する電気自動車Cruise Originを発売し、その後キャデラックや、ピックアップトラックに変貌したハマーといった他ブランドの電気自動車が続く予定。今回の発表で試作段階に進む第2世代のUltiumバッテリーが登場するのは数年先になるはずです。

Source:Reuters