Google
Sean Gallup via Getty Images

Googleは昨年(2020年)8月、香港の国家安全維持法への対応として、香港当局からのデータ要求提出に対して直接対応しない、外交的手続きが必要になると発表していました

しかしGoogleが2020年7~12月に香港当局から受けた43件のユーザー情報開示請求に対して、3件につき「一部のデータ」を提供したことが明らかとなりました。これによりGoogleは、昨年7月に国家安全維持法が施行されて以来、香港当局のユーザーデータ要請に応じた初の米ハイテク大手となりました。

香港の新興メディア「香港フリープレス」によると、Googleは3件のうち1つは人命に関わる緊急事態のため、残り2つは人身売買に関するものであり、いずれもユーザーのコンテンツデータは含まれていないと回答したとのことです。

それに加えてGoogleは、3件のどれもが米国司法省との刑事共助条約(MLAT/国家間で刑事捜査などの情報を収集・交換するための条約)を通じたものでないと認めています。こうした対応は、上記の「外交的な手続き」を通さなかったことを意味しており、公約を覆したかっこうです。

さらにGoogleは、人身売買関連の開示請求は国家安全保障とは関係がなく、署名された捜査令状や要請に関する同社の世界的な方針に裏付けられたものだと強調しています。つまり「ほんの一握りで条件つきであれ、公約に例外に設けた」ことを認めたと言えます。

今回の対応は、全くの予想外というわけではありません。もしもMLATにより米国司法省が絡む手続きをしていたなら数週間から数か月もかかる可能性があり、人命に関わる緊急事態だが国家安全保障とは無関係な案件を処理することは現実的ではないでしょう。

とはいえ、香港当局が民主派の活動家や反政府的な動きを厳しく取り締まっているなかで、ユーザーデータの開示請求が本当に人命に関わる緊急事態のためか、保証はどこにもありません。米ハイテク大手とはいえ民間企業が当局への回答を先延ばしできたとしても、要求を完全に拒否することは困難と思われます。

が、もしも妥協を重ねれば米国内からの批判も高まると予想されるため、いずれ米中の板挟みとなって「香港から離脱するかどうか」の決断を迫られるのかもしれません。

 

Source:HONG KONG FREE PRESS