Jade Raymond, head of Google's Stadia Games and Entertainment, speaks on stage during a keynote address at the Game Developers Conference in San Francisco, California, U.S., March 19, 2019. REUTERS/Stephen Lam
Stephen Lam / reuters

Google がクラウドゲームサービス Stadia 向けゲームを開発する自社スタジオ Stadia Games & Entertainment (SG&E)の閉鎖を発表しました。

GoogleでStadiaを指揮するフィル・ハリソン氏によれば、理由は自社ゲーム開発に必要となるリソースを外部のゲーム開発者やパブリッシャー対応に向け、プラットフォームの強化に注力するため。

Googleでゲーム事業担当バイスプレジデント兼SG&Eスタジオヘッドを務めていた Jade Raymond氏 (元Ubi、初期アサシンクリード等で有名)は退社する一方、スタッフの大半は新しい役割に転換される見込みとしています。

『God of War』開発者がGoogleに移籍。Stadia独占ゲーム制作の新スタジオ設立(2020年3月)

Google はStadia の発表以来、大手パブリッシャーの大作を含む人気ゲームがゲーミングPCなしで遊べる手軽さとともに、クラウドの特性を活かした Stadia でしか遊べない独自ゲームの可能性についても壮大なビジョンを語り、実際に複数のスタジオを買収・新設していました。

語られたクラウドネイティブなゲームの可能性は、データセンタそのものが巨大な共有ゲーム機になることによる桁違いの演算能力や記憶域に加え、プレーヤーごとのローカルでゲームを動かしネットごしに同期する従来のネットゲームとは異なり、プレーヤー間の通信遅延がほぼゼロの同一サーバ上で動く新しい大人数オンラインゲーム、PCゲームにつきもののチート排除(プレーヤーの手元でゲームプログラムは動かない)、YouTubeの動画配信やSNSから1タップで同じゲームに参加できる Crowd Playなど。

しかしフィル・ハリソン氏によれば「最高級のゲームをゼロから開発するには何年もの期間と大きな投資が必要で、費用は指数関数的に増えている」。すでに多くのゲームで実証されたStadiaプラットフォームの技術を改良し、パブリッシャーやデベロッパーとのパートナーシップ強化に集中するうえで、内製スタジオによる独占コンテンツ開発への投資を中止すると決断したとのこと。

さて、外野からすると驚くほどの見切りの早さは、臨機応変な経営判断や失敗から学ぶサイクルの早さという意味では Googleの強さの源泉ともいえますが、ユーザーにとってはいつ「教訓」だけ吸い上げられて遺棄されるか分からない不安にもなります。

それでもゲーマーは初期費用の低さもあり軽く利用してくれるかもしれませんが、ゲームラインナップを支えるパブリッシャーやデベロッパーにとっては、Stadiaリリースにコストをかけたところであっさりサービス終了されては堪らないと、参入に二の足を踏んでも不思議はありません。

Googleとしてはできるだけ多くのサードパーティーに参入してもらいラインナップを拡大したいところですが、自社製の独占タイトルはプレーヤーを引き寄せる大きな魅力になり得る一方、サードパーティーとっては「民業圧迫」的なライバルでもあります。

今年はStadiaプラットフォームにとって、iOSを含むさらに多くのデバイスへの拡大や、段階的に広げていた提供地域の本格的な拡大、そして最大の武器であるはずが進んでいなかった YouTube 統合など、さらに大きく飛躍を目指す重要なタイミングです。

クラウドネイティブな独占ソフトがまだ影も形もなく、プレーヤーを集める効果がいつになるか分からないこと、そして今年はマイクロソフトの xCloud や Amazon のLuna、NVIDIA GeForce Nowなどとの熾烈な競争が待つことを考えれば、サードパーティー支援やプラットフォーム機能の改善に全力を振り向け参入を促すほうが大事との発想は理解できます。

Focusing on Stadia’s future as a platform, and winding down SG&E