「GPD WIN 3」はゲーム機に完全に軸足を置いたUMPC。「VAIO type U」を彷彿とさせるスライダー機構を採用しており、ゲームは「Nintendo Switch」ライクなポジションでプレイでき、テキスト入力する際にはディスプレイをスライドすることでキーボードを利用できるという仕様です。本製品はIndiegogoの支援者に対して2021年7月にバックが開始される予定で、現時点では日本での販売時期や価格は決まっていませんが、今回リンクスインターナショナルより実機を借用したので、レビューをお届けいたします。

■ゲーミングUMPCならではのカリッカリ仕様

GPD WIN 3はOSに「Windows 10 Home 64bit」、CPUに第11世代(Tiger Lake)の「Core-i5 1135G7」または「Core i7-1165G7」を採用。メモリーは16GB(LPDDR4x-4266)、ストレージは1TB(PCIe接続)を搭載しています。

ディスプレイは5.5インチ液晶(1280×720ドット、268ppi、16:9、60Hz、タッチ対応)を搭載。表面はCorning Gorilla Glass 5でカバーされています。

通信機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.0をサポート。有線LAN(RJ-45)はオプションのドッキングステーション側に用意されています。

インターフェイスはThunderbolt 4×1、USB Type-A×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmイヤフォン端子とややシンプルな構成。ドッキングステーションを前提にした端末なのかもしれませんが、HDMI端子を搭載してほしかったところです。

VAIO type Uを彷彿とさせるとお伝えしましたが、GPD WIN 3のキーボードはタッチ式。バイブレーションによるフィードバックはありますが、物理ボタンのような明確なクリック感はありません。また個人的にはキーボードタイピング時のバイブレーションはちょっと弱く感じました。バイブの強さを調整できるといいですね。

ゲームコントローラーは、左右Joystick、D-Pad key、ABXY key、R1/R2/L1/L2キー、左右Custom key、Select key、Start key、Xbox keyという構成です。また、本体右下には指紋認証センサーが搭載されています。キーボードをスライドさせなくてもWindowsにログインできるわけです。

本体サイズは198×92×27mm、重量は560g。45.62Whのバッテリーが内蔵されており、ヘビーユースで3時間、標準的な使い方で6~8時間、ライトユースで14時間、単体で動作すると謳われています。

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▲本体前面

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▲ディスプレイのsRGBカバー率は実測93.8%

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▲本体背面。薄型ノートPC向けCPUをUMPCサイズに搭載しているだけに、放熱口は実測95×35mmと大きめです

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▲本体上面と本体下面。本体上面にUSB Type-A、3.5mmイヤフォン端子、本体下面にThunderbolt 4が配置されています

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▲本体右側面と本体左側面。本体左側面にはmicroSDメモリーカードスロット、コントローラーのモード切り替えスイッチ(マウスモード、ゲームコントローラーモード)を用意

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▲本体の実測重量は552.5g

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▲同梱品は本体、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、説明書とシンプルな構成です

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▲ACアダプターの型番は「YJC065A」。仕様は入力100-240V~2.0A、出力5V 3A、9V 3A、12V 3A、15V 3A、20V 3.25A、容量65W

■タッチ式キーボードはSteamのパスワードを入力するためのもの

入力デバイスの使い勝手からレビューします。まず、タッチ式キーボードですが個人的には文章入力のためではなく、Steamのパスワードを入力するためのものと割り切ったほうがいいと感じました。最大の理由は意外に大きなボディーサイズです。

VAIO type Uのサイズは150.2×95×32.2~38.2mmでしたが、GPD WIN 3は198×92×27mmと横幅がかなり広いです。そのためGPD WIN 3を自然に握った状態では、親指が真ん中近辺のキーに届きません。すべてのキーを持ち替えずに親指で押すためには、人差し指の第1関節と第2関節の間でホールドする必要があります。これでは不安定ですし、疲れやすいです。

ディスプレイサイズがVAIO Type-Uは4.5型(1024×600ドット)だったのに対して、GPD WIN 3は5.5型(1280×720ドット)と大型化されており、またゲームコントローラーを装備しているので、横幅が47.8mm大きいのは仕方ありません。GPD WIN 3で長文入力する際にはBluetoothキーボードを別途用意することをオススメします。

ゲームコントローラーの使い勝手に関しては……保留とさせてください。今回の試作機はゲームコントローラーがOSに認識されておらず、試せませんでした。ただハードウェアとしてのフィーリング自体は悪くはなかったです。ゲームコントローラーの使い勝手に関しては、製品版を借用できたタイミングで改めてレビューしたいと思います。

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▲キーボードは英語仕様。配列自体は素直です

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▲ディスプレイのスライド機構は剛性が高そうです

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▲GPD WIN 3を自然に握ると、筆者の大きな手でも、キーボード中央に親指が届きません

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▲ボディーを持ち替えずにすべてのキーを押すためには、第1関節と第2関節の間でホールドする必要があります

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▲ディスプレイをスライドさせたり、キー入力するとキーボードバックライトが自動的に点灯します

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▲ジョイスティックなどゲームコントローラーのハードウェア的なフィーリングは良好でした

■ゲーミングUMPCとして現時点で最高性能を発揮

最後にゲーミングUMPCとしてのパフォーマンスをチェックしてみましょう。今回はCPUベンチマーク「CINEBENCH R23.200」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒の反逆者 ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.1」を実施しました。

なお比較対象機種としては第11世代(Tiger Lake)の「Core i7-1160G7」を搭載する「OneGx1 Pro」のスコアを過去記事から引用しています。両機種ともBIOSからパフォーマンスを変更でき、GPD WIN 3は「Configurable TDP Boot Mode」を「Up」に、OneGx1 Proは「Power Limit 1」を「20000」に設定して、ベンチマークを実施しています。

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▲GPD WIN 3は「Configurable TDP Boot Mode」を「Nominal」、「Down」、「Up」、「Deactivate」に設定可能です

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GPD WIN 3はOneGx1 Proの「Core i7-1160G7」より上位のCPU「Core i7-1165G7」を採用しているだけに、「CINEBENCH R23.200」のCPU(Multi Core)で約1.15倍の「5244」というスコアを記録しています。一方、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」では約1.02倍の「2190」に留まりました。ゲーミングUMPCとしては両機種とも高い性能を発揮しているので、どちらを購入するかは処理性能以外の要素で決めるべきでしょう。

バッテリー駆動時間については、両機種ともデフォルトのBIOS設定で計測しましたが、ディスプレイ輝度40%でバッテリー残量5%までという条件でバッテリーベンチマーク「BBench」を実行したところ、GPD WIN 3は8時間8分13秒、OneGx1 Proは6時間41分7秒という結果になりました。もちろん高負荷な3Dゲームをプレイすればバッテリー駆動時間は大幅に短くなりますが、GPD WIN 3は標準的な使い方で6~8時間というスペック通りの性能を備えていることは間違いなさそうです。

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▲「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」実行中の前面の最大温度は44.5℃(室温27.4℃で測定)

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▲「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」実行中の背面の最大温度は51.7℃

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▲「CINEBENCH R23.200」実行中のCPU温度とクロック周波数の推移(室温27.5℃で測定)。最大CPU温度は76℃、最大クロック周波数は3124.4MHz

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■形はVAIO type Uに似ているが使い勝手はまったく違う

GPD WIN 3とVAIO type Uのデザインは非常に似ていますが、使い勝手はまったく異なるというのが率直な感想です。VAIO type Uはキーボードを出した状態、GPD WIN 3はキーボードを隠した状態で使うUMPCなのだと思います。キーボードはあくまでもオマケな、ゲーム特化型UMPCとしては、現時点で最上の一台と言えます。

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▲コントローラーの真横にディスプレイが位置するGPD WIN 3は、Nintendo Switchと同じ感覚でどこでもPCゲームをプレイできるUMPCなのです