GPDWINMAX

「Steam界のスイッチを目指す」潔い割りきり

この9月末にゲームパッド標準装備のUMPCこと「GPD Win Max」が手元に届いてから、はや1か月半。本当は中華系ショッピングサイトでもっと早く入手できる方法はあったものの、元祖に当たる初代GPD Winを個人輸入したところ、細かい不具合を修理するやり取りもエラい手間がかかったので、今回は日本の正規代理店(デントオンラインショップ)一拓でした。

税込で10万円というお安くないデバイスを迷わず購入したのは、「Steamの積みゲー消化」というハッキリした目的があったため。そう重いタイトルやAAAゲームでもなければノートPCでも遊べるとはいえ、仕事用PCに向かっている時間は仕事に集中したいという動機がひとつ。でも、別に据え置きのゲーミングPCを置くには部屋の広さがすでにパンパン……という哀しい理由がひとつ。

それから1日も触らなかった日はなかった約1か月が瞬く間に過ぎました。もう立派に期待通りのお役目は果たしてくれた、何一つ文句の付けようがない、以上!ということでレビューにピリオドを打ちたいところ。

そんなわけにも行かないが、何しろこのGPD Win Maxはコンセプトが尖っているとともに、「何をやりたいか」がカチッと視野に収められて開発されたと思しきデバイス。画面サイズが8インチで解像度は1280×720、それに対してNintendo Switchは6.2インチで(Switchライトは5.5インチ)で1280×720。つまり「スイッチのようにSteamゲームを遊ぶためのハード」という目的が浮かび上がってくるのです。

GPD WIN MAX(Amazon)

GPDWINMAX
Engadget Japan

さらにCPUは第10世代のCore i5-1035G7でRAMは16GBとスイッチを楽々と越えるポテンシャルを持ち、家庭用ゲームよりも表現規制はゆるやか(カテゴリにもよるが)で、本家スイッチではスペック的に移植が苦しいタイトルでも難なく動きます。

GPDWINMAX
Engadget Japan

おそらく1280×720と内蔵ディスプレイ解像度を控えめにしてるのも、CPUに統合された内蔵GPUでは重くなりそうな解像度のオプションを足切りするためと推測されます。たとえば格闘技で上の階級に行くと強敵が多いから、あえて減量してトップを取れる土俵を選んだ感さえあるのです。実際、手持ちのSteamライブラリを一通り試してみた限り、「重い」「苦しい」「つらい」は一切なし。

最大の注目点のひとつである内蔵ゲームパッドも、本家Xbox Oneコントローラーの操作感覚とザックリ同じ。初代GPD Winから完成度は高かったとはいえ、初めて触ったとき「こちらから寄りそい、感覚を調整しに行く」手間がみじんもなく、すでにGPD社は海外のHORIと言える高みに達してるんじゃないでしょうか。

モバイル仕事マシンには不向き

ハードウェアの外形的にもう一つ目を惹くところが、歴代のGPDシリーズよりも格段に打ちやすくなったキーボード。画面がGPD WINやWIN2よりも大型化したのに比例してキーのサイズも間隔も余裕を持たされてタッチタイプも可能となりました……どうにかこうにか、というレベルで。

GPDWINMAX
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ペチペチと打鍵感の浅さは目をつぶるとして、キーの配置が英語キーボードとしても変則的すぎ。「慣れればいい」という考え方もあるものの、それならば他にモバイル仕事に持って行くノートPCの代わりはすでに手元にある。特にお金持ちでなくとも、ある程度PCユーザー歴が長い人なら「だったらコレ使います」という指に馴染んだマシンがたいていあるはず。

それを補おうとして外付けキーボードを付けると、今度は本デバイスの「手軽に持ち歩けるハイスペック」の良さが殺されてしまいます。大画面モバイルディスプレイの後付けもしかりで、約800gという本体重量は単体なら持ち運びの許容範囲内ながら、「何かを足す」とモバイルの前提がガラガラと崩れていくバランスの上に成り立っているのです。

ただ、以前のGPD WINシリーズでは少しつらかった「ユーザー名やパスワードを入力」はとても快適になったし、小さいとは言えトラックパッドが付いたおかげでファイル操作程度のオペレーションは断然やりやすくなりました。まだ試してませんがチャット程度なら苦もなくこなせそうですし、ゲーミングPCにとって「いつも使わないが、たまに使うのであった方がいい要素」も入れたオールインワンと捉えれば、このキーボードにも満点は付けられると思います。

「Steam専用スイッチ」にするための必須アクセサリー

[各種ポート端子保護カバー]

GPD
Engadget Japan

ポータブルゲームマシンにとっては、多少の厳しい環境にも耐えうる堅牢性が命。しかしGPD WIN MAXは困ったことに(?)拡張性が高く、USBやLAN、HDMI端子など外部ポートがとても多くてホコリには弱そうな印象があります。

そこでホコリが積もる前に、ポート類を必要最小限を残してカバーして置くにかぎります。その点monofiveの各種保護カバー10個入りはありとあらゆる物理的セキュリティホールをふさげて安心のきわみ。これら端子のコストも本体価格に乗っかっているわけですが、いつの日か活躍の機会が来るまでおやすみなさい。

[ノートパソコン用スタンド]

GPDWINMAX
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ふつうノートPC用のスタンドは画面に角度を付けて見やすくしたり、キーボードを打ちやすくしたり、熱を逃がして処理速度が落ちることを防ぐために付けるものです。もちろんGPD WINも重いゲームを遊ぶとファンがフル回転となるので排熱を確保するため底面を浮かせるに越したことはありませんが、今回そこに主眼はありません。

ゲームパッド内蔵のGPD WIN MAXを遊ぶときは、必然的に「本体ごとパッドを持つ」ことになります。つまり「800g近くもあるゲームパッドを持ち続ける」わけで、腕の疲れがハンパないのです。持ち手をテーブルに接地させてもいいのですが、今度は手の床ずれという哀しい事態になりかねません。

そこでマシンの底面に貼り付けるスタンドを着けてやれば、手は重さから解放されて、何時間でも楽々プレイできる。評判のよかったEC-SHIELDの製品を取り寄せてみて、小さすぎたらどうしよう……と懸念していたのもどこへやら、小指と薬指は底面に、人差し指はちょうどLRボタンにかけられ、親指は自由に動かせるザ・ベストポジションでした。

ただし手の大きさは個人差があるため「筆者の手にはぴったり」というに留めます。あと本体に直貼りタイプのため、筐体を壊さずに剥がせるかどうか全く確証はありませんが、その時はその時で考えます。

[USB指紋認証リーダー]

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「パカッと開けてすぐゲーム」できるのがGPD WIN MAXのいいところ。1秒でも早くプレイを始めたい、しかし認証抜きにしてセキュリティを疎かにしたくない。そうした悩みを一挙に解決するのが、おなじみ指紋認証リーダーです。

GPD WIN MAX背面のUSB端子に装着することになり、初めのうちは手(指)探りのもどかしさもありますが、2~3回もやれば一発でロック解除できるように。便利さと引き換えに後ろが出っ張るため、携帯用ケースには収めにくくなりますが、もともとバッテリー持ちはそう良くないので「部屋の間を持ち運べる自宅内Steamマシン」と割り切れば問題ありません。

本ハードの良さは、なにより「いつでもゲームを遊べていつでも中断できるマシン」という点にあります。仕事用とゲーミングPCを兼ねていれば「仕事とゲームの切り替え」が発生するところですが、GPD WINはゲームだけ動かしていればいいので切り替えはナシ。

しかもフタを開ければすぐにプレイ、途中で用事が入ればポーズボタンを押してからフタを閉めるだけ。まさにニンテンドー3DS感覚でSteamゲームが楽しめる、自分にとってはベストマッチなマシンなのです。

GPD WIN MAX(Amazon)