Halo Infinite

マイクロソフトの看板FPSゲームシリーズ最新作、『Halo Infinite』キャンペーンのレビューをお伝えします。

『Halo Infinite』はシリーズ本編6作めにして原点回帰を掲げた「精神的リブート」作。マップを自由に探索し作戦を立てられる半オープンワールド化や、新装備グラップルショットによる高速立体機動といった新機軸を導入しつつ、舞台はリング状の人工天体ヘイロー、物語は人類の希望として戦う主人公マスターチーフが中心の「これぞヘイロー」といえる作品に仕上がっています。

マイクロソフトのゲーミング戦略の変化を受け、リリース形態もシリーズ本編初のXbox / PC同時発売。マルチプレーヤー部分は基本無料で提供し、キャンペーンのみ有料で販売するのも新しい試みです。定額ゲームサービス Xbox Game Passに加入していれば、キャンペーンは発売日である12月8日(日本時間9日午前3時)、いわゆるDay Oneから追加費用なしでプレイ可能となっています。

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シリーズ未プレイでも楽しめる原点回帰

プレビュー版を先行プレイしたところ、(あまり高くなかった)期待を遥かに超えて楽しく、早口でここが面白い!語りをしたくなりますがぐっと抑えてまずは基本から。いまさらヘイローの振り返りなど不要!という歴戦のスパルタンは次の節まで読み飛ばしてください。

今作『Halo Infinite』は、マイクロソフトが2001年に初代Xbox向けとして発売した『Halo: Combat Evolved』から続く一人称視点シューティングゲームHaloシリーズの本編最新作。

Haloシリーズは人類がエイリアン種族連合『コヴナント』との星間戦争で絶滅の危機に瀕した26世紀を舞台に、アーマーをまとった強化兵士『スパルタン』の生き残りである主人公『マスターチーフ』と、強い絆で結ばれたサポートAI『コルタナ』の活躍を描いてきました。

Halo Infinite

初代HaloはPCゲームで先行していたFPSをコントローラ操作の家庭用ゲームとして成立させたのみならず、ゲームデザインでもストーリーテリングでもジャンルの水準を押し上げた作品として高い評価を受けています。

シリーズの従来作としては、2007年にXbox 360で発売され日本国内でも(Xboxにしては)盛り上がった『Halo 3』までがオリジナル三部作。人類とコヴナントの戦争、人工天体Haloの謎、そして銀河の危機に一応の終止符が打たれます。

次の『Halo 4』からは新たな三部作「リクレイマー・サーガ」になるはずでしたが、4もその次のXbox One作品『Halo 5: Guardians』も評価が微妙だったこともあり、今作『Halo Infinite』は物語的には5の続編ながらタイトルにナンバリングの6を振らず、『精神的なリブート』として原点回帰を目指した作品です。

ゲームプレイもストーリーも、前作・前々作で不評だった点を改め遊びやすく共感しやすくなった一方、システム的には半オープンワールドやフックを使ったスピーディーな展開など現代的な要素を導入。初代からの熱心なファンはもちろん『3』までしか、あるいは『3』しか遊んでいないかつてのXbox 360ユーザーにも、Haloシリーズを全然知らないプレーヤーにも入りやすい、モダンなFPSに生まれ変わっています。

お話は(一応)5の後、状況は初代Halo再び

本作で主人公マスターチーフが戦うのは、壊滅したエイリアン連合「コヴナント」から袂を分かった武闘派集団「バニッシュト」。コヴナントは支配階級の「預言者」が宗教的信念のもとに複数のエイリアン種族を従える集団でしたが、バニッシュトは預言者の支配に反旗を翻したブルート族を中心に構成されています。偽りの「救済」のために隷属するよりも、武力で独立を勝ち取り宇宙に覇を唱える「力こそすべて」な集団です。

Halo Infinite

Halo 4と5のストーリーを知らない、憶えていない人に配慮された今作の導入は、新たなリング状人工天体「ゼータヘイロー」の支配権を巡るバニッシュトとの戦いで人類側UNSC(国連宇宙軍)は壊滅、英雄マスターチーフもバニッシュトのリーダーとの一騎打ちに破れ行方不明となり、ゼータヘイロー上では分断されたUNSCのわずかな生き残りが絶望的な抵抗を続け半年が経過した時点。

Halo Infinite

ただ一人で逃げ隠れてきた輸送機ペリカンのパイロットが、冬眠状態で宇宙空間を漂流するマスターチーフを救助し覚醒させることで物語が始まります。

要は「エイリアンの混成集団に支配されたリング状人工天体ヘイローに降り立ち、絶望的な状況から国連宇宙軍UNSCの兵士とともに反撃を開始する」という、初代Haloと全く同じ状況です。

Halo x オープンワールドの意外な好相性

冒頭のチュートリアル的なステージは、マスターチーフの復活を察知し捕らえようとするバニッシュトの戦艦内と、はるかな昔にある目的でヘイローを建造した先史文明種族フォアランナーの遺構が舞台。

最初のボスまで十数分は操作と戦闘の基本を、特に今作から導入されたグラップルショットを使った移動・攻撃・回避を練習させる設計となっており、閉鎖空間をリニアに進行します。グラップルショット以外があまりにも「そのまま」すぎて、旧作を愛するプレーヤーならば感涙に咽ぶ一方、逆に旧態依然すぎてやる価値なしと切られてしまわないか心配になるほど。

オープンワールドになるのはその後、輸送機ペリカンに搭乗したマスターチーフと、今作の新キャラクターである新たなサポートAI「武器」、The Weaponがゼータヘイローに降り立ったときから。

Halo Infinite

(余談。定額制のXbox Game Pass は、買い切りならスルーの作品や普段は触れないゲームも手軽に試せる魅力がある一方、「せっかく買ったから」心理が働かず、3分遊んでピンと来なければ切ってしまうこともあるかと思いますが、『Halo Infinite』はせめてオープンワールドの「始まりの台地」的な部分にたどり着くまで遊んで判断しても遅くありません。さらに言えば、後述のグラップルショットを2段強化するとゲームプレイが大きく変わり楽しくなります)。

ともかく、先史文明種族フォアランナーがある目的のため遺したリング状の人工天体ゼータヘイローは何らかの強大な力で引き裂かれ、人類やバニッシュトの技術では破壊不能な物質で作られた構造体が露出した状態。センス・オブ・ワンダーにあふれた壮大なビジュアルも大きな魅力です。と同時に、超構造体で作られ分断されたヘイローは都合よく世界を区切り、徒歩や兵員輸送車でもいい感じに踏破し行き来できる箱庭感のあるオープンワールドを実現しています。(といっても狭いわけではなく段階的に行動範囲は広がり、比較的すぐに飛行型ビークルも使えます) 。

地表に点在するのは、バニッシュトがゼータヘイローの支配を目論んだ理由である謎のフォアランナー遺跡の数々、国連宇宙軍UNSCが地上に展開したもののバニッシュトに奪われた前線基地(FOB)、さまざまな機能を持つバニッシュトの拠点、分断されて抵抗を続けるUNSC分隊などなど。なかにはお笑い担当の最下層種族グラントが、UNSCを挑発しつつ敗残兵に投降を呼びかけるプロパガンダ・タワーなんてものもあります(破壊すると武勇ポイント獲得)。

Halo Infinite

人類はすでに完敗したのだから逃げるしかない、たった一人(またはパイロットとAI「武器」を入れて3人)で反撃するなど自殺行為だと主張するパイロットがマスターチーフに向けたセリフは「まさかUNSCを再建するつもりですか?ちまちまと??」。

プレーヤーたる主人公マスターチーフはまさにパイロットが述べたとおり、拠点をひとつまたひとつと襲っては奪還し、囚われた国連宇宙軍海兵隊員たちを解放して装備と戦力を拡充しつつ、バニッシュトの企みを突き止め挫くために反撃を開始します。

ゲームプレイ的には、前線基地を奪い返せば武器弾薬やビークル(乗り物)の補充・同乗し戦ってくれる各兵種の海兵隊員の動員が可能になり、超高速移動(いわゆるファストトラベル)もできる仕組み。ファストトラベルはマップ上の任意地点から、コストなしで実行可能。

Halo Infinite

ある種のゲームならば、解放した兵員の育成や配置、武器やビークル生産に必要な技術ツリーの選択等々リソース管理要素にもつながりそうな展開で、むしろそうした部分を売りにする作品もよくありますが、Halo Infinite では敢えてそうした複雑な要素を導入せずバッサリ簡略化しています。

たとえば生産できる武器や動員できる兵種・ビークルは、メイン / サイドミッションのクリアなど通常のゲーム進行で獲得できる「武勇」(Valor)ポイントの累積で一本道に開放されてゆき、コストなしでいくらでも利用できる仕組みです。どの装備やビークルを優先して開放すれば有利なのか、何にポイントを消費すべきか予備知識のないまま不可逆な選択を強いられたり、攻略サイトを下調べする手間さえありません。

Halo Infinite
手前が戦車スコーピオン。パイロットに要請すると「一体何を始めるつもりですか??」と若干怯えつつ落としてくれる。

従来のHalo作品でも多彩な武器やビークル、AIが操作する味方といった要素はあり、好みの装備でステージを攻略する楽しみがありましたが、何が利用できるかはステージのデザインによって固定でした。

Halo Infiniteでは前線基地を奪還し武勇を轟かせることで、二人乗りの軽量な兵員輸送車マングースから、分隊が乗り込める大型戦車スコーピオンまで、武器はロケットランチャーやスナイパーライフル、エイリアン技術武器エナジーソードの鹵獲コピーまで自由に選んで装備可能。海兵隊員も重火器や狙撃銃を扱える兵種が動員できるようになります。

マップ上では、バニッシュトに占領されたゼータヘイローがプレーヤー=チーフの一人戦争で少しずつ人類の勢力圏に塗り替えられてゆく戦略ゲームの視点を演出しつつ、前線基地や「武勇」の蓄積は実質的にマスターチーフのロードアウトやビークルの選択肢を増やし、メインの戦闘部分の幅を広げる役割を果たします。

Halo Infinite

マップに存在するさまざまな拠点・目標は、従来のヘイローのステージに攻略の自由度を加えたプレイ感覚。なかでも楽しいのは、バニッシュト軍でも特筆すべき強敵を示す「重要標的」(ハイバリューターゲット)。それぞれにどんな戦歴を持ち、いかに恐れられているか等々の武勇伝が用意されており、つまりはオープンワールドゲームではありがちなネームドエネミー討伐サイドミッションです。

面白いのはそれぞれが独自にカスタマイズしたネームド武器を使用しており、倒すことで前線基地で補充していつでも使えるようになること(サポートAIの「武器」が分析してコピーする設定)。

たとえばゼータヘイロー降下地点からほど近い場所にいるエリート族『オクロ・ヴァガドゥーン』はエナジーソードを使った剣術に優れ剣闘長を務めたこともある歴戦の兵で、倒せば『デュエリスト・エナジーソード』が生産可能になるといった具合。

メイン / サイドミッションをクリアして武勇を高め、ネームドミニボスを倒して装備を増やすことで、ゲームのメインは従来シリーズと同じFPS戦闘の繰り返しでありながら、ロングレンジ一撃必殺武器を揃えて高所から暗殺を狙うのか、チェインガン搭載型ワートホグにガンナーを乗せてド正面からカチコミをかけるのか等々、自由に選んで試せるのはなんとも言えない楽しみです。

(特にエナジーソードは、エリート族で同じエナジーソードを使ってくるボスとの戦闘に持ってゆき、お互いに抜いてデュエルを演出すると無闇にテンションが上がります)

オープンワールド探索やサイドミッションとの出会いの楽しさを導入しつつ、メインのゲーム進行は比較的リニアに、物語の展開にそって目的地にたどり着くことで進行します。メインストーリーについては、途中を飛ばして無理やり最終ボスにたどり着いて暗殺できるタイプのオープンワールドではありません。(RTA的な研究が進めばどうなるか分かりませんが)。

いまさら、でも爽快なグラップルショット

Halo Infiniteの具体的な情報が公開され始めた際、いわゆるグラップリングフックの『グラップルショット』が新要素です!と自信満々に出されたときは半端ない今更感に目眩がしましたが、しかし実際に使ってみると挙動・感触ともに気持ち良いことこの上なく、オープンワールドと噛み合った大正解。手首が折れる勢いで手のひらを返して土下座したい気分です。

ゲームのグラップリングフックにも色々ありますが、Halo Infiniteのグラップルショットは任意の場所にいつでも射出できるタイプ。ほとんどの地形に引っ掛けられるほか、アイテムに引っ掛けて回収したり、敵に引っ掛けて逆にこちらが高速に近づき格闘に持ち込むこともできます。

Halo Infinite

オープンワールドゲームはルート選択が自由であるがゆえに、逆に一本道のゲームのように落ちたら即やりなおしでテンポよく進行させることができず、垂直方向の移動が面倒になってダレてしまうこともあります。

その点マスターチーフのグラップルショットはほぼどこにでも、何もない垂直の壁の途中にすら引っ掛けることができ、ごく初期のアップグレードでクールダウンが大幅に短縮されるため、発射を繰り返し垂直の壁を勢いよく登攀することすら可能。ただの平地を徒歩移動するとき地面に引っ掛けて加速したり、乗り物に引っ掛けて乗り込むこともできます。もはやフックというよりスパイダーマンのウェブシューターのような高性能です。

(Halo Infiniteのマルチプレーヤーでもグラップルショットは装備としてドロップしますが、キャンペーンでは基本装備のひとつとして常に使えること、クールダウンの早さ、追加アビリティなどから、有用性は桁違いに上になっています)

グラップルパンチ(ファーストストライク)が最高

Halo Infinite

キャンペーンで使えるグラップルショットのアップグレードでは、フックを引っ掛けた相手に高速で空中突進しつつ思い切り拳を振りかぶり、インパクトと同時に振り下ろし衝撃波を発生させる技ファーストストライクが強烈な楽しさ。

FPSの近接攻撃はおおむねハイリスク・ハイリターンで気持ち良いアクションであることが多く、グラップルショットも単に急接近して通常の近接攻撃を打ち込むためにも使えますが、このアビリティを習得すれば雑魚ならほぼ一撃必殺、喰らった敵と周囲のオブジェクトは物理演算で大げさに飛んでゆき、周囲の敵まで衝撃波で吹っ飛ぶ豪快な技になります。ドゥーン!という効果音も気持ちよく、ぜひサブウーファーのあるオーディオシステムかXbox Wireless Headsetのように低音が効くヘッドセットで遊びたいところ。

Halo Infinite

前作Halo 5にも、ジャンプからスーパーヒーロー着地と同時に拳を叩きつけ衝撃波を発生させる技「グラウンドパウンド」がありました。Halo Infiniteキャンペーンのファーストストライクはグラップルショットを引っ掛ければ逃げられることなく確定必中、着地だけでなくどの方向にも高速で打て直撃できるグラウンドパウンドのようなものです。

アイテムに引っ掛けて回収は、アイテムが標的として敵よりも小さいこと、逃げないため歩いて回収すればよい場合が多くそこまで有用ではありませんが、慣れれば遮蔽物に隠れたままアイテムを回収したり、倒れた敵の武器を引き寄せるなど、流れるように組み込んで使いこなすことも可能。特にフュージョンコア(青やオレンジに光る行灯みたいな物体)は例外的に大きく、投げつければ当てやすく超威力のグレネードになるため、会敵したらまずは拾ってポイポイ投げれば凄まじい殲滅力を発揮します。

壮大な生きた世界ゼータヘイロー

Halo Infiniteキャンペーンのゲームプレイ初公開動画は評判が芳しくなく、というより悪く、原点回帰で過去作に寄せたこともあり初代ヘイローのリマスターみたい、代わり映えしないとの反応が多々ありました。

しかし実際にゼータヘイローの様々な地形を探索してみると、画素数やジオメトリやシェーダーが進歩しただけでなく、世界構築の面でも解像度を高めた新しいビジュアルに目を奪われます。

Halo Infinite

地平線のかわりに帯状の大地がせり上がり、天頂まで貫くリングになっているのは初代の「アルファ・ヘイロー」、インスタレーション04そのまま。針葉樹林が広がる気候も同じです。

しかし今作のゼータヘイローは強大な力で引き裂かれ、人類にはほぼ破壊不能なフォアランナー物質で構成された六角柱の構造材が剥き出しになった状態。

特にXbox Series Xでは描画距離の長さと解像度の高さから、高台から見渡せば遠景には唐突に分断され骨格が剥き出しになった山々や虚空に浮かぶ島が、眼下には壮大で異質なフォアランナーの遺跡やバニッシュトと人類の生々しい戦いの跡があり、断崖から真下を覗けば宇宙空間に星が瞬くという、絶景に次ぐ絶景です。

しかも今作では鳥がはるか空を渡ったり、戦闘に驚いた野生動物が鳴き声をあげて逃げ去ったり、日夜の概念がありヘイロー自体の影で刻々と景色が変わるなど、ゲームエンジンの進歩も生きた世界の実在感に貢献しています。

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細かい点では、たとえばいかにも踏破したくなる高台や断崖絶壁にご褒美的なアイテムが配置してある場合でも、半年前の敗走を生き延びたスパルタンやUNSC海兵隊員が一時的に隠れ潜んだのだろうと思わせるキャンプの痕跡が残されているなど、細部の作り込みも世界に説得力を与えています。

チーフとコルタナに回帰した物語。魅力的な新AIキャラ「武器」

ビジュアルだけでなく、ストーリーテリングも原点回帰を志向しています。今作のメインキャラは主人公マスターチーフと、スパルタンを救助してしまったばかりに無謀な反撃につきあわされる苦労人パイロット、チーフの長年の相棒コルタナと瓜二つに作られた、コルタナを捕らえるためのAI「武器」(The Weapon)。そして敵勢力バニッシュトのリーダーであり、人類の救世主たるチーフを倒すことで武名を永遠のものにすることを望むブルート族エスカラム(エシュラム)。

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Halo 4とHalo 5では、マスターチーフ以外のスパルタンが多数登場しそれぞれの人物像が描かれたほか、分隊を指揮する要素があったり、特にHalo 5では出奔したチーフを捜索するスパルタン・ロック視点のパートも大きな部分を占めていました。

マイクロソフトいわく、プレーヤーからのフィードバックではこのマスターチーフ以外の視点人物パートは大変不評であったらしく、今作のストーリーはマスターチーフを中心に展開します。

また4と5では先史文明種族フォアランナーの帰還が大きな要素になり、年齢10万歳以上で複数の人格コピー体がいるフォアランナーの将軍が人類駆除を企むなど、壮大すぎてただの強化人間であるチーフがやや蚊帳の外になるところを無理に持ち上げられるきらいもありましたが、今作ではマスターチーフとエスカラムの対決、マスターチーフとコルタナの複雑な関係性が焦点。

複数のスパルタン兵が主人公の展開については、外伝Halo: Reachがおおむね好評だった例もあり、また壮大なSF展開はHalo本来の魅力ともいえ、4と5は単にやり方がまずかった気もしますが、とはいえマスターチーフ中心に回帰したことで、プレーヤーが感情移入しやすく、焦点のあった物語になったことはたしかです。

オリジナル三部作でマスターチーフのサポートAIを務め、深い絆で結ばれた相手であるコルタナについては今作の大きな謎。

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The Weapon / 「武器」という名のAI。かつてマスターチーフを守り戦ったAIコルタナを捕らえるため、コルタナと同じ元型から制作された。

(注意。以下でHalo 4と5の導入部について多少触れます。概要のみですが、未プレイの場合は厳密に言えばネタバレです。予備知識ゼロで4, 5, Infiniteの順に遊びたいかたは次の太字まで読み飛ばしてください。逆に4と5を飛ばしていて雑にでも知りたい方はこのまま下へ)

Halo Infiniteに至るまでのコルタナについてごく簡単に触れると、4でマスターチーフを庇って消滅したはずが、5ではフォアランナーの遺した知性体ネットワーク「ドメイン」に断片がバックアップされていたていで復活。過去作で延々と引っ張った不治の病、自由意志を持つAIが神経ネットワークの寿命で精神崩壊するランパンシーもさらっと克服。しかしフォアランナーや神の視点に近づいたためか、人類はより優れたAIによって管理されるべきとして容赦ない実力行使を始め、人類最悪の敵になります。マスターチーフが失踪し脱走兵として追われるところからHalo 5が始まったのもこのため。

Halo 5の結末については触れませんが、Halo Infiniteまでに人類はコルタナを倒すための手段として瓜二つのAI「武器」を制作。ゼータヘイローを巡る戦い、UNSCが潰走しチーフも死亡したと思われた戦いで何かが起きたことがほのめかされます。メインシナリオや、マップ上に隠された音声記録を手がかりに、ゼータヘイローの戦いの真実を知ることも今作の物語の根幹です。

Halo Infinite

それはそれとして、この新キャラクター「武器」が実にエキセントリックで魅力的。コルタナはチーフとの付き合いが長く、またAIの病ランパンシーが悪化したことで、メンタルに問題を抱えた超絶重い脳内彼女のような存在でしたが、今作の「武器」は製造されたばかりとあって無邪気な、それでいて役割を果たして消去されることが当然と信じて疑問を抱かないなど、人間とはかけ離れた心理のAIとして描かれます。

顔つきは長年連れ添って悲劇的な別離をした女性(型AI)とそっくり、でも自分との記憶はない別人で、性格も表情もまるで違う、それでいて皮肉や軽口には快活だったころの彼女の面影が不意に蘇る……という、シリーズを遊んでいたプレーヤーであるほど、表情を見せないマスターチーフの実に複雑であろう心境を想像して二重に楽しめます。

微妙な点、考慮すべき点、不満点など

シリーズを遊んでいたプレーヤーとしては夢中になって楽しめた作品ですが、あらゆる意味で完璧な作品でもなければ、万人に勧められるわけでもありません。

まずHaloファンにとって残念な点としては、キャンペーンのリプレイやCo-op(協力プレイ)など、明らかに欠けた・間にあっていない機能があること。

特にCo-opはHaloシリーズのキャンペーンでは人気の遊び方だっただけに残念。シリーズの象徴のような装甲戦闘車両ワートホグをはじめ、多くのビークルは複数人が乗り込んでドライバーとガンナーを分担できるようにデザインされていますが、過去作のようにフレンドとは遊べません。

Halo Infinite

AIのマリーンは存在するものの、今作は一本道ではないためドライバーを任せることができず、常に自分が運転するしかありません。せっかくワートホグや兵員輸送バリエーションのレイザーバック、多人数を載せられる戦車スコーピオンがあり、前線基地で役割分担したロードアウトを装備できるのに、いまのところCo-opはお預け。

オープンワールドのアンロック要素とCo-opの両立は難しい判断が必要になるとは思いますが、早いうちに実装して欲しい機能です。現時点での計画としては、マルチプレーヤーのシーズン2と同時にキャンペーンco-opを、シーズン3と同時にクリエーションモードのForgeを導入する予定。

シーズン1は本来3か月だったはずが、開発の遅れや開発陣の労働環境を優先して半年続くことになったため、早くても2022年5月前後まではCo-opアップデートも来ないと考えられます。

そのほか、せっかくの絶景なのにフォトモードもなし。かつてHaloシリーズといえばマルチプレヤーのリプレイデータを自由視点で再生でき、フォトモードどころか映画製作にも使われていたことで有名ですが、フィードバックを受けて作り直しに近い状態で延期したInfiniteでは間に合っていません。

リプレイといえば、一度遊んだミッションをもう一度繰り返すという意味のリプレイにすら対応しないのも露骨な欠点。従来のシリーズはキャンペーンでクリアしたミッションは自由に選択して遊べましたが、Infiniteでは一度クリアしてしまったらそれきり(現在のミッションをやり直すは可能)。

クリアしてしまったミッションについてはボスとの再戦も、カットシーンの見直しも、もう一度最初から始めない限り不可能です。(最初から始めるとセーブデータが消えて進行度もリセットになるため、すでにクリアした時点まで戻ることもできません)。

Halo名物の「スカル」は健在(発見しづらい場所に隠してあるアイテムで、ステージ開始時にセットすることで高難度化などモディファイアとして機能する)。なのにリプレイができないのは滑稽ですらあります。

Halo Infinite

ゲーム機能設定については、PC版と同時開発・クロスプラットフォーム作品になったため、Xboxでも最初からネイティブでマウス・キーボードが使えたり、視野の変更もできるなど歴代最高に充実しているだけに、「間に合わなかった部分」が目立つのは残念です。

懸念点としては、

・冒頭の2ステージで切られない?

導入はバニッシュトの戦艦とフォアランナーの遺跡が舞台。初代Haloの雰囲気を現代の技術と操作感覚で蘇らせた、熱心なファンには感涙のステージです。

しかしあまりにもオリジナル三部作オマージュに成功しているため、昔やったヘイローがグラフィック綺麗になっただけ?と見做されないかと勝手に心配になります。(実際には「だけ」でなくフック前提の高低差や、Halo 3最終面を彷彿するダイナミックに崩れてゆく地形など見どころも。)

グラップルショットの練習面でもありますが、アップグレードがまだできずクールダウンも長く、気持ちいい衝撃波パンチも使えないため「いまさらフックw」で終わる可能性も。

・繰り返し

オープンワールドとは切っても切れない、利点にも欠点にもなる「繰り返し」要素。Halo Infiniteは大量のサイドミッションアイコンがいきなりマップを埋め尽くすタイプではなく、サイドミッション要素もそれぞれ状況を変えてバリエーションを出しているものの、とはいえやってること自体は同じ繰り返しがあります。

装備やビークルやアビリティをアンロックして別のやり方を試したり、同じ「前線基地制圧」でも環境や敵の構成にあわせて臨機応変に繰り返せるのがオープンワールドゲームの楽しみそのもので、おかわりが欲しい人には嬉しい一方、オープンワールドや探索はあまり好きではない、同じオブジェクティブのミッションを繰り返したくない場合はやらされてる感があるかもしれません。

(この点では逆に、サイドミッションの数が控えめなことで、何度も繰り返してコツコツとリソースを貯めるのが好きな人には足りなくても不満になる可能性も。上述のとおり、過去ミッションのやり直しもないのが痛い。)

・「Halo的には」革新

半オープンワールドもグラップリングフックもHalo Infiniteの大発明ではもちろんなく、先行するゲームが開拓した要素をバランス良く取り込むことに成功したレベルです。Halo自体、まったく新しいゲームプレイを提供してきたシリーズではありませんが、Halo 2 も Halo 3も対戦まわりの充実したシステムなど、コンシューマーゲームとして革新的な要素は多々ありました。Infiniteはそうした意味で先行する要素は少なめ。

見たこともないプレイ感覚で驚くゲームではなく、HaloやFPSが好きな人、ハイテク戦闘スーツに身を包んでロケットランチャーを担いだスーパー兵士が宇宙人軍団とドンパチするようなゲームが好きな人のための「そういうのもあるのか!」+「こういうのでいいんだよ」な作品です。

・チーフわりと喋る

これは今作の魅力か、違和感か非常に微妙な点。今回のチーフ、若っっっ干ながらサービスが多めです。従来作でもまあまあ要所要所では格好いい / 格好をつけた名台詞を吐いてはいましたが、今回は相手がコルタナではなく頭パーなウェポンなので気が抜けたのか、コルタナ問題がアレで心境の変化か、カットシーンやデモごとにひと言キメてくれる頻度が上がっています。

べらべらと語りだしたりキャラが変わってしまったわけでは決してなく、開発スタッフからしても正真正銘の正統なチーフではありますが、あれ?今日はなんか機嫌いいのかな?顔に出ないけどもしかして飲んでます?という感じにはなりました。個人的には魅力のほうに分類しています。

まとめ:シリーズ復活の快作。旧来ファンにも気になる未プレイ勢にも文句なくおすすめ

個人的にはHalo本編はすべてリアルタイムでプレイしており、4・5も「楽しかった思い出の世界観でおかわり」として楽しめはしたものの、世間的に微妙な評価になったこともよく理解できました。少なくともXboxの大看板としての非常に高い期待に応える作品とは言い難く、Halo本編はもはや背水の陣に破れ首まで漬かった状態、息はできているのか心配になる状態の認識でした(過去の栄光リマスターのMCCや、Warsの方向性は大歓迎で楽しめましたが)。

そこで出てきたのが、2020年夏のキャンペーンゲームプレイ動画公開。グラフィック自体の「次世代機に見えない」批判もありましたが、それ以上に不安だったのはゲームプレイが過去のHaloステージでちょこちょこギミック程度にフックを使う内容に見えたこと。

開発元の343 Industriesは直後に約1年の発売延期を発表し、特にキャンペーン部分の開発責任者が交代したのは既報のとおりです。

この時点でオープンワールド部分がどこまでできていたのか、ただでさえCOVID-19の影響を受けるなかでどれだけ軌道修正ができたのかは分かりませんが、結果として触れたプレビュー版は完全に予想外の新鮮な面白さで、オープンワールドゲームの序盤、行動範囲や装備が次々と増えてゆく部分では夢中になってプレイしたほど。

あくまでHalo伝統のプレイを中心にしつつ現代的アレンジに成功したことで、オリジナル三部作ファンにとっては極上のご褒美。ついに安心して新規プレーヤーを誘える本流Haloが出てくれたお祭りのような作品です。

基本無料となったマルチプレーヤーは今後シーズンを重ねて進化を続ける計画が示されており、キャンペーンもCo-opやクリエーションモードForgeをはじめまだまだこれからの要素が多数あります。

本作や Xbox Game Passを目当てにXbox Series SやSeries Xを買うにしろ、自慢のゲーミングPCで Series Xを凌ぐ設定で遊ぶにしろ、今後も年単位で楽しみを提供してくれる、名実ともに揃った看板の復活を祝いたいと思います。

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Halo Infinite の配信開始は日本時間9日午前3時から。