HaritoraX
Shiftall / Haritora

パナソニックの子会社Shiftall (シフトール)がVRメタバース事業への参入を発表しました。ハードウェア製品の第一弾として、安価に下半身のトラッキングを実現するジャイロベースのトラッカー HaritoraX を販売します。

HaritoraX はエンジニア izm氏が「フルトラの民主化」を掲げ、個人で開発・販売を続けてきたトラッキング機器 Haritora を元にした製品。

いわゆる同人ハードのHaritoraは半完成キットで、別入手したバーツの組み込みやファームウェア書き込みといった作業が必要でしたが、市販型の HaritoraX は装着方法も含め改良したオールインワンの新規設計。税込み3万円未満( 目標)で、直販のほかAmazonや家電店等でも販売します。

Haritora
Haritora

ここでいう「フルトラ」は「フルボディトラッキング」、全身の動きを認識してVR等へ反映する仕組みのこと。

一般的な VRヘッドセットと両手のコントローラという組み合わせでは、頭と両手の位置と向きを直接、さらに人体モデルから推定して上半身の動きをトラッキングできますが、脚の位置や動きは分からないため、全身を使ったポーズや表現に制約がありました。

フルボディトラッキングを実現するには、外部のカメラやKinectのようなセンサでキャプチャする方式、体の各所にトラッカーを取り付ける方式などがありますが、セットアップの難しさや、トラッカーが高価であったり、センサやカメラと脚のあいだに障害物があると動作しないといったハードルがあります。

Haritoraは安価な市販品のモーションセンサをベースに、バンドで下半身に取り付けることにより、ハードルが高かったフルトラを「民主化」するとうたうデバイス。同人ハードながら個人の制作キャパシティを超えるほどの人気を博していました。(トラッキングするのは下半身のみですが、上半身は一般的なVRヘッドセットとコントローラでトラッキングできるため、足りないところを補って「フルトラ」が実現するという意味)。

このHaritoraを改良・量産・市販化するのは、パナソニックの子会社 Shiftall。ユニークなIoT機器や配信機器、ガジェットで知られるハードウェアスタートアップ Cerevo の創業者 岩佐琢磨氏が、かつてエンジニアとして所属していたパナソニック傘下で率いる企業です。

市販モデル HaritoraXの仕様は内蔵バッテリーで7時間以上駆動、USB-C充電、外部給電駆動にも対応、装着用下半身スーツ付属、対応プラットフォームは SteamVR / Windows 10。出荷時期は2021年春から夏予定。元開発者の izm氏もソフトウェアエンジニアとして協力します。

発売に先駆け、初回ロットの優先予約フォームもオープンしています。支払い方法の登録等は不要で、メールアドレスと名前のみで優先的に連絡が受けられる仕組み。

HaritoraX
Shiftall / Haritora

握手するシフトール岩佐代表(左)と開発者 izm 氏。

蛇足。VRChat などのVRメタバースでは各人がアバターのカスタマイズを通じて思い思いの外見を纏えることから、現実世界のペルソナに縛られない個性の発現や新たな表現が生まれてきました。外見を変え、他者の反応が変わることで自己認識や立ち居振る舞いも影響を受けること、所与のものと見なされていた自己イメージや社会的期待との関係について新たな知見が得られることもVRの力です。

一方、HaritoraX のような技術の普及で現実の肉体との1:1対応が進むことで、「VRでは華奢な女の子だけど、骨格や骨盤的には男性の動き」という新たな肉の壁が顕在化するかもしれません。(「女の子座り」「とんび座り」は男性でも柔らかければできる人が居る一方、女性でも体が固かったり関節の状態によっては痛くてできません。念のため?)

SteamVR用のフルボディトラッキング機器 「HaritoraX」を共同開発、’21年夏までに発売 - 株式会社Shiftall