[名称] HD DVD-RW(ReRecordable)
[種類] 光ディスク(405nm)
[記録方法] 相変化記録
[サイズ] 120mm
[容量] 15GB(1層)
[登場年] 2007年~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「HD DVD-RW」は、DVDフォーラムによって策定された書き換え可能なHD DVDメディア。主にセルビデオ向けとなる読み取り専用のHD DVD-ROM、1度だけ書き込み可能な追記型のHD DVD-Rに続く、3つ目のHD DVDメディアとして発売されました。規格としての容量は片面1層で15GB、片面2層で30GBとなり、HD DVD-Rと同じ容量を実現しています。

記録方式は、過熱・冷却方法で結晶構造を組み換え、反射率を変化させる相変化記録を採用。記録密度は大幅に変更されていますが、基本的な技術はDVD-RWと似たものとなっています。また、HD DVD-Rと同じグルーブ記録(アクセス時のガイドとなる溝の部分にデータを記録する方式)を採用しているので、再生互換性が高いというメリットもありました。

実は、書き換え可能なHD DVDは2つの規格があります。このHD DVD-RWは後から追加された規格で、以前は「HD DVD-ReRecordable」と呼ばれていました。これに対し、先に考えられていたのが「HD DVD-RAM」。「HD DVD-ReWritable」の名前で開発されていたもので、ランドアンドグルーブ記録(溝となるグルーブだけでなく、山側のランドにもデータを記録する方式)に対応するというのが大きな違いです。これにより、片面1層で20GBが実現でき、ライバルのBDに容量面で一歩近づくことができました。

さらに、ディスクの欠陥部分を自動で代替処理する仕組みがハードウェアで用意されているため、データの信頼性が高いというのも特徴といえるでしょう。ただし、大きく記録方法が変わるため、HD DVD-ROM/R/RW対応ドライブでは、書き込みだけでなく読み取りもできません。

気づいた人もいるかと思いますが、これはつまり、HD DVD版のDVD-RAMですね。ちなみに1層でのデータ容量は大きくできたものの2層化が難しく、結局、製品化されることはありませんでした。

さて、話をHD DVD-RWへと戻しましょう。メディアの発売は、日立マクセルが2006年秋以降と発表していましたが、そもそもHD DVD-RWの規格策定が2007年2月まで遅れたことから予定が延期に。また、書き換え可能な対応ドライブが2007年6月にようやくサンプル出荷となったものの、搭載製品はなかなか登場せず、ようやくHD DVD-RWが使える機器としてノートPCが登場したのが、2007年12月となってしまいました。

この間、日立マクセルからHD DVD-RWメディアが発売された形跡は見あたらなかったので、どうやら最初のHD DVD-RWメディアはお蔵入りになってしまった可能性が高いですね……。

これに代わって登場したのが、台湾RiTEK社の製品となる「録画用HD DVD-RW(AACS対応)」で、HD DVD-RW対応ノートPCの発売とほぼ同時に登場しました。

レーベル面にAACS対応や75分などと表記されていることから分かる通り、データ用ではなく録画用です。録画用といっても普通にデータも書き込めますから、利用上はあまり気にする必要ありません。

よく見ると「Re-recordable」と書かれているあたり、HD DVD-RAMと違うというのが強調されている……のでしょうか。気のせいだとは思いますが。

記録面は青みがかったグレーで、DVD-RWやCD-RWなど、従来の相変化記録メディアと大きく変わりません。記録面を見せられてもちょっと青いなと思うくらいで、HD DVD-RWだとまず気づかないでしょう。金ピカだったHD DVD-Rとはかなり違います

できれば複数のHD DVD-RWを入手して比較したかったのですが、実際に販売されていた形跡があるのは、このRiTEKの録画用メディアだけ。前述の通り、日立マクセルの世界初の製品はお蔵入りになったのか、見つけることができませんでした。

一応、2008年2月に日立マクセルが2倍速対応したメディアを発表していたのですが、直後に東芝がHD DVD撤退を発表したことを受け、発売中止となってしまいました。ようやく対応ドライブを搭載したPCが登場し、これからといった時期だったのですが……。

なお、HD DVD-RW対応レコーダーが登場することはありませんでした。そのため、HD DVD-RW対応ドライブを搭載した機器は、ノートPCのみ。具体的には、東芝の「Qosmio G40」(G40/97E、G40/98Eの2モデル)と「Qosmio F40」(F40/88EBL)の2機種3モデルだけです。

メディアの入手が困難、かつ、使える機器がノートPCしかないという状況だったからでしょうか。入手したHD DVD-RWメディアは非売品で、「東芝ノートPC 御成約記念品」というパッケージになっていました。

ちなみに、G40/97EとF40/88EBLの発売は2007年12月で、G40/98Eは2008年1月です。HD DVDの撤退発表が2008年2月で、プレーヤー/レコーダー事業からの撤退が3月ですから、HD DVD-RWが現役であった時期は、長く見積もっても3ヶ月ほどしかありませんでした。

ただし日本の大企業さんらしく、入手困難となってしまったHD DVD-RWメディアは責任もって販売を続けてくれました。販売終了は2009年5月なので、1年ちょっとですね。短いようにも感じますが、現役期間と比べれば5倍近くと大変長いです。なお、2層化された30GB HD DVD-RWは、結局登場することなく終わりました。

連載:スイートメモリーズ

参考:

DVD Forum 技術白書 HD DVDフォーマットの概要, DVDフォーラム
DVD Forum、HD DVD-RWの物理規格を承認, AV Watch, インプレス
HD DVD-R/RW、BD-R/REディスク、次世代光ディスクの発売を開始, 日立マクセル, WayBack Machine
世界初のノートPC搭載用薄型HD DVD-RW記録ドライブの発売について, 東芝
世界初のHD DVD-RW対応ドライブを搭載したAVノートPC「Qosmio」などの発売について, 東芝
世界初2倍速記録対応録画用HD DVD-R/RWディスク データ用HD DVD-R/RWディスクを新発売, 日立マクセル, WayBack Machine
HD DVD事業の終息について
弊社新製品2倍速HD DVDの発売中止のご案内, 日立マクセル, WayBack Machine
HD DVD-RWメディア販売終了について, 東芝