MateX2

ファーウェイから折りたたみスマートフォンの第二世代モデルとなる「Mate X2」が発表されました。価格は17999元(約29万4000円)です。

Mate X2の構造はMate X(約30万円)から大きく変わりました。具体的にはディスプレイを外側に折る方式から内側に折る方式に変更しました。ちなみにMate Xシリーズのディスプレイは中国のディスプレイメーカー、BOE開発と言われています。グループ内1社で折りたたみスマートフォンを展開するサムスンに対して、ファーウェイは同じ国内のディスプレイメーカーと提携して製品を開発しているわけです。なおBOEの世界シェアは液晶パネルでサムスン、LGに次ぐ3位。シャープ(4位)よりもシェアの高い大手メーカーです。

MateX2

内折り式のディスプレイはGalaxy Z Fold2を見るとわかるように、閉じたときにスキマが開きます。内側にディスプレイを完全密着するように折りたたむと、折り曲げ部分に折り目が入ってしまいます。つまりプラスチックの板やクリアーファイルを折り曲げた時と同じような状況になるわけです。そのため内折り式ディスプレイはディスプレイの曲がる部分に最小限のカーブをつけて、スキマを開ける必要があるわけです。

MateX2
Galaxy Z Fold2は折りたたむと隙間がある

ところがMate X2は内折り式にもかかわらずスキマのない、ゼロギャップを実現していますが、この形状では曲がったディスプレイに折り目が付いてしまうはずです。そこでMate X2では、ヒンジの内側にスキマを作り、その部分にディスプレイの折り目部分を逃がすことで、ディスプレイが完全に折り曲がらないようにしているのです。

MateX2

MateX2
ヒンジを曲げていくと、内側の隙間にディスプレイが逃げる

実はこの構造はモトローラの内折り式折りたたみスマートフォン「razer」でも採用されています。razerのディスプレイもBOE製造と言われており、BOEはこの「完全密着内折りディスプレイ」でサムスン(サムスンディスプレイ)の折りたたみディスプレイに対抗しようとしているようです。

MateX2
モトローラrazrのヒンジ部分。ディスプレイは浮いた状態になっている

Mate X2の利点はGalaxy Z Fold2のようにディスプレイにあらかじめ折り目が付いていないことと言います。しかしヒンジ部分の内側にディスプレイの曲がった部分を逃がすMate X2の構造は、ヒンジにかかる部分のディスプレイが本体側に張り付いていないということになります。またGalaxy Z Fold2のように、自由な位置にディスプレイを曲げて使うことは難しくなります。Mate X2は「閉じるか・開くか」の2つの形状で使うことになるのでしょう。

MateX2

同じ構造をもつモトローラの「razr」は、ヒンジ部分のディスプレイ強度が問題となりました。段差のようなものはないものの、ディスプレイ中央部が浮いた状態になっているからか、ディスプレイを端から見ると中央部分が完全な平坦になっていないないのです。この初代razrの後に出てきた、5G対応の「razr 5G」ではディスプレイの強度が高まり、初代razrの問題は改善されました。

Mate X2もrazer 5Gと同じ世代のディスプレイを搭載していると考えられます。しかしrazrは縦折式で、横幅は広くありません。それに対してMate X2のディスプレイの折曲がる部分はかなり長くなっています。これだけ長い部分のディスプレイを浮かせて折り曲げる構造にすることで、開いた時にきっちりと平らになるのです。

Mate X2の発表会でリチャード・ユーCEO(ファーウェイコンシューマービジネスグループ)は実機を何度か見せてくれましたが、光の当たり具合でヒンジ内側のディスプレイ部分にうっすらと筋の見える状態がありました。光の加減による影かもしれませんが、2本の筋部分までがディスプレイが本体に張り付いており、その内側部分が曲がった時にヒンジ内側に逃げる部分ではないか、と推測されます。

MateX2
ディスプレイ中央、左右に「筋」が見える。この筋の内側部分曲がった時にヒンジ内部に逃げる部分と思われる

Galaxy Z Fold2のヒンジ部分の折り目も実際に使ってみるとそれほど気になるものではないと筆者は感じました。Mate X2はGalaxy Z Fold2のような折り目が無いとはいえ、ディスプレイを浮かせた構造であることから、逆にその部分が目立ってしまうのか否かを実機で確認したいです。

なおヒンジの裏側は全体を覆うようにプレートで隠されています。サムスンはここから埃が入るということで、Galaxy Z Fold2では内部にブラシを装着して埃侵入を防いでいます。Mate X2も同等の構造になっているかが気になるところです。

MateX2

さてMate X2が内折式になったことで、市販されている大手メーカーの折りたたみスマートフォンはすべてが同じスタイルのディスプレイを採用することになりました。一方、外折式のディスプレイを採用するのは中国Royoleの「FlexPai 2」だけとなっています。こちらは中国でのみ販売されており、グローバル展開は行われていません。

MateX2
RoyoleのFlexPai2

初代Mate Xが登場した時も、外折式は内折式よりメリットが多いといわれました。ディスプレイを折りたたんでも表と裏、両方を表示領域にできます。またアウトディスプレイが不要のため、本体の厚みを薄くできます。アウトディスプレイのないMate Xは厚みが5.4mm、閉じても11mmでしたが、アウトディスプレイをつけたMate X2では厚みが8.4mm、閉じると14.7mmとなります。

しかし表も裏も使える「2画面スマートフォン」がいくつか市場に出てきたものの、いずれも商業的に成功しなかったことを考えると、外折式のスマートフォンの「畳んでも両面が使える」というメリットは実はユーザーには必要ないものであったと考えられます。また両面がディスプレイということはケースを装着しづらいということでもあります。実際、Mate XとFlexPaiは海苔巻型のケースが用意されていましたが、使いやすいといえるものではありませんでした。

今回のMate X2の発表に合わせ、ファーウェイはMate Xと同モデルの改良品であるMate Xs向けに新しいケースを発表しました。このケースは既存の両モデルユーザーに無料で提供されるとのこと。閉じても開いても本体を保護できるケースですが、閉じたときは裏側のディスプレイを完全に隠します。つまり畳んだ時に表・裏の画面を使い分けるという使い方を放棄したデザインのケースなのです。

MateX2
外折式のMate X用ケース。畳んだ時に背面側ディスプレイは隠れる

Royoleはスマートフォンメーカーではなく、薄型ディスプレイを開発する会社です。他社がそろって内折式となったことで、今後外折式ディスプレイのUIの開発も完全に自社のみで行う必要が出てきました。とはいえ折りたたみ式には「3つ折り式」も検討されており、サムスンやTCLがディスプレイを開発中です。3つ折り式は「内折+外折」が混合した形状となります。

折りたたみスマートフォンはまだまだ誰もに進められる一般的な製品ではなく、試作モデルの域をようやく超えたレベルの製品とも言えます。内折式、外折式どちらがいいのかという議論も、3つ折り式が出てくればまた振出しに戻`るでしょう。最適な形状はどんな形なのかは、スマートフォンやタブレットの使い方によっても変わっていきます。今後、ディスプレイを巻き取れるローラブル式も含め、様々な形状のものが登場すると思われます。