ファーウェイがGoogle搭載スマホ「nova lite 3+」を発売する事情(石野純也)

米国からの制裁による影響はまだまだ続く見通し

石野純也 (Junya Ishino)
石野純也 (Junya Ishino)
2020年05月27日, 午後 06:00 in mate 30 pro
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Huawei Junya Ishino

ファーウェイが、突如として、新モデルの「nova lite 3+」を発表しました。最大の売りは、GMS(Google Mobile Service)を搭載していること。HMS(Huawei Mobile Services)に切り替えて4月に発売された「Mate 30 Pro 5G」とは異なり、GmailもGoogleマップもGoogle Playも、すべて利用できます。

価格は2万4800円を予定、5月29日に発売され、IIJmioやイオンモバイル、LINEモバイルといった主要MVNOも取り扱いを表明しています。

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▲5月29日に発売されるnova lite 3+

nova lite 3+は、ミドルレンジ向けのチップセットとなる「kirin 710」を搭載したスマートフォン。ディスプレイサイズは6.21インチと大きく、背面には1300万画素のカメラと、深度測定用の200万画素カメラを搭載しています。

最新のハイエンドモデルのように、画角を変えた撮影ができるわけではありませんが、深度が計測できるため、背景ボカシをある程度正確に行えます。

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▲背面にはデュアルカメラを搭載する。片方は深度測定用だ

無印のnova lite 3との違いは、ストレージ(ROM)の容量にあります。ベースとなっているnova lite 3は32GBと容量が少なめだったのに対し、nova lite 3+は128GBと一気に4倍にストレージが増量されています。逆にフロントカメラは16メガピクセルから8メガピクセルに、画素数が低下しています。

そのぶん価格も、nova lite 3は発売当初、2万6880円だったのに対し、約2000円安くなっています。ベースモデルのnova lite 3は1年以上前にあたる19年2月に発表された端末のため、ストレージを増量しつつも、そのぶんコストダウンを図れているといえるでしょう。

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▲写真はnova lite 3で、正面から見たときの外観はほぼ同じ

「+」とつく割には nova lite 3 とほとんど変わらない

一方で、「+」とつく割には、その他のスペックに大きな違いはありません。先に述べたとおり、チップセットはKirin 710ですが、これは無印のnova lite 3と同じ。メモリ(RAM)も同じ3GBで、デュアルカメラのスペックも変わっていません。

外観は、背面のカメラやフラッシュをひとまとめにした“台座”のような出っ張りがあり、iPhone 11以降のトレンドを踏襲していますが、大枠ではほとんど同じ。nova lite 3はオーロラブルー、コーラルレッド、ミッドナイトブラックの3色展開でしたが、nova lite 3+は1色少なく、コーラルレッドがなくなっています。

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▲ベースのnova lite 3(右)は、より高機能なnova 3を踏襲したデザインで、nova lite 3+とカメラ周りのディテールが異なっている

nova lite 3+はストレージが増量された

「+」がつくとあたかも新モデルのように見えますが、このモデルの実態は、nova lite 3のストレージ容量違いと言えるでしょう。そのため、スペックを見ると、最新モデルにはかなわないところがあります。

たとえば、海外で発売されたミドルレンジモデルの「P40 lite」には、より処理能力の高いKirin 810が採用されていますし、最近では、競合他社の同価格帯の端末でも広角カメラを搭載していることがあります。

米国からの制裁が製品ラインアップに影響

それでもあえてnova lite 3+を投入した背景には、冒頭で挙げたGMSがありそうです。Engadget読者にはご存知も方が多いかもしれませんが、ファーウェイは対イラン輸出規制に違反したとの疑いで、米国からの制裁を受けています。

制裁は19年5月に発動しており、1年以上、その影響が続いています。結果として、ファーウェイは米国企業との取引が大きく限定されてしまいました。グーグルもその1社です。

Android自体はオープンソースのOSで、ファーウェイも使い続けている一方で、その上に載る各種グーグルのサービスや、グーグルがアプリ開発者向けに提供するAPI群は、当然ながらグーグルのものです。

制裁が続く限り、ファーウェイがこれらを利用することはできません。代わりにファーウェイは、自身のエコシステムであるHSMを開発しており、冒頭で言及したように、Mate 30 Pro 5Gなどに採用されています。

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▲Mate 30 Pro 5Gは、日本に導入された初のHMS搭載モデル

まだまだPlayストアには及ばないファーウェイのHMS

一方で、HMSはまだ始まったばかりのプラットフォーム。徐々にアプリは増えているものの、AndroidやiOSの必須アプリが網羅されているわけではありません。ある程度、ブラウザベースのサービスで代替はできるものの、Playストアが利用できないと困るユーザーは多いでしょう。

筆者もMate 30 Proを試用してみましたが、完成度の高さやカメラの画質の高さには驚かされるものの、万人にはオススメできないと感じています。アプリの不足は致命的で、台数が出るであろう売れ筋のミドルレンジモデルとして投入するのは、ファーウェイにとってもハイリスクだと思います。

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▲LINEアプリの配信が開始されるなど、徐々にアプリは増えているが、まだまだPlayストアには及ばない

nova lite 3+の国内投入はいわば苦肉の策

とはいえ、このままではファーウェイの販売台数を支えるミドルレンジモデルが、市場に投入できないことになってしまいます。そこで取った戦術が、過去に発売されたモデルを焼き直すことだったというわけです。

昨年5月以前にグーグルへの申請を済ませていた端末は、継続してGMSの使用が認められています。制裁でユーザーに悪影響が出ないよう、サポートを継続するための取引は認められているからです。nova lite 3+も、おそらく、グーグルに対してはnova lite 3のスペックバリエーションの1つとして許可を取っているはずです。

いわば苦肉の策ではありますが、ファーウェイがミドルレンジの新機種を投入できない中、日本でもOPPOやモトローラ、Xiaomiの動きが活発化しており、TCLも代理店のFOX経由で自社ブランドの端末を強化しています。

お株を奪われる格好になってしまったファーウェイですが、一矢報いるには、こうした戦術を取るしかないというわけです。

ただし、“過去のストック”にも限界があります。nova lite 3+のように1年前のモデルならまだいい方ですが、2年、3年と経てば、どうしても型落ち感が出てしまうのは否めません。

処理能力についても、競合他社の同クラス製品に見劣りしてしまうため、来年以降も同様の戦術を取るのは、難しいはず。制裁解除を待ちつつも、HMSに投資しなければいけないというハンデを背負った戦いは続くことになりそうです。

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