中華スマホの第2次ブームは起きるのか(佐野正弘)

米国制裁が尾を引くファーウェイ、シャオミなどの新参者も続々参入

佐野正弘(Masahiro Sano)
佐野正弘(Masahiro Sano)
2020年06月14日, 午前 08:15 in Huawei
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Chinese Smartphone Masahiro Sano

2020年6月2日にシャオミが、低価格ながら4眼カメラを搭載するなど高い機能を備えた「Mi Note10 Lite」と「Redmi Note 9S」の2機種を発表しました。同社は2019年末に日本市場に上陸したばかりですが、早々にKDDIに「Mi 10 Lite 5G」の供給を実現するなど、日本での存在感を急速に高めつつあるようです。

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▲2019年末に日本市場に参入したシャオミ。2020年6月2日には2万円台で購入できる「Redmi Note 9S」など2機種を投入し攻めの姿勢を見せる

ですが、ここ最近国内のスマートフォン市場に進出した中国の企業やブランドは、シャオミだけではありません。2018年にはオッポが日本市場に進出しており、2019年には海外のSIMフリー端末としては数少ないFeliCaを搭載した、日本オリジナルモデルの「Reno A」を投入、タレントの指原莉乃さんを起用したテレビCMを展開するなどして話題となり、短期間のうちに急速に存在感を高めてきました。

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▲オッポは2018年に日本市場に上陸して以降、FeliCaに対応したオリジナルモデル「Reno A」などスマートフォンを積極投入。2020年にはKDDI、ソフトバンクへの端末供給を実現している

また、テレビメーカーとして知られるTCLも、以前は傘下のTCLコミュニケーションテクノロジーが「ALCATEL」ブランドのスマートフォンを販売していましたが、2019年からは代理店を通した自社の「TCL」ブランドでの展開を積極化するようになっています。すでに「TCL PLEX」、そして「TCL 10 Pro」の2機種を投入し、ラインアップの拡大を図っている様子がうかがえます。

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▲かつては傘下企業の「ALCATEL」ブランドのスマートフォンを販売していたTCLも、自社ブランドのスマートフォンを代理店のFOXを通じて販売するようになり、2020年5月にはSIMフリースマートフォン新機種「TCL 10 Pro」を投入している

これらの企業・ブランドのスマートフォンの特徴は、5万円以下、中には2万円台を記録するなど非常に安価ながらも、カメラを3つ、4つ搭載していたり、ディスプレイに有機ELを採用したりするなど、機能や性能面での充実度がとても高いこと。低価格ながらも高機能という、中国メーカーらしいコストパフォーマンスの高さを武器として日本市場での販売を拡大しようとしているわけです。

またシャオミ、オッポはともに5Gを機として携帯電話大手への製品供給も実現するなど、短期間のうちに日本市場で大きな成果を収めるに至っています。中華圏のメーカーが手掛ける“中華スマホ”が、再び脚光を浴びつつあることは確かでしょう。

中華圏のメーカーが次々と日本に上陸して注目されたのは、MVNOが「格安スマホ」などの名称で人気となった2014年頃。MVNOのSIMを挿入して利用できる低価格のSIMフリースマートフォンの数が少なかったことに目をつけた、ファーウェイ・テクノロジーズやZTEなどの中国メーカーや、エイスーステック・コンピューターなどの台湾メーカーなどが次々参入し、中華スマホの第1次ブームを築いたのです。

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▲エイスーステック・コンピューターが「ZenFone」シリーズを投入するなど、2014〜2015年頃にかけて中国・台湾のスマートフォンメーカーがSIMフリースマートフォンの市場に相次いで参入し、大きな盛り上がりを見せた

ですが、MVNOの拡大に危機感を抱いた携帯電話大手がサブブランド戦略を強化し、MVNOへの流出が減少したことから、2017年頃からはSIMフリースマートフォンの販売も急速に鈍化。市場変化に対応できないメーカーが徐々に脱落して淘汰が進んだ結果、この市場でトップシェアを獲得し“勝ち組”となったのがファーウェイ・テクノロジーズでした。

同社はSIMフリー市場での実績から携帯電話大手からの評価も獲得、大手3社へのスマートフォン供給を再開するなどして国内でのシェア拡大を本格化しようとしていましたが、その矢先に同社に起きたのが米国からの制裁です。この制裁によって同社のスマートフォン新製品にはグーグルのサービスが搭載できなくなり、一転して苦境に立たされてしまっています。

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▲SIMフリースマートフォンの市場で勝ち残ったファーウェイ・テクノロジーズは、その実績を基にNTTドコモなど携帯大手3社へのスマートフォン供給を再開するなど躍進を遂げたが、米国の制裁で2020年には一転して苦境に立たされている

実際同社が2020年に投入したスマートフォンの新製品は、過去機種をアップデートしたものを除くと全てグーグルのサービスは非搭載。それゆえ携帯電話大手だけでなくMVNOも販売を見送る所が増えているようで、SIMフリースマートフォン市場に大きな穴が生まれてしまったことは確かでしょう。

一方で、2019年には、電気通信事業法の改正によってスマートフォンの値引きに大幅な規制がかけられ、高額なスマートフォンが購入しづらくなったことから従来以上に低価格なスマートフォンが市場から求められるようになっています。法改正による値引き規制と、米国の制裁で空いた市場の“穴”に商機を見出し、中国メーカーの参入が再び増え、盛り上がりを見せているといえそうです。

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▲総務省の有識者会議の結果を受け、年々スマートフォンの値引きには厳しい規制が科せられるようになったことも、価格競争力の高い中国メーカーの参入を拡大する契機となっている

ですがもう1つ、このブームには中国市場の動向も大きく影響していると考えられます。それはファーウェイ・テクノロジーズが米国から制裁を受けたことで、逆に中国国内で同社への支持が高まり、販売シェアが拡大していることです。

ファーウェイ・テクノロジーズのシェアが伸びれば、必然的にそれ以外の中国メーカーのシェアは落ち込んでしまう訳ですが、現在の市場環境は政治が大きく影響しているだけに、メーカー側の努力だけで中国内での販売を大きく伸ばすこともなかなか難しい。そこで各社は海外に活路を見出すようになり、それが日本進出につながった部分も少なからずあると見られているようです。

そうした新規参入メーカーの多くは、元々ローエンドからミドルハイクラスの端末を多く手がけ、新興国に強みを持っていることから低価格モデルのラインアップが充実しています。それゆえ低価格が強く求められるようになった現在の日本市場において、価格競争力での強みが有利に働くことは確かでしょう。

ですが日本の消費者はブランドや品質、サポートなどによる信頼を重視する傾向が強く、安さや機能性だけでは購入してくれない傾向にもあるのも事実で、ファーウェイ・テクノロジーズやZTEなど先んじて日本に上陸したメーカーは、そうした部分のサポートに非常に力を入れていました。

それゆえ新規参入企業が日本の消費者をどこまで理解し、市場に合わせた対応を取ることができるのか──という点も、再び中華スマホのブームが起きるかどうかを見極める上では重要なポイントとなりそうです。

 
 
 

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